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資産運用
【FX失敗談】50万円が消える!トルコリラでロスカットした話
株式、投資信託、不動産投資、FX、先物取引など、世の中にはさまざまな投資商品があり、投資商品によってリスクも異なります。
今回はその中でリスクが高いといわれているFXで、FXの中でもさらにリスクが高いといわれている高金利通貨トルコリラでロスカットし、50万円を失った体験をお伝えします。2017年からトルコリラに投資し、2021年12月まで運用していました。
どのような経緯でトルコリラに投資しようと考えたのか。どういったルールで投資したのか。そこで学んだ教訓と、その後どのような投資方法を導きだしたかを解説していきます。
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目次
トルコリラに投資した理由
トルコリラとは、トルコ共和国中央銀行が発行しているトルコの通貨のことです。
トルコはヨーロッパ大陸とアジア大陸にまたがった部分に位置し、西にはギリシャ、南にはシリアやイラク、北にはロシアがあります。その地理的特性から「ヨーロッパとアジアの架け橋」とも呼ばれる国です。ここからは株式や投資信託など、数ある投資商品の中からなぜトルコリラを選んだのかをお伝えしていきます。
高金利通貨だった
トルコリラを選んだ1つ目の理由はトルコリラが高金利通貨であることです。トルコリラは高金利通貨として有名で、トルコリラ投資を始めた2017年当初はスワップポイントが1日約85円も貰えて、利回りは10%を超えていました。
「スワップポイント」とは、FXの世界で使用される言葉で、簡単にいうと利息のことです。このスワップポイントは原則毎日受け取れることになっていて、スワップポイントの額は2ヶ国通貨間の金利差によって日々変動していきます。
当時のトルコリラは1リラ30円、通常10000通貨から取引可能だったので、30万円分(30円×10000)のトルコリラから保有できます。スワップポイントの1日平均が約85円の場合、年間では3万1025円(85円×365日)もスワップポイントを受け取れていました。
スワップポイントにおける利回りは10%を超える状況で、投資における利回りは2%から7%といわれているなか、利回り10%は非常に魅力的に感じていたのでしょう。
割安に見えた
2つ目の理由は2008年と比較してかなり割安に見えたからです。2017年当時は1リラ30円台でしたが、2008年は90円台で推移していました。2008年から3分の1まで下落していたため、かなり割安であると判断しました。
もし、1リラ30円から90円に戻った場合、資産は3倍に跳ね上がります。
さらに毎日スワップポイントを受け取れると、売却益とスワップポイントのダブルで利益が狙えるので、絶好の投資機会だと考えたのです。
毎月1万円で15年後にはFIREできる
3つ目の理由として、毎月1万円をトルコリラで積み立てるシミュレーションをした際、15年後には資産が1億円を超え、「FIRE」いわゆる早期リタイアできる結果になったからです。毎月たったの1万円の投資で15年後に資産が1億円を超えるの?と感じる人も多いでしょう。15年後に資産が1億円を超えるシミュレーション結果は、後述で説明します。
トルコリラの取引ルール
2017年7月から投資をスタートするにあたり、どういったルールで取引したかをみていきましょう。
毎月最低1万円を積立て
毎月の積立額は最低1万円と設定しました。毎月の小遣い3万円のうち、1万円をトルコリラに投資、出張やボーナスなどで臨時収入が入った場合もいくらかを投資に回すようにしました。
トルコリラは10000通貨からの取引が一般的ですが、証券会社によっては1000通貨からでも取引可能なところもあります。筆者も1000通貨から取引できる証券会社を選んで投資していました。
レバレッジは5倍
レバレッジはリスクを取って5倍で運用していました。レバレッジとは「てこの原理」といって、少ない資金で大きな金額を運用できます。
例えば、レバレッジ5倍というのは、毎月1万円を積立てる場合、5倍にあたる5万円分のトルコリラを保有することです。レバレッジを5倍にすれば、利回りも5倍になり、当時のトルコリラの利回りは10%あったので、なんと利回り50%で運用できることになります。
レバレッジは小さな資金で大きく稼げられる魅力がある反面、その分損失も大きくなってしまう危険性もあるので慎重に考えなくてはいけません。
スワップポイント(金利)は再投資
先述した「スワップポイント」いわゆる利息はすべて再投資に回します。再投資に回すことにより、複利の効果が働き、加速度的に資産を増やせます。
仮に、当時のトルコリラを10000通貨保有していれば、年間3万円近いスワップポイントを受け取れます。スワップポイントの3万円もすべて、トルコリラに再投資します。そうすることで、再投資した3万円からもスワップポイントを受け取れて、複利の効果が発揮できるのです。
以上の3つのルールをもとにシミュレーションした場合、最終資産額は以下のような結果になりました。
- 毎月1万円を積立て
- 投資期間15年
- レバレッジは5倍
- 利回り50%
- スワップポイントは再投資
この場合の最終投資額は180万円。最終資産は約1億3400万円ただしFXの場合は雑所得になり、利益から約20%の税金がかかるので、実際にはもう少し資産額は減ってしまいます。15年で資産1億円超え、晴れて夢であったFIREができると思っていました。
2回の大暴落でロスカット
先述してきた15年でFIREできる甘い夢は、2回の大暴落でみごとに消え失せてしまいました。最終的に2021年の大暴落でロスカットし、毎月積立てした資金の総額約50万円を失う羽目になったのです。
「2018年トルコショック」
2017年の投資を開始した当時は1リラ30円程度で、しばらくは大きな下落もなく順調に推移し、スワップポイントも受け取れて資産は増える一方でした。
