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不動産
相続税対策を不動産で行う
・不動産は何故相続税対策になるのか。
不動産が相続税対策として有効であるというのは良く見かける話かと思います。
一体何故不動産を活用する事で相続税対策が可能なのでしょうか?
このコラムでは理由を解説すると共に、実際の事例を紹介してまいります。
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答えから申し上げますと不動産が相続税対策になる理由は実勢価格と相続税評価額に乖離がある為です。
これが答えです。
例えばマンションで考えれば3000万円で売買されているマンションがあったとしても相続税評価額はせいぜい700万円ほどとなります。
相続財産が1億円あるとしても2500万円程度の評価額になりますので、相続税が課税されないといったケースも出てきます。
相続税対策で不動産を活用する事は実に理に適っていると言えるでしょう。
・問題点は無いのか?
あります。
そもそも相続税対策というものは税法の観念から考えるとやっちゃいけない事となっています。
税金に求められているのは公平さですから、一部の対策により税金を納税しない事例が出るのは問題となります。
如何に不動産が相続税対策になるといっても大病で入院してからマンションを買って、いくらもしないうちに相続が起こったら税務署にはどう映るでしょうか・
脱税目的にマンションを買ったと言われてもおかしくありませんよね。
そうなればその不動産を相続税課税評価額ではなく、売買価格から評価額を計算する事になるかもしれません。
実際に最高裁まで争われた事件もありました。
令和4年4月19日評価通達6項事件の最高裁判決について
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91105
相続税対策はぎりぎりで行うのではなく、早めの対策が重要です。しっかりと計画的に対策する事で相続税の問題は解決が可能です。
・問題になりやすい相続の事例
相続税の控除が改正後3000万円に縮小され、相続税問題は大分身近なものになりました。
しかし、いざ家庭でお父さんが死んでも相続税の納税が起こらなかったという人も少なくないでしょう。
これは配偶者控除という基礎控除とは別の相続税控除のおかげです。
この配偶者控除は1億6千万円と非常に高額で、かなりの事案で相続が発生しません。
その時の記憶を引きずって相続ってなんとなく騒ぐほど大事じゃないなーと考えるのは早計です。問題になるのはお母さんが亡くなり、子供たちが相続人となる2次相続です。
この際初めて相続税の課税が問題になります。
例えば両親が自宅(相続税評価額1500万円)を持っていて、金融資産が6000万円 父親が死んだ歳の保険金が2000万円あった世帯で考えてみます。
最初の相続では合計である7500万円は1億6000万円の配偶者控除に収まっていますから相続税はかからない事でしょう。
※保険金は相続税の課税対象ではありません。
問題は2次相続です。
相続人が一人の場合自宅(1500万円)金融資産(8000万円)と保険金の金額分が増えています。
計算式は9500万円-3600万円=5900万円
5900万円×30%-700万円(控除)=1070万円
このように1070万円が相続税としてかかってきます。
この事例では金融資産と表現しましたが、実際には預貯金だけとは限らず、株式や会員権など換金が容易でないものもあるかもしれません。
土地や、アパートなどになればさらに換金は難しく、突然1000万円もの支出を求められる事になるケースだって出てくることでしょう。
相続の問題は世帯の数だけ形が異なります。
自分には関係ないではなく、自分の世帯はどうなっているのかを確認しておく事は非常に重要です。
・目的が租税回避になる事の弊害
相続税対策が目的になってしまっている人は沢山います。これはとても危険な事です。
相続税対策の目的は相続人に負担をかけない事のはずです。
相続税を払いたくないばっかりにかえって遺族の負担になるようになっては本末転倒です。
所有している土地にアパートを経営するなど借り入れを起こして税金対策をする場合などはアパート経営自体が立ちいくのかどうかを良く考えましょう。
借金してまで建てたアパートが空室だらけで固定資産税や修繕費の負担ばかりが相続人にかかってしまうような事例もあります。
賃貸経営はどこでやっても上手くいくものではありません。
土地活用は色々な話がありますが、需要と供給を考えて今一度事業になるのか検討してみる事です。
しかし、収益物件を相続に活用すること自体にはメリットも多いです。
