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不動産
マイホームと住宅ローン
「いつかはマイホーム」
そのように考えている方は多いのではないでしょうか。
でもネックになるのが住宅ローンですよね。
30年、35年しっかりと払い続けることができるのか…、途方もない年数のため不安になってしまうことでしょう。
この記事では、かつて住宅ローンも扱う銀行で勤務しており、自身も夫と力を合わせて住宅ローンを組んでいる筆者が住宅ローンについて基本から解説をします。
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金利の種類
金利には大きく分けて3種類があります。
固定金利、変動金利、固定金利選択型です。
それぞれどのような特徴があるのかを順番にみていきましょう。
固定金利
固定金利とはその名の通り、「金利が固定」されていること。
あらかじめ決めた金利が返済終了まで適用されます。金利は一般的に経済状況に応じて変化していくので、金利が一気に上がっても安定して返済をすることができます。
しかし、住宅ローンを契約した後で金利が下がっても、高い金利でローンを払い続けなければいけないというデメリットもあります。現在は低金利が続いているため、固定金利で住宅ローンを組むにはいいタイミングといえるかもしれません。
変動金利
変動金利とは、固定金利とは逆に、金利が経済状況に合わせて上がったり下がったりするものです。ただし、毎月金利が変わるというわけではありません。
変動金利の場合は半年ごと年に2回、金利を見直すというシステムになっています。ただし、当初の契約からあまりにも金利が上がってしまうと、返済計画が狂ってしまい家計に影響を与えかねません。そのため、変動金利の場合は「5年ルール」というものが存在します。この5年ルールとは金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらないというものです。
6年目以降は金利の変動によって返済額が変わりますが、金利がいくら上昇しても、今までの返済額の125%までしか上がらないというルールもあります。
これを「125%ルール」といいます。
これら2つのルールがあるので、変動金利を選択しても安心して住宅ローンを返済できる仕組みになっているのです。
ただし、返済額が変わらないだけで住宅ローンの総額が減るわけではありません。例えば毎月の返済額が10万円と仮定します。
このうち通常であれば10万円返済の内訳が、住宅ローン9万円、金利分1万円であるとしましょう。
こののち金利が上昇して、毎月の金利分が2万円になったとします。
しかし5年ルール適用時は返済額は変わらないので、10万円の内訳は住宅ローン8万円、金利分2万円となり、1万円が未返済となります。
この未返済額は住宅ローンの返済終盤にまとめて返済しなければなりません。
つまり、金利が上昇して返済額は変わらなくても金利の上昇には気をつけておかないといけないのです。
固定金利選択型
固定金利選択型とは、一定期間固定金利で返済したのち、期間終了後に固定金利か変動金利かを選択する方法です。
固定金利期間は「2年、5年、7年、10年、15年、20年」から選択して設定できます。
金融機関によって異なるものの、一般的に固定金利期間が短いほど、金利が低くなる傾向があります。
住宅ローンの返済
住宅ローンというと毎月コツコツと返していくイメージがあるかと思います。この住宅ローンの返済方法はどのような仕組みで、どのような返済方法があるのでしょうか。
返済方法
金融機関で住宅ローンを契約した場合、借りたお金である「元金」とその利息を支払う必要があります。
この元金と利息の返済の組み合わせには2つの方法があります。ひとつは返済終了まで毎回の返済額(元本+利息)が均等な返済方法で、これを「元利均等返済」といいます。
返済当初は利息部分の割合が多く、期間の経過とともに元金の割合が多くなっていきます。
もうひとつは、毎回の返済額のうち、「元本」の返済額を固定して、その元本に上乗せして利息を支払う方法です。
この返済方法を「元金均等返済」といいます。
元金均等返済の場合、返済が進むごとに元金が減るので、利息もそれに伴い減っていき、だんだんと返済額が少なくなっていくという特徴があります。
「元利均等返済」と「元金均等返済」では、同一条件で借り入れをした場合、元利均等返済のほうが返済総額が大きくなります。
繰り上げ返済について
住宅ローンは毎月利息を払う必要があり、住宅ローン返済期間が長くなるほど、ローン総額が大きいほど、利息が大きくなり、返済総額が大きくなります。
そのため、まとまった資金ができたり、返済計画に余裕ができたときは住宅ローンの繰り上げを検討しましょう。
元金の一部、あるいは全部を返済することで、本来金融機関に支払うはずだった利息を支払わなくてよくなるのです。
この住宅ローンの繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。
「期間短縮型」とは、元金の一部を返済した後、それまでと変わらない返済額で支払いを続けていくことです。
例えば残り20年の住宅ローンのうち、5年分相当の元金を返済することで、残りの返済期間を15年に短縮するということです。
