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不動産
日銀の利上げが不動産投資に与える影響とは?
ついに利上げ!
2024/7/31金融政策決定会合で日本銀行政策金利を0.25%に引き上げる事を決定しました。
ところで政策金利が0.25%になるっていうのはどういう事?
そして、それって不動産投資を検討していたり、運用したりしている人たちにどんな影響を及ぼすの?
この記事では政策金利の上昇と無担保コールレートがなんなのかをわかりやすく解説いたします。
そして、その事が不動産投資にどう影響していくのかを考えていきましょう。
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日本銀行政策金利とは?
ニュースなどではさも当たり前に政策金利が0.25%にあがると報じていますが、この「政策金利」って何?と実は良く分かっていない方も多いと思います。
なんとなく金利が上がるんでしょ?位に思っている方が大半なのではないでしょうか?
この政策金利、昭和の記憶のままでいると「公定歩合」の事だと誤解する方もまた多いのかもしれません。
それは今では間違いなのですが、致し方なくもありいつの間に変わったのかと驚く方も多い事でしょう。
公定歩合、かつてそれは日本銀行が銀行に行う貸し付けの金利の事であると私達は確かに習いました。
それはもう明確に過去の話で今では違います。
政策金利は公定歩合の事ではなく、今日では無担保コールレートの事を指しています。
無担保コールレート(オーバーナイト物)とは?
それでは今度はこの無担保コールレートっていうのは一体何なのか?という話になります。
日本の各銀行は日銀当座預金口座を下記に記す目的で持っています。
(1)金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段
(2)金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
(3)準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金
簡単に言えば銀行間の決済口座を日銀の口座に持ちますよ~という感じですね。
この口座に預けているお金につく利息が今回話題に挙がっている政策金利の0.25%になるという話になる訳です。
日銀当座預金の金利があるという事は銀行利益が上がる
日銀当座預金に金利が0.25%つくという事はどういう意味でしょうか?
これは単純に銀行は日銀当座預金にお金を預けておくだけで利益が出るという解釈で良い事になります。
銀行収益の根幹は貸付金の利子と手数料ですが、無理に融資先を探さなくても当座預金にお金を預けているだけで利益が出るというのは銀行からすると願ったり叶ったりと言えますね。
これまで、景気刺激のためにゼロ金利政策など銀行が積極的に融資を行うよう政策を進めてきたのですが、銀行から市井への資金の流れは大きくなっては行きませんでした。
かつてはマイナス金利政策なども取られ、日銀当座預金にお金があるとむしろ利息を支払うという時期さえ合った訳です。
そこまでしてでも経済成長の低い日本の景気を刺激するため政府も日銀も銀行への積極的な融資を求めていたわけです。
そのような努力もむなしく、融資実態としては企業の借り入れも進まず、景気回復も鈍重であったのがコロナ以降の日本の経済の動きだったと言えましょう。
そんな背景を持ったうえでの政策金利の利上げはさらに銀行の動きを重くしてしまう事が懸念出来ます。
利上げの持つ影響として金利上昇を危惧する方が多いかと思いますが、今後短プラが上昇しても上げ幅は小幅ですので金利負担が重いという実感は企業はさておき個人で大きく感じられることは無いと思います。
むしろ多大な影響懸念は融資姿勢にあると言えるでしょう。
アメリカとの金利差を考えれば微々たるものだという意見が散見されますが、事態はそう楽観的なものではななさそうですよ。
この時期である意外性
今回の政策金利を上げた日銀の施策ですが、金融機関関係者には驚きが無いのは事実ではあります。
「まぁやるよね。」「いずれは来る事だったしね」「むしろ遅いもあるよね」
こんな感じの意見があってもおかしくない位、金融機関関係者目線では既定路線の利上げなのですが、「意外だ」と見る人達もまた一方で多いです。
著者も意外でした。何故かと言えば「利上げの順番」として時期尚早だと考えているためです。
株価、景気、金利にはそれぞれ時間差による相関性が認められている考え方があります。
株価の上昇と景気の上向きが連動しており、景気上昇を実感する頃株価は下げ基調に転じます。
そして、好景気を実感する頃になって初めて金利の上昇が生じるのです。
事実これまで政府が世界中で金利が上昇する中、利上げを避けてきたのは、デフレ脱却、景気回復を目指していたためであり、コストプッシュ型のスタグフレーション下(原材料高騰による物価引き上げ下)では利上げが景気後退に結び付くと考えられていたためです。
さて、では日本は好景気と呼べるのでしょうか?
