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貯蓄

ゴールベースアプローチ貯蓄から投資へ

ゴールベースアプローチ貯蓄から投資へ

「どうしてお金を増やしたいのか?90%の人が分かっていないシンプルな疑問」

貯蓄から投資へというフレーズを聞いた事は無いでしょうか?最近再びよく聞かれるようになりました。

実はこのスローガン、2003年に掲げられたものですから結構歴史があります。大手企業を中心に確定給付型の企業年金が拠出型の企業年金に移り変わっていったのもこの時期です。

日本人は貯蓄志向と言われていますが、これまで長らく貯蓄信仰が続いていたのに、何故投資を推奨するようになったのでしょうか。

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・貯蓄から投資へ

日本銀行が公表している「日銀資金循環統計」で個人の金融資産の総額が2000兆円にも上るというのを見たことがあるかもしれません。

その内、実に50%が家計の貯蓄で構成されています。同指標をアメリカで考えると14%に過ぎませんから、如何に銀行にお金を眠らせている人が多いかが分かります。
貯蓄から投資へというのはこの資産を投資に回してもらいたいという思惑が込められています。
今、世界中で消費者物価指数(CPI)が高まっています。

物価が上がるという事は相対的に貨幣の価値が下がります。
預貯金として眠っている1000兆円もの資産の価値が目減りしていく事になるのです。
これら資金をモノや事業に転化していかないと日本の国力や競争力は低下する一方となってしまいます。
そこで何とか、市場にお金を流して経済を活性化したいというのがスローガンに込められている意味なのです。
では、何故投資へお金を回す事が経済の活性化に繋がるのでしょうか?

・間接金融から直接金融へ

私たちが貯金している銀行のお金は融資という形で企業に流れていきます。
私たちのお金が銀行を経由して間接的に経済に流れ込むことから間接金融と呼びます。

個人の金融資産が多い日本では各家庭の資産を銀行が代表して融資を通じて運用しているようなものなのです。
この間接金融には融資先が限定されていくという特徴があります。
銀行からすると返済されないリスクをなるべく負いたくありませんから、どうしても大企業への融資や担保融資に偏重してしまいます。
その結果、新事業やベンチャー企業を育む土壌が育たない事に繋がるのです。

銀行は貸し渋る、、、、なら直接個人から企業へお金を流す

失われた30年などと言われていますが、低調な日本経済では経済の回復が急務となっています。
そのためにも企業には新たな事業に挑戦してもらい、新規事業や設備への投資が求められているのです。
にも拘らず、リスクを取らない銀行の融資姿勢では日本の経済状況との親和性が低く、間接融資では今の日本経済を復調させる事が出来ません。
もっと、積極的に市場を活性化出来る手段、株式投資などを通じて直接企業の資金調達にお金を流入させる事が奨励され始めました。これを直接金融と呼びます。
企業は銀行の金利よりも高い利回りを提供する代わりに資金提供を受ける事が出来ます。
株式市場から資金調達する事が当たり前になっているアメリカで、スタートアップ企業やベンチャー企業が成長しやすいのは直接金融の仕組みが上手く合致しているためでもあります。
「貯蓄から投資へ」とは埋もれている個人の金融資産を経済に還元させて活用する事こそがその目的なのです。

・では一体何に投資すれば?

国策として投資を奨励している事は分かりました。
確かにiDeCoやNISAという言葉を良く聞くようになり、投資という単語の持つイメージもここ30年で大きく変わった事を感じます。
30年前に投資なんて単語は個人の世帯に縁の無い一部の金持ちのためのものだったように思います。

今では、学生でも資産運用を考える時代です。
全ての人に金融リテラシーが求められている時代と言っても良いでしょう。
では、いったい何に投資をすれば良いのでしょうか?
「貯蓄から投資へ」と言うのは何も貯蓄よりも投資の方が良いですよという話ではなく、皆が皆お金を溜め込まれては皆が損をしてしまいますよという話です。

何もしないと減るばかり

投資をすれば良いのではなく、投資をしないと損をするという話です。
投資を通じて金融資産を保全しなければ、物価高に応じて貨幣価値は目減りして、貯蓄したお金はどんどんその価値を損なっていきます。
ここで重要なのは「何もしなければ資産が目減りするリスクがある」事だけが分かっている事です。
「これをすれば資産が増える」という所までは言及されていませんから、何に投資すれば自分の金融資産を守れるかは個々人が考えていかなければいけません。
安易に目先の儲け話に釣られて高リスクの金融商品に手を出して大損をするなんて事になる訳にはいきません。

投資というものは楽して儲かる「濡れ手に粟」な話などではなく、勉強してコツコツと考えてアクションしていく長期戦なのだと考えて下さい。
それでは、どうやって自分の投資を考えていけば良いのでしょうか?

・ゴールベースアプローチという手法

ゴールベースアプローチという手法があります。
これは90年代にアメリカで確立され、証券会社や銀行などの投資商品販売の現場で普及しています。
財産形成をゴールから考えて設計し、どんなポートフォリオを作っていくのかを考えるという手法になります。
近年日本でも良く聞くようになり、資産運用の方針を決める際の指針として受け入れられています。
ゴールから考えるという事を具体的な例を取ってみましょう。

65歳が定年ならその時いくらあれば良いのか?

