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不動産

住宅ローンの変動金利の仕組みから考える!今後の備えとは?

住宅ローンの変動金利の仕組みから考える!今後の備えとは?

2022年12月20日、日本銀行総裁の黒田東彦(クロダハルヒコ)氏が「長期金利操作の運用」において、以下の変更を発表しました。※データ引用「日本銀行:当面の金融政策運営について」

  • 国債買入れ額の大幅な増額を実行
  • 長期金利の変動幅±0.25%程度から±5%程度に拡大

突然の金融緩和の一部修正に、恩恵を感じていた人は冷や汗を流したことでしょう。金融緩和は低金利でローンを組んでいる人にとって重要な日本銀行が行う政策です。金融緩和の修正から住宅ローンの変動金利が上昇することをイメージした人は少なくありません。
今回は、金利が上がると不安が募る住宅ローンの変動金利について、今後の行方なども含めて考察してみましょう。

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住宅ローン変動金利とは

住宅ローンの金利タイプには、変動金利型があります。変動金利型は、他の金利型の固定金利型と全期間固定金利型の3種類のひとつです。

変動金利

借り入れ中の適用金利が変動するタイプ

固定期間選択型

借り入れ中の金利を一定期間固定できるタイプ

全期間固定型

借り入れ中の金利を全期間固定できるタイプ

変動金利型は、金利変動の可能性がある住宅ローンです。変動金利を選択する人は、1%以下の低金利が考えられます。全国銀行協会の「教えて!くらしと銀行」によると、変動金利は、0.5%を下回る利率の商品もあるといわれています。(※1)実際には、ネット銀行の住宅ローン変動金利が0.5%以下のタイプがありました。

  • auじぶん銀行:変動金利年率29%(2022年12月29日掲載時点)※2
  • 新生銀行:変動金利年率35%(2022年12月29日掲載時点)※3

新生銀行の住宅ローンの場合は、キャンペーン適用により変動金利年率が0.35%となっています。キャンペーン期間外の通常タイプでは、変動金利年率0.45%のタイプが利用できます。

マイホームの購入を進めていく中で、重要な判断となるのが住宅ローンの種類の選定です。住宅ローンを組んでマイホーム資金を用立てる際は、銀行ローンかフラット35を検討します。フラット35は、最長で35年の全期間を固定金利で確定されている制度です。(※4)
フラット35以外の銀行ローンでは、変動金利型や固定期間選択型などを選べます。

実際に変動金利利用者は多いの?

2022年4月の時点で住宅ローン利用者全体の73%以上が、変動金利を選んでいます。この結果は、住宅金融支援機構が2022年4月の調査結果「住宅ローン利用者の実態調査」によるものです。※5

住宅ローン利用者の73%以上が変動金利型ということは、1%以下の低金利が大きく影響しています。「住宅ローン利用者の実態調査」の利用した住宅ローンの種類を選んだ理由からも明らかです。
「金利が低い」と判断して変動金利を選んでいる人は、住宅ローン利用者全体の74.8%を占めています。※5

変動金利を選んだ人は金利が変わらないと見通している

変動金利による住宅ローンを利用している人は、2022年4月の段階で49.7%の人が、「ほとんど変わらない」と一年後の金利動向を見通しています。2021年10月の調査時は、「ほとんど変わらない」が69.3%と、7割近かったところから5割ほどに下がりました。※5

それでも変動金利型の利用者は、金利の変動がないと判断している人の多さをうかがえます。つまり、住宅ローンの73%を占めている変動金利型を利用する人は、今後の金利の見通しを「変わらない」と判断して選んでいるわけです。※5

それでも、変動金利は名前からして“金利の変動”が考えられます。日銀による金融緩和の見直しがあれば、「真っ先に金利が上がる」という不安もよぎるかもしれません。変動金利は、金利が上昇しやすいものなのでしょうか。それには、変動金利の仕組みを考察しましょう。

■変動金利の仕組み

変動金利が金利の上昇とともに上がるかどうかは、仕組みから判断できます。

■■5年ルール

変動金利は、市場金利の動きに関係なく、借入開始から5年間は返済額が固定される仕組みです。ただし、その5年以内に金利が上昇すれば、毎月の返済額の元本割合で金利が調整されます。※1

変動金利には、金利が上がっても5年間は今までの返済額のままで続けられるルールがあります。この仕組みが、「住宅ローンの5年ルール」です。※6

住宅ローンの5年ルールは、金利上昇により返済額の増える負担を5年間回避できます。ただし、上昇した金利分は返済期間終盤に充てられると判断しておきましょう。

■■125%ルール

住宅ローンには、5年ルールだけではなく125%ルールという返済額の増加を制限するルールがあります。125%ルールは、金利が上昇してから6年目の月々の返済額を125%までに抑えます。月の返済額が10万円の場合は、12万5,000円が上限です。※6

住宅ローンの変動金利は、金利が上昇した場合に5年ルールと125%ルールが適用されます。「変動金利は5年間金利の上昇の影響を受けない」ルールですが、金利が免除されるわけではありません。上昇した金利分は、返済の終盤に未払い利息としてあてられます。

■■未払利息

変動金利は、5年ルールと125%ルールにより毎月の返済額は抑えられますが、金利上昇分が未払いとなる部分が残ります。未払利息は、毎月の返済額を固定する返済方法の「元利均等返済」により発生する利息です。表面的には、返済額が変わらないことから気にならないかもしれません。ところが、上がった金利は返済額に反映されるため、契約時点の返済額より利息分が増えることは間違いないです。

