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資産運用
ゆとりある人生は株式投資で実現するのか?全銀協の考え方
お金を増やすために働くことを考える人が多いのは一般的に浸透しています。お金を得るために働くのではなく、持っているお金を働かせる考え方が資産運用です。
人はみんなゆとりのある人生を送りたいと思っています。明日の生活もままならない状態を求めている人は少ないでしょう。
ゆとりある人生を目指す資産運用では、どのような取り組みが求められるでしょうか。今回は、ゆとり資金で始める資産運用について解説します。株式投資で資産運用について、全国銀行協会の「お金の運用」をヒントに考察してみました。ぜひご一読ください。
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目次
なぜ資産運用が必要なのか
「お金は大事にする=貯蓄しておく」という感覚が一般的に着実なお金との向き合い方だと認識している人は少なくないと考えられます。ここまで情報入手が手軽になった時代の昨今では、挑戦したもの勝ち的な部分があります。
終身雇用が当たり前だった時代では、定年まで定期預金により老後資金を蓄えることが堅実なお金の増やし方と考える人もいました。しかし、現代は情報があふれる時代です。
あふれる情報の中から自分の目指す将来設計に向けて最適な資産運用を計画実行する時代になっています。ひと昔前であれば、その他大勢と同じ行動をとることが無難とも考えられましたが、現代は多様な生き方の時代です。多様な考え方で、人とは違った自分らしさを求めていくライフスタイルが認められるようになっています。
前置きが長くなりました。それでは、そのような時代で、なぜ人生に資産運用が必要なのでしょうか。資産運用が必要な理由は、次の3つの要素から判断できます。
- 少子高齢化が進み老後資金が足りなくなる備えとして必要
- 物価上昇が進むにつれて貨幣価値の下落の備えとして必要
- 将来受け取れる年金額の目減りの備えとして必要
少子高齢化による老後資金の不足
財務省による「日本の少子高齢化はどのように進んでいるのか」では、19歳以下の人口推移と20〜64歳の人口、65歳以上の人口の変化を予測しています。
|
2022年 |
2065年 |
||
日本総人口 |
1億2,431万人 |
8,808万人 |
||
19歳以下の人口 |
2,016万人 |
16% |
1237万人 |
14% |
20~64歳の人口 |
6,768万人 |
54% |
4,189万人 |
48% |
65歳以上の人口 |
3,648万人 |
29% |
3,381万人 |
38% |
出典:※2
これらのデータは予測レベルですが、40年後の未来における少子高齢化状況をあらわしています。日本の65歳以下の人口は、総人口の減少にともなって減少傾向です。その状況下でも、65歳以上の人口は人数こそ減少するが総人口に対しての割合が9%増加しています。
要するに、人口全体が減少する中で高齢人口は増加していくイメージです。平均寿命が長くなることで老後の時間も増えてきます。ただし、生活するうえでのお金が増えるわけではないため、「老後資金をどのように増やすか」が大きなポイントとなるでしょう。
生涯現役で働き続けることもひとつの方法ですが、年々老化が進み稼ぎ出す金額も低く見積もらなければなりません。老後資金が足りなければ、生活が成り立たなくなるでしょう。長生きすることが逆にリスクになることも考えられます。そのための備えとして、資産運用が必要ではないでしょうか。
参照:※1
物価上昇による貨幣価値の下落
昨今、原材料の高騰などから物価の上昇が家計を圧迫しています。とくにウクライナ情勢の影響による資源の高騰であらゆるモノの値段が上がっています。物価が上がるインフレ状態で考えられるのは、貨幣価値の下落です。物価の上昇が続くと、小さな貨幣価値の下落でも長期的に保有する貨幣資産の価値が大きく下落してしまいます。
参照:※1
年金額の目減り
少子高齢化は、老後資金を支える若い世代の減少により、年金額の目減りが懸念されます。少子化は、やがて年金を納める世代の負担を増やすため、その負担軽減として年金の目減りは避けて通れないと考えられます。高齢世代は、年金の額だけでは生活が成り立たなくなるため、現段階で20代〜30代の世代はその分の補てんとして資産運用を考えることも必要です。参照:※1
株式投資はゆとり資金で運用できる?
