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中国離れが加速!中国バブル経済の今後はどうなる?
現在、多くの課題を抱えている中国。その課題により、外国の資本が徐々に中国から流出していると言われています。中国はどんな問題を抱え、そして諸外国やマーケットにはどんな影響を与えているのでしょうか。今回は、それらを紐解いていきます。
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目次
中国の不動産バブル崩壊
以前にも、大手不動産の不良債権問題はささやかれていましたが、ここへきて再び話題となってきました。今回は、目に見える案件もでてきました。
中国恒大集団の破産法適用申請
2021年に、約12億ドルの国際融資の利払いが期限までに執行されず債務不履行に陥った中国恒大集団。債権者との交渉をすすめてきていました。そして2022年3月より、中国恒大集団の株式の取引は停止されていました。
昨年は、ほとんど中国恒大集団の報道は耳にすることはありませんでしたが、2023年8月、アメリカはニューヨークの裁判所に連邦破産法第15条の適用を申請することとなったのです。かつては中国トップの不動産大手でしたが、約3,000億ドル以上の負債を抱えるまでになったのでした。
ほかの不動産やファンドも続々と
中国の不動産に関する不良債権は、中国恒大集団だけの問題ではありません。2023年8月には、碧桂園(カントリー・ガーデン)が、2023年上半期に最大76億ドル(約1兆1,120億円)もの損失を計上する可能性があると発表しました。
そして不動産会社のみならず、中国の資産運用大手である中植企業集団傘下中融国際信託の高利回り信託商品が債務不履行になりました。この傘下の会社は、信託財産の約1割を不動産に投資していたことから、不動産価格下落の影響を受けたものと思われます。
中国の不動産不況の背景
中国が不動産不況に陥る原因となったのは、2020年8月に中国政府がおこなった規制強化です。これは、財政不安のある不動産開発企業に対する銀行融資の規制を強化して、過剰な不動産投資を抑制するのが目的でした。
この規制をおこなうのには、中国の異常な不動産価格の高騰が背景にありました。これは、日本の1990年代前半に、同じく異常な不動産価格の高騰を重くみた政府が「総量規制」をおこない不動産価格が下落し、バブルが崩壊した過去と非常に似ています。
中国の不動産バブル崩壊が日本に与える影響
この不動産バブルの崩壊は、少なからず日本に悪い影響を与えるでしょう。中国の景気は、かなり減退しています。コロナ禍までの10年間のGDP成長率は年平均約7.7%あり安定していたところが、2023年は5%、2024年には4.5%にまで落ち込むと想定されています。
そんな中国が最大の貿易相手国である日本に影響がないとは思えません。2022年4月から2023年4月までの毎月の対中国輸出額は前年より平均で約13.3%も減少しています(日本貿易振興機構 中国地域別情報
この流れは当分続くのではないかと思われます。そして、中国の需要が弱いとなれば、輸出が減り、投資額も縮小するのではないでしょうか。
中国の対外企業への圧力
中国は、この数か月、外国の企業や食品への圧力をかけています。そして、それは経済的な面で「中国リスク」を実感させるものとなっています。
iPhoneの利用禁止
2023年9月、中国政府は、政府職員や国有企業の職員にiPhoneの利用禁止を命じました。これに伴いアップル株は、2日間にわたり大きく下落して約28兆円の時価総額を失いました。
引用:楽天証券よりhttps://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/search/us_search/chart.html?ric=AAPL.O
iPhoneを使用することで、何か問題が生じた場合、責任を問われるという警告が発せられました。上級社員はすでに数年前からスマートフォンは、中国ブランドであるファーウェイを使用することを求められていたということです。
アメリカ上層部では、中国の景気減速が長引くにつれて、外国企業への圧力が高まってくると、強く懸念しています。アップルは今後、中国での売り上げが減速していくと見込まれており、それに伴って株価が大きく下落しました。
現在でも、中国でのスマートフォンのシェアは、中国企業がiPhoneを追っており、このままでは首位が逆転することも考えられます。
テスラ車の乗り入れ禁止や値下げ圧力
テスラ車が中国の一部の地域で乗り入れ禁止となりました。特に中国の軍事施設への乗り入れは、ここ数年、禁止されていたことではあります。その理由として、テスラ車の中に内蔵されているカメラが機密データの収集に利用されているのではないかとの疑念があげられます。
そしてテスラ車はここ数年、中国国内で値下げ圧力で苦しんでいます。テスラは中国での需要拡大を見込み、2022年に上海工場の生産を増強しましたが、予想以上に需要が見込めず、値下げをせざるを得ない状況となっているようです。