金融機関や契約内容にもよりますが、返済額の利息部分の増加と元金部分の後回しで、未払利息は増えることも考えられます。この支払いが後回しになる仕組みが未払利息の注意すべき点です。最終的には、返済期限の最後で未払利息と残った元金を全額返済という場合も考えられます。まさに、未払利息は変動金利のデメリットにあたる部分です。※6

2つの返済方法:元利均等返済と元金均等返済

先ほど、変動金利の仕組みとして5年ルールと125%ルールを紹介してきました。2つのルールは、変動金利の元利均等返済限定で適用されます。住宅ローンの返済方法には、元利均等返済以外に元金均等返済があります。それぞれの特徴は次のとおりです。

元利均等返済

一定の額で月々返済する方法

メリット:金利が上がっても月々の返済額は変わらない

デメリット:未払利息が発生し、そのままだと返済期限終盤の返済負担が大きくなる

元金均等返済

元金の額を月々一定に返済する方法

メリット:元金を基準に利息が設定されているため月々の返済額が返済ごとに少なくなっていく

デメリット:元金は返済期限まで一定の額だがその分返済初期の利息が高くなる

※新生銀行「元利均等返済とは?元金均等返済の違いやメリット・デメリットを徹底比較」を参考に作成

■■元利均等返済

元利均等返済は、金利の上昇などがあっても、月々の返済額の影響が金利上昇6年目の125%以上にならない特徴があります。そのため、返済期限まで家賃感覚で同じ金額の返済を続けたい人に向いているのではないでしょうか。

ただし、上昇した金利の未払利息は必ず返済しなければなりません。返済期限を迎えたときに、未払利息や元金が残っていると全額返済も考えられます。返済期限時点の年齢などを考えてみてください。

20年以上の返済期間であれば、現在より体力面や収入面が落ちていることが考えられます。そのような状況で全額返済を求められた場合、充当するお金がなければ購入したマイホームを手ばなすことも考えられるでしょう。

■■元金均等返済

元金均等返済は、元利均等返済と比較して最終的な総返済額を少なくできる返済方法です。住宅ローンを家賃感覚で均等返済しようと考えると、どうしても元利均等返済を選んでしまいがちです。

元金均等返済は、返済開始時の返済額が大きくなるため、最初の数年は家計を圧迫することが考えられます。元金均等返済の初期段階における利息の負担から、家賃感覚で返済する元利均等返済を選ぶ人も少なくないでしょう。

元金均等返済は、最初の返済は大変だけど返済を重ねていくごとに返済額が減少していきます。元利均等返済に比べると、総返済額も少ない点が特徴です。ただし、金利上昇による5年ルールや125%ルールが適用されません。金利上昇を受ければ、上がった部分が返済額に反映されます。減少傾向の月々の返済額が増えてしまうことも十分に考えられるでしょう。

住宅ローン変動金利はいつ変わる?備えは

住宅ローンの変動金利は、いつ頃変わるのでしょうか。変動金利の見直し時期は、4月または10月の年2回に見直されて、決定月の翌々月から変更といわれています。※7

住宅ローンは、金利が上昇したときに影響を受けます。経済情勢などの影響を受けて変更となる可能性もあるでしょう。金利の上昇を受けたとき、返済額を見直さなければ上昇した金利は最終的に未払利息として残ります。金利上昇に備える場合は、繰り上げ返済や返済方法の変更なども検討しましょう。

■■繰り上げ返済

繰り上げ返済は、月々の返済額とは別にまとまった資金で返済して元金返済の前倒しにあてます。金融機関ごとに手数料は掛かりますが、減少した元金分の利息も減らせる返済方法です。※8

■■返済方法の変更

金利が上がった場合は、返済方法を見直すこともひとつの方法です。現在返済中の金融機関を通して住宅金融支援機構の承認を得られれば、返済方法を変更できます。

  • 毎月定額返済からボーナス払いの併用への変更
  • ボーナス払いの併用から毎月定額返済への変更
  • 元金均等返済から元利均等返済への変更
  • 元利均等返済から元金均等返済への変更
  • 返済期間を短縮する変更※9

結論:住宅ローン変動金利は「今後、上がるのか」

住宅ローンの変動金利は、今後上がるのでしょうか。冒頭でふれた日銀の黒田総裁の発言から、住宅ローンの固定金利が上がる見通しとなっています。※10

表向きには、変動金利は上がらないという専門家の意見などもありますが、今回の黒田総裁の発言はサプライズ利上げでもあります。そのため、2023年4月の黒田総裁の任期満了と新総裁の出方次第では、変動金利にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。

今後は、お金についての知識を身につけておかないと大切な資産を減らしてしまうかもしれません。住宅ローンなど、お金の仕組みについて正しく理解しておく必要があります。

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※1)一般社団法人全国銀行協会「教えて!くらしと銀行」
※2)auじぶん銀行の住宅ローン公式ページ
※3)新生銀行の住宅ローン公式ページ
※4)住宅金融支援機構「フラット35」
※5)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2022年4月調査)」
※6)新生銀行の住宅ローン「住宅ローンの5年ルール、125%ルールとは?メリット・デメリットについて解説」
※7)一般社団法人全国銀行協会「教えて!くらしと銀行」
※8)一般社団法人全国銀行協会「教えて!くらしと銀行」
※9)住宅金融支援機構「返済方法の変更を希望するとき」
※10)朝日新聞デジタル「固定型の住宅ローン引き上げ、返済額にどう影響変動型にもリスクが」

今回の記事はいかがでしょうか。お金に関する知識をもっと知りたい方は是非無料セミナーに参加してみてください。

この記事を書いた人

江戸利彰

ライター

江戸利彰(えどとしあき)

ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。

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