資産運用では、定期預金や株式投資、債券投資、積み立て投資信託などがあります。ここでポイントになるのが資産運用では、貯蓄と投資、投機で運用の性質が変わることです。
|
性質 |
リスク |
貯蓄 |
● 貯蓄はお金をためる行為 |
元本保証がある |
投資 |
● 将来の業績アップに期待して企業の株式を購入する |
● 損失リスクあり ● 元本割れリスクあり |
投機 |
● 市場相場の変動を利用して利益を得る行為 |
大きなリスクあり |
出典:※1
全国銀行協会(以下全銀協)の「お金の運用」では、これら3つの資産運用方法の性質を説明しています。中でも投機は短期的な売買で利益を得るハイリスクハイリターンな資産運用と扱われています。
まったくリスクをとらないで資産運用を考えるのであれば、貯蓄だけでコツコツとためる必要があります。貯蓄は安全性を担保できる分、見返りが期待できないでしょう。銀行に預けた場合の利息は、せいぜい普通預金で0.001%、定期預金で0.002%です。
出典:※3
全銀協では、貯蓄するお金の一部を余裕資金(ゆとり資金)として投資に回すことを進めています。
出典:※1
そこで選ばれる資産運用が投資ということです。投資の方法として株式投資や投資信託、債券投資などがあげられます。これらを短期間で運用することは、投機にあたるため長期運用で考えます。
たとえば、月々の給料から将来に備えて3万円を貯蓄に回すことを決めたとしましょう。そのうちの2万円を銀行に預金して、残った1万円はゆとり資金と考えて投資するようなイメージです。
ゆとり資金は、将来に向けた20年後や30年後のまとまった資金づくりに活用します。全銀協の「お金の運用」でも、投資目的の資金として老後資金を当てはめています。
人生で投資に向く資金と向かない資金
人生の中で、投資で資金をつくる場合は、リターンとリスクのバランスも考えなければなりません。そこでポイントとなるのが「長期運用」と「分散投資」です。長期で運用することは、小さなリターンを積み重ねて大きくする役割を担います。
また、投資対象を分散することでリスクを振り分ける効果が期待できるでしょう。その観点から人生で投資に向く資金と向かない資金は、次のように分けられます。
|
投資に向いている |
性質 |
対象商品 |
老後資金 |
〇 |
● 年金で足りない部分を補てんする意味でも長期運用でつくる資金 |
● 投資信託 ● 外貨預金 |
住宅資金 |
△ |
● マイホーム購入の頭金に必要な資金 |
● 財形住宅貯蓄 ● 定期預金 |
教育資金 |
× |
● 子供の高校進学や大学進学時にかかる資金 |
● 学資保険 ● 定期預金 |
出典:※1
ここで紹介した投資に向いている資金は、長期運用のメリットを生かすことが大切です。さらに、損をしたくないという思いから、投資先を分散する分散投資が重要なポイントになるでしょう。
分散投資は、国内株式だけではなく海外の株式や債券などリスクの異なるあらゆる商品に投資することです。分散することで暴落リスクを抑えられます。それらの要素を持った資産運用方法が、積立型の投資信託です。毎月の給料から1万円ずつ銀行の貯金以上のリターンで資産運用できます。
参照:※1
全銀協が教える長期運用と分散投資を資産運用のポイントにして考えよう
今回は、全国銀行協会が教える資産運用方法について解説してきました。銀行協会だけに、資産運用で定期預金を勧めると思っていましたが、実際は老後資金の備えに向けた積立型投資信託での運用でした。
積立型投資信託では、2024年から運用規模が変わる少額投資非課税制度(NISA)制度が注目されています。新NISAとは、毎年一定額を範囲で金融商品を購入する投資の支援制度です。新NISAは、20代〜30代の内に始めることで、長期間と分散を生かした資産運用を期待できます。
短期で取り組んだ場合は、老後の備えになるほどのリターンは期待できませんが、10年20年、30年と長く運用することで非課税枠で資産運用ができる仕組みです。ゆとりある人生は、毎月の給料のゆとり資金をコツコツと長期間投資することで数十年後の結果が変わってきます。
資産運用は、その人の持つ状況でそれぞれに異なるため、具体的なライフプランを立てた上で考える必要があります。自分で判断できなければ、専門家の見解をうかがえるセミナーに参加してみることもひとつの方法です。まずは、いろいろな情報を集めてみましょう。
目標とする老後から自分に必要な投資を考える考え方をゴールベースアプローチと言います。
詳しくは下記の記事で解説していますのでご覧ください。
https://urukin.com/773-2/
※1:一般社団法人全国銀行協会「生活が豊かになるお金の運用」
※3:みずほ銀行「円預金金利」
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この記事を書いた人
ライター
江戸利彰(えどとしあき)
ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。
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