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不動産

不動産小口化商品とは?不動産特定共同事業者との関係を解説

不動産小口化商品とは?不動産特定共同事業者との関係を解説

不動産投資は、ゆとり資産のある人でなければ始められないのでしょうか。少額でも不動産のオーナーになる方法はあるのか知りたくありませんか。

まとまった資金の投入ではなく、月単位で1万円〜数万円でも不動産投資はできます。少額でも購入できる不動産とは、どのような商品なのでしょうか。

その商品とは、不動産小口化商品のことです。不動産小口化商品は、その名のとおり不動産を小口に商品化していることから、その小口単位で保有できます。

今回は、不動産小口化商品について、概要やメリット、あらましなどを解説します。少額の資金で投資を検討中の方は、投資先の仕組みを知る機会に役立ててみてください。

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不動産小口化商品の意味

不動産小口化商品は、ある不動産を数万円〜100万円程の金額設定で一口単位にして販売する商品のこと。その不動産小口化商品を購入した投資家は、運用することで賃料収入や売却益を得られます。その収益は、不動産への投資額に応じて分配される仕組みです。

不動産小口化商品を扱う不動産特定共同事業法

不動産小口化商品を扱う取引は、近年増加傾向です。増加傾向の理由は、不動産小口化商品を投資スキームとして扱う事業の法改正があげられます。不動産小口化商品を扱う法改正後の事業は、不動産特定共同事業法(不特法)のことです。

不特法で扱う不動産小口化商品は、法律のもとで運営をしている事業者との契約になるため、投資家のリスクを下げる投資スタイルと利用者が増加しています。出典:※1

不動産特定共同事業の実績件数推移

国土交通省の公開している「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」では、不動産特定共同事業の実績を公表しています。以下が2013年〜2021年にかけての不動産特定共同事業の実績件数推移です。

  • 2013年:41件
  • 2014年:41件
  • 2015年:53件
  • 2016年:56件
  • 2017年:93件
  • 2018年:160件
  • 2019年:220件
  • 2020年:295件
  • 2021年:372件

2013年から2016年までは、横ばいだった案件数が2017年の法改正を機に、年々増加傾向となっています。2017年の法改正では、以下の事業を追加で創設しています。

 

要件

基準値

小規模不動産特定共同事業

 

投資家一人あたりの出資額の上限

100万円

投資家一人あたりからの出資額総額の上限

1億円

小規模第1号事業者の資本金

1,000万円

小規模第2号事業者の資本金

1,000万円

出典:※1のデータをもとに作成

小規模不動産特定共同事業は、上記で示したように、不動産特定共同事業の小規模第1号事業と小規模第2事業の要件を満たした事業のことです。たとえば、小規模不動産特定共同事業では次の活用事例が考えられます。

小規模不動産特定共同事業の活用事例

仕組み

空き店舗のリノベーションから賃貸事業へ

  1. 小規模不動産特定共同事業者が投資家から出資を募集
  2. 出資をもとに空き店舗の所有者から不動産を取得
  3. 空き店舗の改装工事を実行
  4. テナントへの賃貸開始
  5. 運用期間中は賃貸事業で得られる賃料を基準として投資家へ運用益を配当
  6. 小規模不動産特定共同事業者は一定期間の運用後に第三者へ不動産を売却し事業を終了
  7. 事業終了による売却益を基準として投資家へ配当

 

賃貸住宅のリニューアル工事から賃貸経営へ

  1. 小規模不動産特定共同事業者が投資家から出資を募集
  2. 出資をもとに空室率の高い賃貸住宅を貸借(マスターリース)
  3. 貸借後改装工事に着手
  4. リニューアル後から入居者に転貸(サブリース)
  5. 運用期間中は転貸で得られる賃料から賃貸住宅所有者に支払う賃料を差し引いた範囲で投資家に運用益を配当

土地取得から新築戸建てを建築し売却

  1. 小規模不動産特定共同事業者が投資家から出資を募集
  2. 出資をもとに空き地となっている土地を取得
  3. 取得した土地に戸建て住宅を新築
  4. 竣工後に第三者へ売却
  5. 売却益を基準にして投資家へ配当

オフィスビル取得から賃貸経営

  1. 小規模不動産特定共同事業者が投資家から出資を募集
  2. 出資をもとにオフィスビルを取得
  3. 取得したオフィスビルで賃貸事業を実施
  4. 運用期間中は賃貸事業で得た賃料収入から投資家へ運用益を配当
  5. 小規模不動産特定共同事業者は一定期間の運用後に第三者へ不動産を売却し事業を終了
  6. 事業終了による売却益を基準として投資家へ配当

