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不動産

鬼城と腐った家の問題は?中国の住宅ローン事情も絡む社会問題

鬼城と腐った家の問題は?中国の住宅ローン事情も絡む社会問題

中国では、不動産市場の冷え込みが続き、人々の暮らしにおいてあらゆる問題が発生しています。一時期は、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していた中国経済でしたが、2020年ころからバブル景気も衰退の方向へ向かっている状況です。2023年に入ってからの不動産開発企業の経営不振の動向が注目されています。

中国のバブル時期に増えた高級マンションは、完成しても住み手のいない状態が伝えられています。また、不動産開発会社が着工を途中で終了してしまった未完成のマンションも存在しているとのことです。

完成しているけれど誰も住んでいないマンションは、「鬼城」と呼ばれています。また、未完成の状態で何年も放置されているマンションを「腐った家」と呼んでいるとのことです。

今回は、中国のバブル崩壊が招いた鬼城と腐った家について解説します。その裏事情にあるマンション購入者の住宅ローンの状況なども踏まえて考察するので、ぜひご一読ください。

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鬼城について

鬼城と聞いて良いイメージを抱く人は少ないのではないでしょうか。何といっても「鬼の城」です。鬼城とは、中国のゴーストタウンのこと。誰も住んでいないマンション(住宅)の呼称として使われています。

鬼城の意味

最近では、中国の不動産バブル崩壊が騒がれています。不動産開発で人口数以上に作り過ぎた結果として、入居者のいないマンションや稼働していないショッピングセンターなどが増えているとのことです。出典:※1

中国の鬼城は、日本で起きている空き家問題とはニュアンスの違う問題です。鬼城は、投資目的の不動産開発事業の結果として増えたとのことです。出典:※1

中国の総人口は、2021年時点で14億人から減少傾向へと変化しています。そのような状況下で、不動産開発事業が進み、供給された住宅は34億人分とのことです。要するに、実質的な住居としての利用であれば「住みきれない」という状況ではないでしょうか。出典:※2

鬼城が増えた背景

34億人分まで在庫が増えた分譲マンションには、中国の不動産開発事業の仕組みが影響しているとも伝えています。日本国際フォーラムによると、中国の不動産開発では住宅や商業施設などの場合は契約者から全額前金で費用を受け取れるとのことです。

不動産開発企業にとっては、全額前金で受け取れる購入代金の仕組みから、2018年~2021年にかけて住宅や商業施設の開発が増えました。この作る前に全額受け取れるという仕組みに着目した不動産開発会社は契約数を増やしてまとまった資金集めに注力しました。

その最中に発生した事象が新型コロナウイルス感染症です。コロナ禍は、人々の生活様式を一変させて、いままの常識がくつがえされました。2021年~2022年においてコロナ禍の生活様式が変わったことの影響です。さらには、不動産会社の金融規制なども影響して不動産開発会社の資金繰りが難しくなったと伝えています。出典:※2

中国では、中央政府が国有地の扱いを地方政府に委ね、地方政府の収入源として国有地に住宅や商業施設を建てる動きが活性化しました。不動産開発会社は、建築費用を全額前金で受け取れるため、建物を建てることに躍起だったのでしょうか。

国有地に建てたマンションは、中国の人々にとって居住目的だけではなく、土地の価格が上がることを想定した投資目的も多かったとのことです。購入したマンションを価格が上がったら売却するイメージで過剰貯金は使われたとも考えられます。

2020年頃までが中国のバブル景気の分岐点ではないでしょうか。それ以降は、中国の不動産市場で経営悪化が見受けられました。不動産開発企業が経営不振となって、工事を途中で終えてしまえば未完成のままです。未完成のままのマンションに誰も入居者のいない状態が未完成の鬼城。出典:※2

また、完成したマンションを投資目的で購入してはみたものの入居者が見つからず空室の状態も鬼城と呼びます。

腐った家について

中国では、一部地域で未完成の鬼城に住む人もいて社会問題となっています。2023年9月19日公開のANN Newsチャンネルでは、その様子を伝えていました。

腐った家に住む住人の状況

中国当局では、未完成のマンションに誰かが住みつく状況を表現しています。中国各地で未完成のタワーマンションに強行で住みつく行為、いわゆる入居強行が相次いでいるとのことです。

同チャンネルの報道の対象となっているのは、中国陝西省(せんせいしょう)に立つ高層タワーマンション。日本でいえば、東京の虎ノ門や代官山などの高級タワーマンションではないでしょうか。報道の中国陝西省のタワーマンションは、CEO待遇のサービスが期待できるマンションと伝えています。

この分譲マンションは、完成していればCEO待遇の住環境が期待できたかもしれません。しかし、ふたを開けてみると、工事は8年間中断したままです。

報道で取り上げられていたマンション住人は、未完成のマンション一室に住んでいました。もちろん、未完成のマンションは、人が住むレベルではありません。何といっても電気が通っていない状態だからです。