標準的な夫婦世帯が将来の資産形成を考え始めたとします。
保険、投資信託、定期預金、財形貯蓄など色々な投資手段や資産形成手法を検討するかと思います。
これらは手段ですので、ゴールベースアプローチでは後から考えます。
最初に考える事は「一体いつまでにどれだけの財産を作るのか?」という部分になります。
ゴールベースアプローチはゴールという言葉からも分かる通り、想定される投資結果から考えていきます。
65歳まで働く事が当たり前になってきていますから、65歳時点をいつまでの答えにしてみましょう。

次にどれだけの資産を作るのかという事ですが、生命保険文化センターの発表ではゆとりある老後生活に必要な資金は月間で37.9万円とあります。
年金の支給がありますから、全てを自分の資産で賄うことはありません。
毎月20万ほど不足額が出るでしょうか。

老後生活が30年間続くと想定すると20万円×12か月×30年間で7000万円ほどの金融資産が必要という事になります。
結構な金額になりますね。
ただ、注意したいのがこの金額はあくまでも「ゆとりある老後生活」に必要な金額である点です。

老後をただ生きるものにするか、充実したものにするか、、

ゆとりある老後生活とはたまには旅行に行ったり、孫子に何か買ってあげたり、趣味や人付き合いなどを不足なく送れるような暮らしの事を指します。
贅沢をしなければもっと安く暮らしていく事も出来るでしょう。
同調査でも最低日常生活費は23.2万円となっています。
自分自身がイメージする老後生活のグレードによって計画する資産を決めていけば良いと思います。

さて、7000万円を65歳までに作ろうと計画しました。
次に考えることが「どうやって?」になります。

老後資産の作り方は人それぞれ

このあたりから世帯により状況が様々なので、一概に言えなくなっていきます。
30歳の世帯と40歳の世帯では65歳までの時間が35年と25年で10年も差があります。

仮に7000万円を貯蓄しようと考える場合
7000万円÷35年=毎年200万円の貯蓄
7000万円÷25年=毎年280万円の貯蓄

このように計画にも差が生じます。
財産形成では目標として定めた時期までにどれだけの時間を使えるかは非常に重要です。計画する時期に応じて自分達が何を活かせるのか確認していきます。他にも現在の金融資産も重要な項目です。投資をして資産を拡大していく以上、現在の資産高に応じて取ることの出来る手段も広がっていきます。

全く自己資金の無い人が選ぶことの出来る手段は限られますが、投資資金があればそれだけ作戦も増えていく訳です。

現在持っているお金だけが計画に含まれる自己資金ではありません。退職金や相続財産、保険の解約返戻金など自分自身のお金に関する予定をしっかり把握しておきましょう。

それら各世帯の今の状況が確認出来たらいよいよどうやってどの投資で増やしていくかを考えていきます。

資産運用が上手くいかない人に良くあるケースはこの目標設定が定まっておらず、思い付きで運用を行うため資産運用自体が長続きしないためです。

・投資商品の決め方

目標設定が出来て、現状の自分の金融資産も確認出来たら、いよいよゴールベースアプローチの実践となります。

肝心要の運用商品の決め方について解説していきます。
金融商品は全てリスクがありリターンがあります。
元本保証型、元本確保型などは低リスクですが、リターンも少なく、高利回りを謳う金融商品はそれだけリスクが高くなります。

リスクとリターンは表裏一体

収益性が高ければリスクが高く、安全を求めれば儲からない。
このリスクとリターンの相関性を良く理解しておく事が重要です。
利回りが高ければ利益が大きく出るという事になります。
しかし、高ければ高いほど良い訳ではありません。

大切な考え方は作ろうと思っている形成財産に対して自分はどれだけのリスクを負う事が出来るのか?と考える事です。

基本的に多くの世帯ではリスクを負えません。
それなりに資産があって、独身であるならば大きな資産形成をリスクを取って計画する事も可能かもしれません。
しかし、多くの世帯にとっては子供の教育資金や親の老後生活など資金的な負担の発生が予測されていて、資産を減らす事を許容出来る状態で無い事が殆どです。

なので、どれだけ儲かるのか?ではなく、どれだけリスクを負って大丈夫なのか?と考えていく事が大切になります。

貯蓄で貯めていく事が難しいのであれば、どれだけは貯められて、どれ位は投資でお金を作らなければいけないのかを考えます。
全てを貯蓄で賄おうとするのも非合理ですし、全てを投資で生み出そうとするのも無計画です。

計画的に財産形成をする

資金を貯めていく事も実際に投資する事もどちらも資産形成です。
投資資金が無いのであれば作るための計画
投資資金をどう使うのかはどれだけのリスクを負えるのかから逆算
しっかりと計画立てて資産運用を進めていけば投資は恐れるものではありません。
目標とする資産形成の形の実現のためにどのような計画を立てればよいのか「ウルトラ金融大全」では詳しく解説しています。

一度セミナーを見て自身の財産形成に役立ててみてください。

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この記事を書いた人

佐藤大介

ライター

佐藤大介(さとうだいすけ)

ウルトラ金融大全局長
ウルトラ金融大全の監修を務めます。
金融リテラシーを高める為、セミナー講師として活動。
「超一流の口だけ男」と評される氏のセミナーは非常に分かりやすく、何度も受講するファンが沢山います。
リンクからウル金セミナーも是非ご覧下さい。

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