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貯蓄
40代から始める老後資金作り。平均貯蓄はどれくらい?
人生100年時代といわれる現在では、40代のうちから老後資金の準備について考えておくことが大切です。とはいえ、「老後資金の目安が分からない」、「何から始めたらいいの?」と悩んでいる人も多いでしょう。
そこで本記事では、老後資金の目安や40代の平均貯蓄、今から始められる老後資金作りの方法について紹介します。
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目次
1.40代の平均貯蓄額
老後資金について考えるとき、「同世代はどれくらい貯めているのだろう」と気になったことはないでしょうか。お金に関する話題は、友人や同僚にもなかなか聞きづらい部分でもあります。
ここでは、金融広報中央委員会の「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、40代の平均貯蓄について見ていきましょう。
1-1.単身世帯
まずは、40代単身世帯の平均貯蓄についてです。金融広報中央委員会の調査結果を下記表にまとめています。
金融資産保有額 |
割合(%) |
金融資産を保有していない |
35.8 |
100万円未満 |
14.8 |
100万円以上200万円未満 |
5.9 |
200万円以上300万円未満 |
4.9 |
300万円以上400万円未満 |
6.2 |
400万円以上500万円未満 |
2.8 |
500万円以上700万円未満 |
2.8 |
700万円以上1,000万円未満 |
3.1 |
1,000万円以上1,500万円未満 |
7.7 |
1,500万円以上2,000万円未満 |
2.5 |
2,000万円以上3,000万円未満 |
4.0 |
3,000万円以上 |
5.9 |
無回答 |
3.7 |
平均額 |
657万円 |
中央値 |
53万円 |
引用:金融広報中央委員会「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」
40代単身世帯の平均額は657万円で、しっかりと貯蓄に取り組んでいることがうかがえます。しかし、中央値は53万円となっており、大きく乖離がある結果となりました。
40代単身世帯では35.8%の人が「まったく金融資産を保有していない」と答えており、貯蓄に取り組んでいる人とそうでない人が二極化している状況です。
1-2. 2人以上世帯
次に、40代2人以上世帯の平均貯蓄について見ていきましょう。同じく金融広報中央委員会の調査結果を下記表にまとめています。
金融資産保有額 |
割合(%) |
金融資産を保有していない |
26.1 |
100万円未満 |
11.1 |
100万円以上200万円未満 |
7.2 |
200万円以上300万円未満 |
5.4 |
300万円以上400万円未満 |
5.5 |
400万円以上500万円未満 |
4.2 |
500万円以上700万円未満 |
7.9 |
700万円以上1,000万円未満 |
7.3 |
1,000万円以上1,500万円未満 |
7.4 |
2,000万円以上2,000万円未満 |
3.8 |
2,000万円以上3,000万円未満 |
5.2 |
3,000万円以上 |
4.9 |
無回答 |
3.8 |
平均額 |
825万円 |
中央値 |
250万円 |
引用:金融広報中央委員会「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」
40代2人以上世帯の平均貯蓄は825万円ですが、こちらも中央値は250万円となっており、貯蓄状況が二極化していることが分かります。
「金融資産を保有していない」と答えた人も26.1%で、約4世帯に1世帯がまったく貯蓄を行っていない状況です。40代の2人以上世帯では、マイホーム購入や子供の教育資金など大きな出費が発生することも多く、「なかなか貯蓄まで手が回らない」という人も多いのかもしれません。
2.老後資金はどれくらいあれば安心?
