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高校生のキャッシュレス事情。家庭の金融教育はどうする?

高校生のキャッシュレス事情。家庭の金融教育はどうする?

キャッシュレス決済が広く浸透している現在。高校生の子どもを持つ家庭では、「キャッシュレス決済を使わせるべき?」と悩んでいるところも多いかもしれません。
本記事では、高校生のキャッシュレス事情や家庭の金融教育について解説していきます。

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1.高校生でも使えるキャッシュレス決済は?

キャッシュレス決済にはクレジットカードや電子マネーなどさまざまな種類がありますが、中には高校生でも利用できるものがあります。

・交通系ICカード

・QR決済

・デビットカード

まずは、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

交通系ICカード

交通系ICカードは、鉄道会社などが発行している電子マネーです。電車やバスなどの公共交通機関の乗車賃の支払いだけでなく、コンビニでの買い物や飲食店での支払いにも利用できます。

交通系ICカードには、カードタイプとスマホに搭載するタイプの2種類があり、どちらも高校生の利用に対応しています。

たとえば、モバイルSuicaでは2023年3月より中高生の通学定期券にも対応が可能となりました。学校までの通学に電車を利用する場合は、交通系ICカードの利用が便利といえるでしょう。

<交通系ICカードの例>

・Suica

・PASMO

・PiTaPa

・TOICA

・ICOCA

QR決済

QR決済とはQRコードを活用したキャッシュレス決済で、支払い時に自分のQRコードを読み取ってもらう、もしくは店舗側のQRコードを読み取ることで支払いが完結します。

QR決済の代表的な例としてPayPayがありますが、PayPayでは未成年の利用についてホームページにて下記の通りに記載しています。

利用者が未成年である場合、利用者は法定代理人の同意を得た上で残高を利用するものとします。

引用:PayPay公式サイト

つまり、両親などの法定代理人の許可があれば、高校生でも利用可能ということです。

QR決済はスマートフォンひとつで決済できますので、「カードタイプだと紛失が心配」という場合はQR決済の利用が向いているでしょう。

<QR決済の例>

・PayPay

・楽天ペイ

・LINE Pay

・メルペイ

・d払い

・au PAY

デビットカード

デビットカードとは、金融機関の口座と紐付けられた即時決済型のカードです。支払いと同時に口座から代金が引き落とされるため、口座残高以上の支払いには利用できません。

「利用代金が口座から引き落とされる」という点ではクレジットカードと似ていますが、クレジットカードは利用代金が後日まとめて引き落とされる「後払い」であることが大きな特徴です。

一方、デビットカードは支払いと同時に引き落とされる「即時払い」であるため、クレジットカードのように支払い能力が重視されません。したがって高校生でも利用できる金融機関が多く、実は現在利用しているキャッシュカードにデビットカードの機能が搭載されていることも珍しくありません。

「お小遣いの範囲内で自分で管理させたい」、「事前にチャージする手間を省略したい」という場合は、デビットカードが便利でしょう。

 

2.高校生でキャッシュレス決済を使うメリット

これまで紹介した通り、高校生でも使えるキャッシュレス決済は豊富にあります。

中には、「子どもにキャッシュレス決済を使わせるのは不安」と感じる人もいるかもしれません。しかし、高校生でキャッシュレス決済を使うことには次のようなメリットがあります。

・手軽に決済できる

・若いうちからキャッシュレス決済に慣れる

・現金を持ち歩く心配がない

・利用履歴が確認できる

それぞれくわしく解説していきましょう。

メリット①手軽に決済できる

キャッシュレス決済の最も大きなメリットは、手軽に決済ができることです。QRコードを読み取ったり、スマートフォンをかざしたりするだけで支払いが完了するため、現金で支払う場合に比べて手間がかかりません。

たとえば、通学中に急いでコンビニで買い物をするときに、サッとキャッシュレス決済で支払いができるのは便利といえるでしょう。その他にも塾へ向かう前など、急いでいるときにスピーディーに決済できるのは大きなメリットです。

メリット②若いうちからキャッシュレス決済に慣れる

経済産業省の調査によると、キャッシュレス決済の比率は年々増加しています。

画像引用:経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」

2023年にはキャッシュレス決済の比率が39.3%となっており、政府目標である「2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にする」という目標をほぼ達成している状況です。

キャッシュレス決済の普及は関係省庁が一丸となって取り組んでいることから、今後もさらにその比率が高まっていくことは間違いないでしょう。

高校生がキャッシュレス決済を使うことは、若いうちから正しいマネーリテラシーを学ぶことにつながります。もしキャッシュレス決済の経験がなく、卒業後にいきなりクレジットカードを利用すると、つい使い過ぎてしまったり、収支バランスを崩してしまったりすることもあるかもしれません。

その点、高校生のうちに親の管理のもとでキャッシュレス決済を使う練習をしていれば、今後クレジットカードを利用したときにもしっかりとマネーリテラシーが身についているはずです。

メリット③現金を持ち歩く心配がない

キャッシュレス決済は、現金を持ち歩く心配がないのも大きなメリットです。

高校生になると、教科書や参考書を買ったり、部活動で必要なものを購入したりと、高額な買い物をするケースも少なくありません。その際に高額な現金を持たせるとなると、紛失や盗難が心配になるでしょう。

