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不動産
中国経済が日本にもたらす影響は?2023年の動向をもとに解説
最近では、中国のバブル崩壊が世間で騒がれています。中国の不動産市場における低迷は、加速するのでしょうか。また、最近の中国経済の状況が日本にどのような影響をもたらすのでしょうか。
このような情報は、他国の動向だけに、臆測や関連性などで判断してしまいがちな面もあります。そこで、本記事では公的機関や証券会社などの見解を参照しつつ、動向を解説します。中国経済が日本におよぼす影響について、じっくりと考察するので、ご一読ください。
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目次
中国経済が日本に影響する部分は?
中国のバブル崩壊は、日本のバブル崩壊のような状態になるのでしょうか。中国のバブル崩壊は、不動産大手2社の経営状態の悪化が要因のひとつです。
恒大集団のこと
中国の大手不動産開発企業のひとつは、恒大集団(こうだいしゅうだん:チャイナ・エバーグランデ )のことです。中国不動産会社大手(マンション開発)企業の経営悪化が中国経済を不安にしています。
具体的には、恒大集団が2023年8月17日に米国連邦破産法 第15条の適用を申請したことです。この申請により経営破綻が騒がれました。恒大集団は、2021年より債務超過で経営危機を匂わせていました。その状況からの展開のため、中国の不動産市場は動揺したのではないでしょうか。
恒大集団は、2022年に債務不履行(デフォルト)となって、負債額2兆4374億元の債務超過が伝えられています。破産法の申請は、その債務超過から破産とならないための対応とのことです。
米国での破産法申請は、恒大集団の米国にある資産を守るための対応。あくまでも破産を防ぐための処置と伝えられています。出典:※3
碧桂園のこと
もう一つの企業は、碧桂園(へきけいえん:カントリーガーデン)とのことです。こちらの企業も、中国不動産会社大手(開発事業)企業。碧桂園も2023年8月6日に債務不履行(デフォルト)となっています。出典:※7
中国の不動産開発会社大手2社が立て続けに経営破綻が話題となっているため、中国の不動産市場の崩壊を予測している人も少なくありません。実際には今後の動向が気になるところです。
この中国バブル崩壊が騒がれている状況において、「中国の経済は今後どうなるのか」は、注目されています。日本は、自国においてバブル崩壊を経験しているだけに、不動産市場の停滞は敏感な受け止め方をすると考えられます。
公的機関の情報でも、臆測的な内容が多く、ピンポイントな判断にたどり着くことが難しいかもしれません。
中国経済が日本に与える影響
では、中国の経済が日本に与える影響は、何が考えられるのでしょうか。中国経済の減速は、日本との貿易が懸念されるところです。
三井住友DSアセットマネジメントでは、「中国経済が減速した場合」と表現して日本経済の今後について解説しています。参照元:※1
ポイントとなる部分は、日本の輸出相手国第1位が「中国」という点です。
2021年日本からの輸出(相手国との輸出額 |
||
国 |
輸出額(単位100億円) |
全体割合 |
中国 |
1798 |
21.6 |
米国 |
1,483 |
17.8 |
台湾 |
599 |
7.2 |
韓国 |
577 |
6.9 |
出典:※2で公開中のデータを参照のもとを作成
日本から中国への輸出額は、全体の2割ほどを占めています。そのため、中国への輸出ができなくなれば、日本経済にとってもマイナスです。三井住友DSアセットマネジメントによると、中国への輸出減少の傾向は、2023年7月まで8カ月連続で少なくなっていると伝えています。日本からの主な中国への輸出品目は、半導体などの製造装置とのことです。
ただし、日本ではその対処として減少した部分を、米国や欧州諸国への輸出増加で補っていると伝えています。
また、中国では国をまたぐ資本の移動に制限があるとのことです。中国国内の金融破綻が起きた場合は、「海外への直接的な波及は大きくない」とも伝えられています。
ただし、中国国内の金融機関の危機的状況は、リーマンショックのような世界的な状況にはならないとのことです。想定外の状況も踏まえて、慎重に中国経済の動向を見守ることも必要ではないでしょうか。出典:※1
中国に対する世界の動向
野村総合研究所(以下NRI)によると、世界の中国への反応は成長率を下方修正とのことです。2023年の中国における不動産市場の動向から、中国政府が見通した経済成長率5%よりも低く見とおしています。下方修正の裏にあるものは、次の要因をあげていました。
- 人口減少
- 直接的なj海外からの投資鈍化
NRIで公開している内閣府の見解では、「中国の国内総生産(GDP)が1%変化した場合は、日本も含めた世界主要国への影響は少なくないと判断しています。
日本の成長率は、中国の成長率の下振れ1%に影響を受けて、2023年度に日本政府が掲げた1.3%の成長率も半減するとのことです。出典:※4
以上の内容から、日本は中国経済の影響を受けると判断しておくべきではないでしょうか。その影響とはゆっくりと段階的に受けるのか、それとも大きな衝撃として受けるのかは気になるところです。
NRIによると、物価高が課題の日本では中国経済の成長率下振れが悪い面だけではないと伝えています。
中国経済が下振れることで資源国への影響は大きくなりますが、世界的な商品市況が下落し、物価の安定効果を期待できるとの見とおしです。
日本の物価安定回復が期待できるのであれば、悪い面だけではないかもしれません。参照元:※4
中国経済と日中経済のおさらい
ここで、中国経済と日中経済を外務省の公開している資料を参考にしてまとめてみました。資料は、2023年7月に公開されています。出典:※6
