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保険
歯止めなし!?健康保険料・介護保険料はなぜ値上げする?
コロナウイルスやウクライナとロシアの戦闘などをきっかけに、収入減、そして電気代や食品等の急騰でとんでもないダブルパンチを食らいました。
そんな最中、話題にあがったのが、「非課税枠の撤廃・縮小」「サラリーマン増税」「ステルス増税」など、国民の負担増の話題です。様々なメディアが否定的な意見を並べ、決定事項のように報道しました。
しかし、あくまで「そうなるかもしれない」程度で、決定しているわけではありません。
ただ、健康保険料と介護保険料の値上げは、ほぼ確実です。
「歴史は未来を映す鏡」とはよく言ったもので、過去のデータを紐解くとその理由が明確に分かります。
そこで今回は、過去のデータを掘り下げながら、なぜ健康保険料・介護保険料の値上げが確実視されているかを解説します。
「なるほど~」を一つ増やすつもりでお読みください。
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【データ1】高齢化社会から超高齢化社会へ
超高齢化社会に突き進んでいる日本。
分かり切った事実ですが、実際にどれくらい深刻な状況かを説明できる方はあまりいません。健康保険料と介護保険料の値上げには、少子高齢化がかなり密接に関わっています。
この状況をきちんと理解しないと、値上げの理由が分からないため、まずは日本の人口の現状を紐解いていきましょう。
すでに厚生労働省をはじめとする機関が、今後の日本の人口推移を予測しており、下記のデータを発表しています。
引用)厚生労働省 保険局「基礎資料 日本の人口の推移」p.4https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000995085.pdf
緑のグラフが14歳以下の人口、青のグラフが15~64歳までの人口、オレンジが65歳以上の人口を表しています。
1990年頃から徐々に緑と青の勢力が減り始め、オレンジの割合が多くなっていることが分かるでしょう。2065年には65歳以上の人口が38.4%にまでなります。
10人中4人は高齢者となり、6人で高齢者を支えていかなければなりません。定年年齢の引き上げや、国民年金の減額などが視野に入るのも、これが原因なのです。
【データ2】日本人の晩婚・晩産化
社会保険料の値上げには、人口推移の他に、日本人の晩婚・晩産化も大きく関わっています。
それは何故なのか、ここで探っていきましょう。先ほど解説した日本人の人口推移の予測は、「合計特殊出生率」が1.44に設定されています。
しかし、2022年の合計特殊出生率は1.26で、1.44には遠く及びません。
引用)厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 図1 出生数及び合計特殊出生率の年次推移」p.4https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf
つまり、先ほどの人口推移の予想は、合計特殊出生率をかなり盛った状態で作られています。
昭和22年から比べるとガンガン下がっており、1.44になる望みは今のところ薄そうです。その理由は、下記のデータをご覧になれば、納得していただけるでしょう。
引用)厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 表4-2 出生順位別にみた合計特殊出生率(内訳)の年次推移 」p.14https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf
婚姻率は、1947年が最高で、1972年以降下がり続けています。
1947年の婚姻率12.0から比べると、2022年はわずか4.1。結婚する人が1/3になったという事実が浮き彫りになりました。
日本国民として生きていれば、肌で感じているでしょうが、婚姻年齢も上がっています。
引用)厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 表 10-1 夫妻の平均初婚年齢の 年次推移 」p.15https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf
1995年の平均初婚年齢は男性が28.5歳、女性が26.3歳でしたが、2022年になると男性が31.3歳、女性は29.7歳です。
この事実に伴い、女性の出産にも変化が起きました。
引用)厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 表3 第1子出生時の母の平均年齢の年次推移 」p.5https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf
これは、第一子出生時の母親の平均年齢の推移です。2005年から第一子出産の平均年齢が30歳を超え、徐々に平均年齢が上がっています。
これまでのデータをまとめると「昔と比べて、日本人は結婚しません。結婚したとしても初婚年齢は上がっており、それに伴い出産年齢も高くなりました!」です。
当然のごとく、合計特殊出生率は下がることが予測されます。
政府の希望的観測で設定された「合計特殊出生率1.44」という数字を叶えるのは、かなり難易度が高いでしょう。
となると、先ほどの人口推移予測よりも更に少子高齢化が進みます。
現在の日本は、割と崖っぷちな状況なのです。
【データ3】医療保険料&介護保険料の値上げラッシュ
崖っぷち大国日本は、今後様々な苦難がのしかかります。
超高齢化社会のロールモデルとして、他国が固唾を飲んで見守っています。奇しくもロールモデル化されてしまった日本政府は、「国民の支出増加」でしのぐことにしました。
実はこの作戦、かなり前から始まっているのです。
引用)厚生労働省 保険局「基礎資料 医療保険制度の患者一部負担の推移」p.23https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000995085.pdf
上記は健康保険料の自己負担の推移です。被用者家族(会社員の扶養家族)が5割負担の時期もありました。
しかし、その後は1割~2割程度に収まり、高齢者は医療費タダの時代もあるなど、とにかく激安で医療を受けられた時代が確かにあったのです。
ところが、平成が始まってから徐々に値上げが始まり、平成20年からほぼ現行の制度となっています。平成に入り、超高齢化社会に突き進むことが確実になったからです。
「今までの激安医療制度では、とてもじゃないがやってけない!」と日本政府が慌てたのでしょうね。
健康保険料の値上げだけでは耐えきれず、平成12年から40歳以上を対象に介護保険料の徴収も開始されました。健康保険料の値上げとほぼ同時期です。
現役世代は健康保険料に上乗せ、年金受給者は年金から強制引き落としとなる形で、いきなり2,000円~3,000円を毎月払うことになりました。
引用)厚生労働省 老健局 「介護保険制度をめぐる最近の動向について 第1号保険料と第2号保険料の推移」p.26
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000917423.pdf
上記は、介護保険料の推移です。
介護保険料は3年刻みで値上げしており、開始当初から現在までを比べると約3倍も高くなっています。平成22年からは、40~65歳の被保険者がより多くの保険料を支払うモデルに切り替わりました。
今では高齢者よりも829円多く負担していて、7,000円台も目前に迫っています。
1万円超の介護保険料を払う日が、そう遠くない未来に待っているかも知れないのです。
まとめ
一つの国に根を下して生活するということは、その国の方針に振り回されるということです。健康保険料や介護保険料のように、いつの間にかじわじわ値上げされていても、仕方なく支払い続けるしかないのです。
それでも、嘆いているばかりでは問題の解決に至りません。日本の少子高齢化は歯止めが利かないところまできていて、すぐに解決できるわけではないからです。
だからこそ、出来るだけ国の方針に振り回されない自分になる必要があります。
具体的に言うと、「自分の実力と時間を使って、稼げるお金を増やす」しかないのではないか、というのが筆者の結論です。美味しい話なんてこの世に1つもないし、すぐに儲けることなんて一生できません。
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お互い、切磋琢磨しながら、楽しく生き抜いていきましょうね。
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この記事を書いた人
ライター
齋藤佑美(さいとうゆみ)
複数の大手メディアでコラムを執筆する2児の母。
FP上位資格のAFP、生命保険協会認定FP資格であるTLC取得。
女性に寄り添ったコラムが好評を得、週刊女性にて記事の監修を行う。
お金の知識や現場の体験を踏まえた記事に定評がある。
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