期間短縮型の繰り上げ返済をすることで、まとめて返済した分の利息分の節約をすることができます。
一方、「返済額軽減型」は、元金の一部を返済した後は、返済期間はそのままに、毎回の返済額を少なくする方法です。毎月「8万円+利息」の返済をしていた場合、毎月の返済額を「6万円+利息」におさえるイメージです。繰り上げ返済をした分、元本が減っているので、毎月の利息も減らすことができます。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」の繰り上げ返済の場合、同一条件では「期間短縮型」のほうが利息軽減効果が高くなります。
借換えについて
経済状況の変化によって、住宅ローンを組んだ時よりも金利がグッと安くなった場合は、思い切って住宅ローンを借り換えた方が返済額をおさえることができることもあります。
「借り換え」とは、新しく住宅ローンを組みなおして、契約している住宅ローンを一度一括返済する方法です。住宅ローンを組んだ当初より金利が大きく変動した場合や、好条件の金融機関が見つかったときは、借換えのチャンスといえます。
借換えのシミュレーションは、金融機関に相談すれば提示してくれることがほとんどです。ただし、借換えには手数料がかかることもあります。
フラット35とは
「フラット35」というワードはCM等で一度は耳にしたことがあるでしょう。フラット35とは、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携しておこなっている住宅ローンです。ローンの期間は最長35年で、そのすべての期間、金利が固定されているという特徴があります。
金利が固定されているため、返済開始から終了までの借り入れ金利と返済額が確定して、返済計画が立てやすく、安心してローンを組むことができます。ただし、フラット35は誰でも申し込めるものではなく、融資を受けるにはいくつか条件があるので注意が必要です。
まず年齢要件として原則申し込み時点で70歳未満でなければなりません。また年収にも基準があります。
フラット35以外の住宅ローン、カーローンや教育ローンといったすべての借り入れが年収に対して次の割合以下であることが必要です。
年収400万円以下 |
全ローンの合計の返済額が年収の30%以下 |
年収400万円以上 |
全ローンの合計の返済額が年収の35%以下 |
さらにフラット35の対象となる住宅は戸建ての場合床面積が70㎡以上、マンションの場合は30㎡で、かつどちらも住宅金融支援機構が定める技術基準に適合している新築住宅あるいは中古住宅でなければいけません。
基準をクリアしてフラット35の融資を受けられることになった場合、住宅取得価額の10割で最高8000万円まで借り入れることができます。
気になる金利ですが、融資実行日の金利が適用され、この利率は取り扱い金融機関によって独自に決められます。また、フラット35で住宅ローンを組んでも、先ほど説明した繰り上げ返済や借換えをすることも可能です。
フラット35の場合、繰り上げ返済は無料ででき、窓口申し込みであれば100万円以上から、ネット申し込みであれば10万円から受け付けてもらえます。
ペアローン、リレーローン
住宅ローンを組みたくても、中には収入が不安定であったり、年齢が若く勤務年数が短いといった理由から住宅ローンの審査に通らない人もいるでしょう。
そんな人におすすめなのが、1人でローンを組むのではなく、家族と協力してローンを組む方法です。そのひとつが「ペアローン」。
ペアローンとは夫婦の収入を合わせてローンを組むことで、住宅ローン控除もそれぞれ受けることができるというメリットがあります。
もうひとつの方法が「リレーローン」といわれるもので、これは親子で二世代にわたりローンを組むやり方です。
子どもの年齢をもとに借入期間が設定されるので、親だけがローンを組むよりも返済期間を長くとれるので、ゆとりをもって返済計画を組めるというメリットがあります。
特に二世帯住宅を購入する人が多く利用する住宅ローンです。
団体信用保険
住宅ローンを組むとほとんどの人が加入するのが団体信用生命保険でしょう。通常「団信(だんしん)」とも呼ばれます。
この保険は住宅ローンの債務者に万が一のことが起こり、住宅ローンを返済できなくなったときに備えるもので、その時点での住宅ローンの残高と同額の保険金が金融機関に支払われます。
この保険に入っておくことで、一家の大黒柱に万が一のことが起こっても残された家族がローンの返済に苦しむこともなく、安心して暮らしていけるのですね。
まとめ
家というのは人生で一番高い買い物といわれるので、ローンを組むとかなり長期に渡る返済が必要となります。住宅ローンの返済に追われて生活が苦しくならないように、自分にあった住宅ローンを組むようにしましょう。近い将来に住宅購入を考えている方は、住宅ローンの金利の推移もチェックしておくといいかもしれません。
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この記事を書いた人
ライター
渡辺あい(わたなべ あい)
銀行員として勤務の後ライターへ
4人の子供の母としてもお金の観点を持つ事が出来るのが記事の魅力。
FPの資格を活かした金融の記事に定評がある。
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