中国経済の状況
中国経済を分析する項目 |
状況 |
GDP成長率世界第2位 |
世界全体の約18.1%規模 |
2023年のGDP目標成長率 |
5.0%前後 |
2022年の消費(前年比) |
0.2%減 |
2023年の消費(1~6月期前年比) |
8.2%増 |
2022年の投資(前年比) |
5.1%増 |
2023年の投資(1~6月期前年比) |
3.8%増 |
2022年の生産(前年比) |
3.6%増 |
2023年の生産(1~6月期前年比) |
3.8%増 |
2022年の失業率(前年比) |
中国政府目標:5.5% |
2023年の失業率(1~6月期前年比) |
中国政府目標:5.5% |
2023年の若年層失業率(1~6月期前年比) |
21.3%(過去最高の数値) |
2022年の輸出(前年比) |
7.0%増 |
2023年の輸出(1~6月期前年比) |
3.2%減 |
2022年の輸入(前年比) |
1.1%増 |
2023年の輸入(1~6月期前年比) |
6.7%減 |
2022年の輸出入総額(前年比) |
4.4%増 |
2023年の輸出入総額(1~6月期前年比) |
4.7%減 |
出典:※6のデータをもとに作成
2023年の若年層失業率は、対象が16歳〜24歳となっています。過去最高の失業率となっている点は、経済の悪化にも関係しているのではないでしょうか。
また、貿易は、2022年から2023年にかけて輸出入どちらも下振れとなっています。その分、国内生産や消費が増えている様子もうかがえるでしょう。
日中経済の状況
日中経済を分析する項目 |
状況 |
日本にとっての貿易相手国「中国」(2022年) |
貿易相手国第1位 |
中国にとっての貿易相手国「日本」(2022年) |
貿易相手国第3位 |
2022年の日中貿易総額 |
43.8兆円(前年比14.3%増) |
2022年の日本における輸出額で中国が占める割合 |
19.4% |
2022年の日本における輸入額で中国が占める割合 |
21.0% |
2022年の日本における輸出入総額で中国が占める割合 |
20.3% |
日本の中国に対しての直接投資額(2022年) |
1兆956億円(前年比4.4%増) |
日本にとっての貿易相手国「中国」(2022年) |
投資先国第3位 |
中国にとっての貿易相手国「日本」(2022年) |
投資先国第3位 |
2022年10月における世界の日系企業拠点数 |
中国:3万1,324拠点(海外拠点数第1位) |
2022年における訪日中国人観光客数 |
約18.9万人(前年比347.5%増:世界対象で第7位) |
出典:※6のデータをもとに作成
上記に紹介した中国経済や日中経済の概要は、2022年のデータからさまざまな視点で状況を把握できます。たとえば、コロナ禍で海外からの訪日に制限を掛かっていた2021年と比較した場合、圧倒的な数字で観光客は増加していている状況です。
またデータからは、日本との投資や貿易の関係も2022年まで増加傾向であることが把握できます。中国経済の日本への影響は、これから押し寄せてくるとも考えられるでしょう。
総括~中国経済の長期停滞は回避できるのか
本記事では、中国経済と日本への影響について、さまざまなデータの視点で考察してきました。ザックリとした見解では、2022年までの増加傾向から一転、下振れとなっていることが理解できたでしょうか。
また、日本総研が2023年8月25日に公開している資料では、中国経済の長期停滞を回避する方法も言及しています。それは、景気の悪化に対して不動産規制の緩和やインフラ投資の拡大で従来の構造を維持しないことと伝えています。
ただし、中国の不動産市場における調整圧力なども高まれば、企業破綻が加速して経済危機に陥ることも懸念されるとのことです。今後の動向が注目されます。海外経済の動向は、多角的に見ていく視点が必要なのでしょうか。
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【出典・参照元記事URL】
※1:三井住友DSアセットマネジメント「中国経済が一段と減速した場合の日本経済と日本株への影響を考える」
https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2023/09/irepo230908/
※2:日本貿易会「日本の主な貿易相手 | JFTC キッズサイト」
https://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/country.html
※3:楽天証券「トウシル」
※4:野村総合研究所(NRI)「コラム|2023年8月30日」
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0830
※5:日本総研「中国経済の『日本化』と長期停滞の懸念」
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/viewpoint/pdf/14411.pdf
※6:外務省「中国経済概要|日中経済概要」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000007735.pdf
※7:野村総合研究所(NRI)「コラム|2023年8月15日」https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0815_2
この記事を書いた人
ライター
江戸利彰(えどとしあき)
ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。
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