しかし、2018年夏、アメリカによるトルコへの強烈な経済制裁をきっかけにトルコリラは大きく急落し、想定外の1リラ=20円を割り込みます。FXの世界では「2018年トルコショック」と言われています。このときの緊急処置として、保有しているトルコリラの半分を売却し、ロスカットにならないようにしましたが、資産は一気に半分まで目減りしました。
「2021年11月22日の大暴落」
2018年トルコショック後も、トルコリラはじりじりと右肩下がり。毎月数万円単位で資産が消えていく日々もあり、しんどい状態が続きましたが、毎日受け取れるスワップポイントでなんとか生きながらえていました。
しかし、エルドアン大統領が2021年11月22日夜に利下げを擁護する発言をし、市場は嫌気をさして大幅に売りが加速。トルコリラはまたもや大暴落。
1リラ12円あたりから、一気に8円まで下落しました。
当時、勤務中に携帯電話に見知らぬ電話番号から着信があり、折り返し電話をかけてみると、トルコリラを購入している取引先の証券会社でした。
電話の内容は保有しているトルコリラがロスカットになったことを伝えるお知らせ。
さらに強制ロスカットが間に合わず、1000円を証券会社が立て替えているので、早急に1000円を振り込んでくださいとのこと。結局口座に1000円入金し、総額約50万円の損失でトルコリラへの投資は終了することになりました。
トルコリラでロスカットした要因
2021年11月23日にロスカットになり、総額では約50万円失ってしまうことになりましたが、要因はいったいなんだったのでしょうか。
ここからは、ロスカットした要因を解説していきます。
レバレッジ高かった
1つ目はレバレッジを5倍に設定していたことがあげられます。FXの世界では、最大レバレッジ25倍まで取引可能で、レバレッジ5倍はそこまで高くない設定だと思い込んでいました。しかし実際には30円から8円と70%以上も下落する相場では、レバレッジ5倍でもリスクが高すぎたということです。
ドルコスト平均法が逆効果に
通常であれば、平均単価を下げる効果のあるドルコスト平均法は非常に有効ですが、トルコリラの前では逆効果でした。ドルコスト平均法とは、毎月一定額を積み立てることで、平均単価を引き下げられる方法です。例えば、A商品を1個100円で購入します。翌日にA商品が1個50円になったので、100円で2個購入した場合、(100円+50円+50円)÷3=66.7円(小数点以下は四捨五入)。
1個あたりの平均単価は66.7円となり、A商品が66.7円以上に戻れば利益になる仕組みです。ドルコスト平均法の弱点は、右肩下がりの相場では逆に損失が増えてしまうことです。相場が上がったり下がったりを繰り返してこそドルコスト平均法が活かされるのですが、さすがに右肩下がりの相場ではリスクが高すぎたみたいです。
損切りをしなかった
やはり、どこかで損切を実施して損失を最小限に抑えておくべきでした。レバレッジをかけずに取引をしている場合は、ロスカットの心配もないので損切りをする必要はありませんが、レバレッジをかけていて、なおかつ値動きの激しいトルコリラの場合は損切りの設定をしておかなくてはいけませんでした。
ロスカットから学んだ教訓
今回トルコリラへ投資してロスカットになってしまい、それにより最終的に50万円もの資金を失ってしまいましたが、学べたこともありました。
ここからはトルコリラへの投資で失敗し、そこから学んだ教訓を解説していきます。
これからトルコリラなどの高金利通貨への投資を考えている人にも役に立つことなので、ぜひ参考にしてください。
新興国通貨に「割安」はない
2017年当時は1リラ30円程度で推移していて、過去のトルコリラの価格には1リラ90円近くのときもありました。
筆者は「大バーゲンだ!」と判断してトルコリラへの投資を決めましたが、30円から8円まで値下がりし、最終的にロスカットになって終了。
新興国みたいな高金利通貨の場合は、政治・経済が非常に不安定で、日本ではありえないようなことも頻繁に起こります。2016年にはクーデターも起こっていますし、政府が市場のセオリーとは逆の政策を取ったりもします。このような状況下で1リラ30円が値ごろかどうかを判断することは非常に危険であることを痛感しました。
レバレッジは2倍以下で
長期で新興国通貨に投資する場合は、レバレッジ2倍以下、もしくはレバレッジをかけないで投資をするほうがいいでしょう。新興国通貨は値動きが激しく、今回の場合は数年で70%以上価格が下落しています。
このような状況下でレバレッジをかけるのはリスクが高すぎです。レバレッジは極力かけず、ロスカットの可能性が低い状態で長期運用し、スワップポイントは再投資しながら運用していきましょう。
高金利通貨はレバレッジをかけず長期で運用しましょう
2017年からトルコリラに投資をして、最終的にロスカットで50万円もの資金を失ってしまいました。要因はレバレッジを5倍もかけて投資していたこと、ドルコスト平均法が裏目に出てしまったことがあげられます。また、レバレッジをかけるのであれば損切りの設定はしておくべきでした。
新興国である高金利通貨に投資するのはリスクが高いことがわかりましたが、いっぽうで高金利のため、多くのスワップポイントが手に入る魅力もあります。
もし、今後トルコリラなどの高金利通貨に投資を考えている人は、
①レバレッジを極力かけないこと
②スワップポイントは再投資に回すこと
③複利を活かして長期運用していくこと
以上を心掛けて投資することをおすすめします。
今回の記事はいかがでしょうか。お金に関する知識をもっと知りたい方は是非無料セミナーに参加してみてください。
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この記事を書いた人
ライター
辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士、証券外務員二種
独立型FPとして相談業務、執筆業務を中心に活動中。
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