確かに政府財政は経常利益を記録し、製造業者では過去最高益を記録している企業も存在しております。
しかし、市井の感覚では景気回復を感じるどころか物価高が先行してむしろ貧窮感の方が高まっている位です。
こんな最中に利上げを行うメリットが果たして大きいのでしょうか?
メディアでは円安は悪と言わんばかりに是正を求める論調でしたが、利上げが正しいか?と問われるとそれは違うと思います。今回の利上げは未来的にはさらなる利上げを仄めかしていますが、まだ時期が早かったのでは?と思わずにはいられません。
不動産市況への影響は?
ノンバンクが中心となっているパッケージローン界隈への影響を考えてみるとどうなっていくでしょうか?
ノンバンクの事業内容とは貸し付けを行い利益を上げる点は銀行同様ですが、預かり金業務を行わない事が特徴として挙げられます。
預かり金業務を行わず、日銀当座預金も持たないノンバンクは直接的には今回の政策金利の引き上げの影響は小さいと見られます。
しかし、ノンバンクの融資原資は販売理財商品の売り上げの他、銀行からの融資によって構成されています。
つまり、銀行からお金を借りて貸し付けを行っているといえますからこの部分に影響が出る事でしょう。
融資は慎重かつ厳しい目線となるかもしれない。
銀行の融資姿勢が重くなることが予測されるという事は先に書いた通りです。
この融資姿勢はノンバンクへの融資にも同様の影響を与える事でしょう。
融資利益をなんとか作らなければいけないこれまでに比べて、利益を生まなくてはならない圧力は当座預金金利により弱まるようになります。
これはノンバンクへの融資目線には悪く働きます。
融資金利の上昇よりも懸念すべきは融資目線の引き上げや融資の引き締めです。
これまで不動産投資がおかれていた融資環境での立場は有担保ローンという安定した貸付先でした。
起業や個人への貸し付けが遅々として進まない中、担保提供を受けての貸し付けと言うのは銀行からすると手堅く貸し付けを行える優良な市場とみなされていました。
勿論その大前提は今後も崩れはしないでしょうが、日銀当座預金という手堅い収益源が出来た上では是が非でも不動産で利益を作るという熱は冷めていく事でしょう。
悲観要素ばかりなのか?
融資目線では引き締めが危惧されてると書きましたが、悪い話ばかりでも無い予測もたちます。
現状のインフレ率が維持されていけば土地家屋の価格も上昇傾向に入る事になり担保ローンの評価に対する未来性が高まります。
どういうことかと言えば今現在の物件評価を妥当として抵当権設定を行いローンを貸し付ける訳ですが、担保物件側の価値が高まっていけば全体の回収率も高まる事に繋がります。
担保割れと真逆の現象が起こる訳ですね。
担保が強くなるのであれば融資に積極的になれる要素にはなってきます。
銀行の融資目線が引き締められるとはいえノンバンクはあくまでも貸し付けで利益を出さなければならない事には変わりません。
十分な担保を取れれば融資リスクをコントロールできる不動産投資はノンバンクにとっても主力マーケットである事には変わりないのです。
その他今後はどうなっていくのか?
日銀の短プラはどうなるのか?
短期プライムレートとはこれも日本銀行が定める企業への1年未満の短期融資の指標になります。
住宅ローンや投資ローンにもこの短プラ連動で金利を定める商品があり、短プラの行方は業界関係者からすれば非常に気になる指標となります。
この短プラも予測では9月には引き上げられると見られており、これがどうローンに影響するか注目されています。
メガバンク3行は金利引き上げ
すでに住宅ローンではローン金利の引き上げが始まっており、今後も金利上昇が続く見立てもある事からローン金利は上昇する予測が立てられています。
しかし、景気が上向くことで物価が上昇する事こそが金利上昇の正しいトリガーであるはずです。
現状の利上げが続くかどうかはいまだ景気次第で分からないと考えた方が良いでしょう。
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この記事を書いた人
ライター
佐藤大介(さとうだいすけ)
ウルトラ金融大全局長
ウルトラ金融大全の監修を務めます。
金融リテラシーを高める為、セミナー講師として活動。
「超一流の口だけ男」と評される氏のセミナーは非常に分かりやすく、何度も受講するファンが沢山います。
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