しかし、2022年に関しては、テスラだけがこのような苦しみを味わったわけではないようです。中国での景気減速も伴い自動車業界全体に元気がない環境となっていたからです。政府が支給していたEV車促進のための補助金の政策が2022年末で打ち切られたことも大きかったでしょう。
福島原発の処理水放出にともなう日本産水産物の輸入停止
2023年8月、福島第一原発の処理水が海に放出されました。それにともない中国政府は日本産の水産物の輸入を全面的に中止しました。
日本の水産物の輸出は、その多くが中国へ向けてのものです。そして輸出額の半分を占めるホタテをはじめとして、マグロやハマチなどが出荷できなくなってしまいました。漁業関係者の業績悪化が懸念されています。
そして処理水放出の影響は、日本の漁業関係者だけではありません。中国の日本料理店なども客足が減っています。そして、不思議な現象も起きています。それは中国人から、日本企業や日本の飲食店などへ執拗ないやがらせ電話がかけられていることです。それは1度や2度ではなく、同じお店に1日に数百回という考えられないほどの回数にのぼっているのです。
これらの行動は、中国国内の不況や若者の高い失業率に対する国民の不満を国内から日本へ向けさせて、政府への批判をかわすための策として国を挙げてネガティブキャンペーンをおこなっていると言われています。
中国リスク
これらの中国の姿勢は、中国企業や中国政府を守ったり、中国国民の不満のはけ口を作るためにおこなわれているのかもしれません。
しかし、それは逆に中国が自らのクビを締めているとも言えます。アップルしかり、テスラしかり、もちろん自社の発展が一番大事だから、売上が見込める中国へ進出しています。そして、それは中国への投資でもあります。
工場の建設に多額の費用を投じることにより、建設会社は売上や利益をあげています。そして、製品を作るための従業員を雇うための人件費を投じています。雇用が促進され、従業員はその給料で買い物をしたり、税金を払うことで街が潤います。
そうした海外からの投資で中国はいままで、大きく成長してきたのです。しかし、このような摩擦が起きるようでは、中国への投資が減っていくのは仕方がないといえます。
改正反スパイ法の成立・施行
2023年7月1日、改正反スパイ法が施行されました。これは国外企業の脅威となっています。
改正反スパイ法とは
2014年に施行された「反スパイ法」が改正されました。これは「国家の秘密や情報」に加えて「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料や物品」を盗み取ったり、提供したりする行為が新たな取り締まりの対象となりました。それにより「スパイ」の定義が拡大されました。
この改正反スパイ法では、国家の安全が脅かされるとみなされると適用されることとなっています。そして、どんな中国の国民や組織でも、スパイ活動を見つけた場合は、速やかに国家安全当局へ通報しなければならないのです。
さらに疑わしいスパイ行為をおこなった者や、国家の安全に危害を与えることをおこなう可能性がある外国人の入国は認められません。スパイ行為により、国家の安全に危害を与えた場合は、刑罰を加えられ、最高で死刑とされるのです。
改正反スパイ法に対する諸外国の反応
この改正反スパイ法には日系企業も戸惑いを隠せません。「どのような行為がスパイ行為にあたるのかが曖昧なところがあるので対策が練りにくい」といった声などがあげられています。何をしたらスパイ行為に当たるのかが不明瞭なので不安を隠せないのが正直なところでしょう。
そして、日本国外からも、このような法律を定めることで、中国への投資することへのリスクがありすぎるという声があがっています。
中国への投資離れによるマーケットへの影響
これらは、マーケットへ影響を及ぼしているといえます。
香港ハンセン指数
引用:楽天証券よりhttps://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/hsi.html
中国には、「上海総合指数」などの株式指標もありますが、より外国の資金が入りやすい「香港ハンセン指数」を例にあげてみました。
直近5年間のチャートですが、2021年初頭で天井をつけてから下降トレンドをたどっています。アメリカや日本の株式相場が堅調なのとは対照的な流れとなっています。
まとめ
今回は、加速する中国への投資離れについてお話してきました。現在、中国はさまざまな問題を抱えており、それは中国だけでなく、世界へ影響していることがわかりました。そして、それは中国の株式、為替にも大きな影響を与えていることでも証明できます。今のところ、中国の景気悪化は、世界のマーケットには影響を与えていませんが、長引くことも予想されており、影響が少なからず出てくる可能性は否めません。世界はつながっています。今後の中国を注視していきましょう。
人民元
人民元のチャートです。上に向かうほど人民元安となります。チャートは2020年中旬に底をつけて、その後は上昇を続けています。人民元安のトレンドとなっているということです。
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この記事を書いた人
ライター
ウルトラ金融大全編集部(うるきんへんしゅうぶ)
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