エレベーターも動いていないため、20階に住む男性住人は階段で20階の部屋まで行き来しています。未完成ながら、この男性は20階マンションの一室をおよそ560万円で購入しているとのことです。住人は、自分の住居としての権利を主張する意味も込めて電気ガス水道の通っていないマンションで暮らしている状況。

この未完成のマンションには、同じような他の住人もいて、電気ガス水道がないため1階のガスコンロ1台の共同キッチンで食事の支度を共有しています。

このような未完成マンションのことを中国では「腐った家」と伝えています。腐った家は、中国各地で点在する鬼城と同じように社会問題となっている状況です。

腐った家に住む理由

中国の未完成マンションに不便な生活を強いられながら住む理由は、どこにあるのでしょうか。腐った家に住む理由は、住人があえて不自由な生活をすることで関係当局に重大さをアピールするという点です。

生活状況のアピールによって販売する企業に圧力が掛けられれば腐った家の問題もかいけつするという住人の切なる訴えとも考えられます。報道では、この腐った家問題が今後も増えていくと伝えています。参照元:※3

ここで紹介した物件購入者による不自由な生活でアピールする抗議行動は、「早く工事を再開してほしい」や「早く自分のマンションに住ませてほしい」という思いからでしょう。中には、住んでいないマンションの住宅ローンを支払っている人もいるとのことです。

中国ではプレ販売という仕組みにより住宅の契約時に販売代金の支払いを行ってしまいます。
住宅ローンがある場合竣工を待たずにローンを組む事も支払いも済ませてしまいます。
なので、家が完成していなくてもローンは残り、その支払い責任が発生してしまうのです。

住宅ローン拒否問題

中国における完成したマンションと未完成マンションの問題は、分譲マンション購入者の住宅ローン問題にもつながっています。中国では、2022年ころから住宅ローンの拒否騒動が問題となりました。

Bloombergが2022年7月に公開した内容は、本記事のテーマとしている未完成の鬼城、腐った家を購入した人の住宅ローン問題です。先述した陝西省のマンション住人は、不自由な生活で入居強行して圧力をかけていました。

同じような未完成マンションの購入者は、物件の完成(引き渡し)が長引くことで抗議行動として住宅ローン支払い拒否運動を起こしたとのことです。出典:※5

実際は、住宅ローン支払い拒否の内情は個人ごとの都合であることが考えられます。ただし、中国の金融規制当局はこのような未完成マンションに入居できない人へも配慮しています。
金融規制当局は、銀行に対して経営悪化状態の不動産開発企業への融資増額を要求したとのことです。また、住宅購入者には、ローン返済の猶予期間も考えていると伝えています。出典:※5

この問題は、住宅ローンの支払い開始の仕組みが大きなポイントとのことです。日本では、住宅ローンを組んだ場合、ローン支払い開始は物件の引き渡し日が一般的。しかし、中国の場合は、物件購入者が手付金を支払ったときからローンの支払いが始まるとのことです。

この仕組みは、不動産開発企業にとっては物件購入者の手付金と銀行からの融資金を着工前から受け取れるメリットが考えられます。一方の物件購入者の立場では、引き渡し前からローンの支払いが始まっているため、未完成のまま引き渡しされない状態はバランスを欠く状況です。鬼城や腐った家の購入者は、今後どのような展開を迎えるのでしょうか。

中国の「鬼城」や「腐った家」問題から学ぼう~お金について~

中国の不動産市場におけるバブル崩壊の懸念は、あらゆる要因が積み重なって起きています。今回考察した鬼城や腐った家にしても、中国が2000年以降にとってきた国有地の私有化から始まっているとも考えられます。

景気が良ければ、その波に便乗したくなるのは一般的な動きですが、中国の総人口以上に増えた分譲マンションは、どの程度明確なビジョンがあったのでしょうか。実際に、本記事で紹介した報道内容の住人による抗議行動や住宅ローンの返済拒否などは、物件購入者の憤りをあらわしています。

日本でも日銀の動向次第では、住宅ローンで右往左往する人が出てくると考えられます。自分の身を守るのは、自分と言うことから判断すると、お金についての知識は必要ではないでしょうか。

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【出典・参照元記事URL】

※1:福井県立大学「共同富裕と債務問題が中国経済の足かせ」
https://www.fpu.ac.jp/rire/publication/report/d154226_d/fil/2023–8.pdf

※2:公益財団法人日本国際フォーラム「役員等論文|中国ー過剰債務の混迷」
https://www.jfir.or.jp/2023/09/28/10000/

※3:ANN Newsチャンネル2023年9月19日投稿動画
https://www.youtube.com/watch?v=_eYc2RWkIr4

※4:第一生命経済研究所経済調査部「Asia Trends」
https://www.dlri.co.jp/pdf/macro/04-14/as08138.pdf

※5:Bloomberg「中国住宅ローン返済拒否拡大-集団で解決迫る購入者、党大会前に難題」https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-19/RF95G8DWX2PS01

この記事を書いた人

江戸利彰

ライター

江戸利彰(えどとしあき)

ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。

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