一方、キャッシュレス決済であれば事前にチャージしておけば現金を持ち歩く必要がないため、高額な支払いがあるときにも安心です。

メリット④利用履歴が確認できる

キャッシュレス決済は、利用履歴が確認できることが一般的です。「いつどこでいくら使ったのか」ということが確認できるため、「目の届かないところで使うのではないか」と不安を感じている親権者にとっても安心でしょう。

また、利用履歴の確認は家計簿をつける練習にもなります。利用履歴では、「お小遣いの範囲内でやりくりできたか」、「どんなことに主にお金を使ったか」ということを振り返ることができるため、将来自分で家計簿をつけるときにも役立てられます。

3.高校生でキャッシュレス決済を使うデメリット

キャッシュレス決済にはさまざまなメリットがある一方で、次のようなデメリットも存在します。

・お金を使う感覚が薄くなる

・利用できない店舗がある

・スマートフォンを紛失するリスクがある

それぞれくわしく確認していきましょう。

デメリット①お金を使う感覚が薄くなる

キャッシュレス決済は現金を介さず支払いができることから、中には「お金を使う感覚が薄くなる」と感じる人もいるようです。

これから社会に出て正しい金銭感覚を身につけるにあたって、親権者は「お金の大切さを知ってほしい」と考えているでしょう。しかし、キャッシュレス決済のように手軽に決済できることで、「お金のありがたみが分からないのでは」、「つい使いすぎてしまうのでは」と懸念を抱くこともあるかもしれません。

ただし、この点は「予算の範囲内でやりくりさせる」、「自分で収支を管理させる」など金融教育を行うことで、正しい金銭感覚へとつながっていくといえます。

デメリット②利用できない店舗がある

キャッシュレス決済はどこでも利用できるわけではなく、決済できる対象店舗が定められています。そのため、対応していない店舗で支払うときは現金の準備が必要となります。

キャッシュレス決済は現金を持ち歩く必要がない点がメリットですが、万が一のことを考えるとある程度の金額は持っておく必要があるといえるでしょう。

デメリット③スマートフォンを紛失するリスクがある

スマートフォンに搭載するタイプのキャッシュレス決済を使うときは、スマートフォンの紛失や盗難のリスクに注意が必要です。もしスマートフォンを盗難されると、悪意ある第三者にキャッシュレス決済を利用されてしまう可能性があります。

特にスマートフォンにロックをかけていない場合は、本人になりすましてキャッシュレス決済を利用することが容易となります。スマホ決済を利用する際は、必ずセキュリティ対策を講じるようにしましょう。

4.高校生がキャッシュレス決済を使うときの注意点

高校生にキャッシュレス決済を使わせるときには、家庭の金融教育として次の3つのポイントを押さえておく必要があります。

・チャージ式やプリペイド式のキャッシュレス決済を利用する

・定期的に親が利用履歴をチェックする

・使い方の約束を決める

それぞれくわしく解説していきましょう。

チャージ式やプリペイド式のキャッシュレス決済を利用する

高校生がキャッシュレス決済を使うときは、チャージ式やプリペイド式のキャッシュレス決済を選ぶことがおすすめです。チャージ式やプリペイド式のキャッシュレス決済は、あらかじめ決めた金額の範囲内でしか決済ができないため、使い過ぎを防ぐ効果があります。

高校生にとっても「この金額の範囲内でやりくりする」という練習にもなるため、金銭感覚を養うためのステップにもなります。

定期的に親が利用履歴をチェックする

「目の届かないところでお金を使っていないか心配」という場合は、定期的に親が利用履歴をチェックするのもよいでしょう。利用履歴では「いつどこでいくら使った」という内容が確認できるため、不審な支払いがあればすぐに気付くことができます。

たとえば「月に1回は一緒に利用履歴を振り返る」など、事前に親子間で決まりを作っておくことがおすすめです。

使い方の約束を決める

高校生がキャッシュレス決済を使うときは、あらかじめルールを決めておくことが大切です。特に次のようなポイントは必ずルールとして徹底しておきましょう。

・毎月の予算の範囲内で使う

・セキュリティ対策を行う(スマートフォンのロックなど)

・他の人に使わせない

・家族以外の人に送金しない

・万が一紛失したときはすぐに親へ報告する

特にスマホ決済を利用する場合は、セキュリティ対策についてよく話し合っておくことがおすすめです。

5.キャッシュレス決済を通じて金融教育を行おう

キャッシュレス決済は年々利用率が上昇しており、今や「現金を持たずに出かける」という人も珍しくありません。高校生のうちからキャッシュレス決済を使っておくことは金融教育の一環にもなり、若いうちから正しい使い方を身につけることにもつながります。

きちんと親子間でキャッシュレス決済のリスクについて話し合い、約束事を決めたうえで、お小遣いの範囲内でキャッシュレス決済を使ってみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

椿 慧理

ライター

椿 慧理(つばき えり)

銀行を10年間勤務し経験を通じて得た金融知識を活かし、金融ライターとして独立。
金融商品やマーケットの解説、税制解説など初心者にも分かりやすい記事を手掛ける。
自らも12年の投資経験を持ち、国内外株式、投資信託、暗号資産を運用中。

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、内部管理責任者

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