出典:※2のデータをもとに作成

不動産特定共同事業のあらまし

不動産小口化商品を知るうえで、不特法の理解は欠かせません。国土交通省の公開している「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」では、不特法のことを次のように定義しています。

不特法は、1994年に制定された法律です。出資を募り不動産の売買や賃貸などで収益や分配などを行う不動産取引仲介事業者に必要な許認可が制定された目的となっています。

なぜ、不特法が必要なのかは出資する投資家の利益を保護することと、事業者の業務の適正運営を確保することです。しかし、時代の流れとともに不動産小口化商品を巡る不特法の在り方にも改善が求められました。それが2013年および2017年の法改正です。

  • 2013年の法改正:倒産隔離型スキーム(特例事業)の導入
  • 2017年の法改正:小規模不動産特定共同事業の創設・クラウドファンディング向けの環境の整備

倒産隔離型スキーム(特例事業)の導入

日立総合計画研究所の説明によると、倒産隔離とは不特法事業で譲渡された資産や証券化スキームが資産の原保有者の倒産などでの影響を避けるための処置と定義しています。一般的な証券化スキームの仕組みは、次のとおりです。

  1. 原保有者は特別目的事業体(SPE)へ資産の譲渡を行う
  2. 特別目的事業体(SPE)は投資家へ証券を発行する
  3. 投資家は証券の購入代金を特別目的事業体に支払う
  4. 特別目的事業体(SPE)は原補修者に資産の購入代金を支払う
  5. 原資産の回収や管理を担うサービサーが原債務の回収を行う
  6. サービサーは原債務の回収金を特別目的事業体(SPE)に支払う 出典:※3

原保有者とは、投資対象となる原資を保有する人(オリジネータ)のことをあらわします。ここで登場してくる特別目的事業体とは、Special Purpose Entityの略称となるSPE事業(特例事業者)とも呼ばれています。特例事業では、原保有者の資産を不動産小口化商品として証券化します。証券の発行で集めた資金を原保有者に支払う売却代金にあてる仲介役です。出典:※3

倒産隔離型スキームは、不動産特定共同事業者(原保有者)の倒産リスクを回避するための切り離しとして特別目的事業体(SPC)を導入しました。SPCの監督のもと許可制で不動産特定共同事業者に不動産取引や管理を業務委託することで、事業者の破綻リスクを回避しています。投資家にとって投資リスクを下げる役割にもなるため、一般投資家の参入促進が見込まれる法改正です。出典:※4

適格特例投資家限定事業の創設(クラウドファンディング)

不動産特定共同事業のひとつ、適格特例投資家限定事業はプロの投資家(特例投資家)を対象または参加者とする要件をクリアしている事業のことです。適格特例投資家限定事業の創設により、不動産クラウドファンディングで一般投資家がプロの投資家の知見を活用して運用できます。参考:※5

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品のメリットは、少額から不動産投資ができる点です。小口で資金を募る仕組みのため、一般投資家でも多様なリスクから商品を選べる点がメリットと考えられます。また、インターネットを介した電子手続きだけで申し込めることが、不動産小口化商品を扱った不動産クラウドファンディングの増加につながっています。

2017年の不特法改正は、不動産投資の電子的取引への対応が整備されました。事業者は、インターネット上で資金集めの仕組みを構築できます。この動きに対して、不動産特定共同事業者は適切な情報提供が必要な業務管理体制の整備が必要です。これらの整備が進むことが不動産特定共同事業の案件増加となる要因ではないでしょうか。

インターネット上で完結する仕組みが定着することと、少額投資の実用性が浸透してくれば、一般投資家の参入しやすさが伝わると考えられます。参考:※5

不動産小口化商品を取扱う不動産特定共同事業について理解しよう

不動産投資は、不動産小口化商品を投資先として選べることから、少額投資ができます。少額投資が可能なことは、まとまった資金のない人でも不動産投資に参入できると判断できます。不動産投資は、失敗が怖くて始められない人も少なくないでしょう。その懸念材料は、専門知識と投資資金の問題です。

投資資金については、不動産小口化商品を取り扱うクラウドファンディングで少額投資ができます。専門知識の場合は、自分で学ばなければいつまでも初心者から抜け出せません。本気で資産運用をお考えの場合は、専門知識の吸収に役立つセミナーの参加なども考えてみましょう。

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※1:国土交通省「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」(令和4年10月)」

※2:株式会社価値総合研究所「平成29年度小規模不動産特定共同事業パンフレット」

※3:株式会社日立総合計画研究所「キーワード|倒産隔離」

※4:国土交通省「不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案」

※5:アンダーソン・毛利・友常法律事務所「不動産特定事業法に関する法改正について」

 

この記事を書いた人

江戸利彰

ライター

江戸利彰(えどとしあき)

ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。

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