老齢世帯にとって現金は使ってしまえば無くなってしまいますが、毎月賃料収入をもたらしてくれれば財産の目減りを怖がる事もありません。
纏まった貯金を取り崩す事は怖くても収益物件に変えておいて賃料収入で生活していけばいつ相続が起こっても安心出来ます。
その時が来るまでは自分のために活用して、相続されたのちは遺族のために活用される。計画的に上手く活用すれば不動産は相続に最適な選択肢と言えるでしょう。
・贈与と合わせて考える。
生前贈与という選択肢を取る人が増えています。
平均余命が長くなり、相続を受ける年齢が年々上がっています。
あまり高齢になってから相続財産を受け取っても中々、その資金を活かす事も出来ませんし、次の代の相続が近ければその分相続税を課税される機会が増えるだけになってしまいます。
生前贈与にはいくつかのメリットが考えられます。
何よりも大きいのが「相続後に発生した投資利益は相続人の財産になる」という事です。
これはアパートやマンションなど収益を生む財産を相続する場合なのですが、毎月発生する賃料収入は相続後相続人のものとなります。
当たり前なのですが、このようなケースの場合贈与を選んだ方が相続人にとって有利である場合があります。
例えば50歳時点で毎月10万円賃料収入があるマンションを持っているとします。
80歳で相続が発生すると考えた場合10万円×12か月×30年で3600万円の資産が増える事になります。
マンションの価値が相続税評価額で2000万円あったとすると相続税評価額は足し算で5600万円となります。
しかし、50歳時点でそのマンションを贈与していたとしたらどうでしょうか?
2000万円のマンションの贈与に贈与税が課税されますが、その後の利益である3600万円は相続財産に含まれません。
この考え方は相続財産が多くなれば多くなるほど重要になります。
親世代は財産が増えていけばそれだけ相続人の税負担が大きくなります。
早いタイミングで収益物件を継承しておけば相続人の負担にならないばかりか、相続人の資産形成に役立ちます。
■相続時精算課税制度を利用する
さらに贈与税の負担をなくす手法もあります。
資産の継承を早める事が出来るのが贈与のメリットですが、贈与税の税率が高い事がネックになります。
しかし、相続のタイミングを早めた上に、贈与税が課税されない方法があるのです。
相続時精算課税制度と言って、相続の際に税金の清算を一元化する事で贈与税を非課税にすることが出来ます。
概略としては60歳以上の親から子供や孫に対して贈与を行う場合に最大で2500万円まで贈与税を非課税にする事が出来ます。
え!税金が掛からないの?ラッキーという事でも無く(当然ですが)読んで字のごとく税金の清算は相続時点で行いましょう。というものなのです。
なので、特別節税対策になっている訳でもないのですが、収益物件を継承する時だけは無類の強さを発揮します。
例えば1億円の財産継承を考えているとしましょう。2500万円のマンションを4件購入したとします。
この1億円分のマンションを所有している年齢が60歳時点としましょう。
4件のマンションはもちろん賃料収入をもたらします。
8万円程度だとしても32万円となります。
年間で384万円です。
30年ともなれば1億以上の財産となります。
普通の相続であればこの増えた財産も課税対象になります。
しかし、60歳時点で相続時精算課税制度を使って贈与したらどうなるでしょうか?
マンション1件の相続税評価額は600万円程度だと思われます。
4件で2400万円ですので2500万円という限度内に収まっています。
贈与後の賃料収入は全て相続人の収入ですから、親世代の財産が増えていく事はありません。
注意点は相続時には相続財産としてこの財産を数えるという事です。
これが相続時精算課税制度です。
もう一つ注意点があります。皆さんは毎年100万円までは贈与非課税という話を聞いた事がありませんか?
これを暦年贈与と呼びます。
毎年コツコツ非課税枠である100万円までを守って贈与すれば、贈与税は掛かりません。しかし、相続時精算課税制度を利用すると、暦年贈与は行う事が出来なくなります。
大きな活用方法のある相続時精算課税制度ですが、利用する際には良く考えるようにしてください。
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この記事を書いた人
ライター
佐藤大介(さとうだいすけ)
ウルトラ金融大全局長
ウルトラ金融大全の監修を務めます。
金融リテラシーを高める為、セミナー講師として活動。
「超一流の口だけ男」と評される氏のセミナーは非常に分かりやすく、何度も受講するファンが沢山います。
リンクからウル金セミナーも是非ご覧下さい。
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