40代ではきちんと貯蓄に取り組んでいる人もいる一方で、まったく貯蓄を行っていない人も一定数みられました。今から老後資金の準備に取り組むとなると、どれくらいの蓄えがあれば安心なのでしょうか。「生活費」と「介護費用」の2つに分けて考えていきましょう。
2-1.老後の生活費
老後の暮らしは、主に公的年金の受給で生活費をまかなうようになります。しかし、「年金だけで生活していけるのだろうか?」と不安を感じている人も多いでしょう。
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上の「夫婦のみ世帯」と「単身世帯」の毎月の収支は下記の通りです。
|
単身無職世帯 |
夫婦無職世帯 |
可処分所得 |
12万2,559円 |
21万4,426円 |
消費支出 |
14万3,139円 |
23万6,696円 |
毎月の不足額 |
▲2万580円 |
▲2万2,270円 |
参考:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」
単身世帯、夫婦世帯いずれも毎月赤字が出る状況となっています。不足分は貯蓄から取り崩すこととなりますが、仮に65歳から85歳までの20年間上記の赤字が続くとすると、下記の貯蓄額を取り崩す計算です。
|
単身世帯 |
夫婦世帯 |
赤字補てんに必要な金額 |
493万9,200円 |
534万4,800円 |
老後の暮らしの赤字を補てんするためには、500万円前後の貯蓄が必要であることが分かりました。
ただし、「老後は旅行や娯楽に楽しみたい」という場合は、上記の貯蓄では足りない可能性があります。前述の総務省統計局の調査結果では、月々の娯楽費が単身世帯は1万4,457円、夫婦世帯では2万1,302円となっており、決して多い金額とはいえません。
もし、「定期的に旅行に行きたい」、「家族でレジャーを楽しみたい」という場合は、さらなる貯蓄に取り組む必要があるでしょう。
2-2.介護費用
老後資金の準備では、介護費用への備えも欠かせません。ここでは、公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」をもとに、介護にかかる費用の相場を計算してみましょう。
同調査によると、介護のための住宅リフォームやベッドの購入など、一時的な費用の平均額は74万円です。介護にかかった費用は公的介護保険サービスによる補助を受けられるものの、自己負担額も大きいことが分かります。
また、月々の費用の平均額は8万3,000円で、介護の平均期間は平均61.1ヶ月(5年1ヶ月)であることから、計507万1,300円が必要となる計算です。
この金額を先ほどの一時費用と足すと、介護費用の平均額はトータルで581万1,300円となります。
①一時的な費用:74万円 |
「資金面の問題から十分な介護が受けられない」ということにならないように、しっかりと費用を確保しておくことが大切です。
3. 40代から始めたい老後資金作り
40代から取り組む老後資金作りの方法として、次の3つが挙げられます。
・iDeCo(個人型確定拠出年金) |
それぞれくわしく解説していきましょう。
3-1.iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」と呼ばれる私的年金制度です。iDeCoは毎月掛けたお金を自ら選んだ金融商品で運用し、その運用成果を60歳以降に年金として受給します。
公的年金以外の収入源を作れるため、老後の暮らしで発生する赤字を補てんできるメリットがあります。
また、iDeCoは税制面での優遇が多いことも特徴です。特に、収入が増えて税負担が大きくなりやすい40代に嬉しいのが「掛金を全額所得控除できる」という点です。
たとえば、iDeCoに毎月2万円拠出する場合、年間で24万円を所得から控除することができます。つまりiDeCoに拠出した分だけ課税所得を抑えられるため、所得税や住民税の税負担軽減につながる仕組みです。
「老後資金の準備と税金対策のどちらにも関心がある」という人は、iDeCoの加入を検討してみましょう。
3-2.NISA
NISAは、株式や投資信託での運用で得た利益が非課税となる制度です。
2024年から新しいNISAへと制度改正されることが決まっており、1人あたり1,800万円まで生涯非課税で運用できるようになる見込みです。非課税期間を気にせずに運用ができるため、これから老後資金の準備として活用するのにも便利な制度といえます。
ここで、40歳から65歳まで毎月3万円を積み立てた場合の運用成果をシミュレーションしてみましょう。
運用利回り |
運用成果 |
0% |
900万円 |
1% |
1,022万103円 |
3% |
1,338万235円 |
全く運用しない場合は900万円の貯蓄となりますが、資産運用によって利回りを得ることでより効率よく貯蓄に取り組めることが分かります。
証券会社によってはワンコインから始められるところもありますので、まずは少額投資からスタートしてみるとよいでしょう。
3-3.貯蓄型保険
貯蓄型保険とは、万が一の事態に備えながら貯蓄に取り組むことができる保険商品です。
貯蓄型保険のひとつである「個人年金保険」は、毎月支払った保険料を満期後に一括もしくは年金形式で受け取れるものです。iDeCo同様に私的年金のひとつであるため、「公的年金だけでは不安」という人に向いています。
円建ての保険は株式や投資信託に比べると利回りが小さい傾向にありますが、その分リスクも抑えられるメリットがあります。NISAやiDeCoと上手く使い分けながら、手堅い運用手段として貯蓄型保険を取り入れるのもひとつの方法です。
4.老後資金の準備は計画的に取り組もう
老後資金の準備は40代のうちから計画的に取り組む必要があります。まずは、自分のライフプランを立てたうえで「どれくらいの資金が必要になるか」ということを試算してみましょう。
より効率的に老後資金を準備するためには、iDeCoやNISA、貯蓄型保険を活用することもおすすめです。
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【参考】
金融広報中央委員会「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/
総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2022np/pdf/summary.pdf
公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/sokuhoubanR3.pdf
この記事を書いた人
ライター
椿 慧理(つばき えり)
銀行を10年間勤務し経験を通じて得た金融知識を活かし、金融ライターとして独立。
金融商品やマーケットの解説、税制解説など初心者にも分かりやすい記事を手掛ける。
自らも12年の投資経験を持ち、国内外株式、投資信託、暗号資産を運用中。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、内部管理責任者
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