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保険

手取り激減!転職?退職?パート主婦も社会保険料を払う時代

手取り激減!転職?退職?パート主婦も社会保険料を払う時代

かなり久々に地元の友人から連絡が来ました。なんでも、相談したいことがあるとのこと。

「マルチ勧誘キタ━(゚∀゚)━!コラムのネタにしたろ!!

と思って話を聞いたら、社会保険料についての相談でした…。汚い大人になったものです。友人には本当に申し訳ないことをしました。

さて、気を取り直して。

友人のお悩みは、「社会保険適用拡大に伴い、今後の身の振り方をどうすべきか悩んでいる。相談に乗ってほしい」というもの。正直、話を聞いたときは「なんのこっちゃ?」という感じでした。前にランチした時点では、友人の収入は月に10万ほどで、旦那さんの扶養に入っていたはずです。

「扶養に入っているのだから、社会保険料って自分で支払う必要なかったよな?」と思い聞いてみると、社会保険適用拡大に伴い、扶養から外れなくてはならなくなったそう。

社会保険適用拡大について改めて学び直してみると、パート主婦にとって大打撃になることがよくわかります。不勉強を恥ずかしく思いながらも、この「新しく得た知識」を、出来るだけ多くの方に届ける必要があると確信しました。

そんなわけで今回は、パート主婦の方必見!「社会保険適用拡大で何が起こるのか」を解説します。

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社会保険適用拡大とは *1 

友人が私に連絡をしてきたのは、彼女が務める地元企業が、社会保険適用拡大に伴う準備をし始めたからでした。部長から呼び出され、「君は社会保険が適用される」と言われたのだそうです。

そもそも、「社会保険適用拡大」とは何でしょうか。簡単に言うと、「パート主婦でも厚生年金がもらえる」、「出産手当金や傷病手当の対象になる」ことです。こう聞くと、かなりいい感じに聞こえます。

しかし、代わりに「夫の扶養から外れ」、「自分で社会保険料を払わなくてはいけなくなる」のです。

同じ勤務時間、同じ給与でも、ひとたび社会保険が適用されると手取りが減ることになります。友人にとっては危機的状況です。

社会保険適用拡大の条件は?

社会保険適用拡大には、勤め先の従業員数と、週の労働時間、月の収入、今後勤務先でどれくらいの期間働くか、学生かどうかという、5つの指標があります。詳細は、下記の図の通りです。

引用)厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」表紙https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/pdf/guidebook_hihokensha_a4.pdf

社会保険適用拡大は2016年から始まっています。当初は従業員数501人以上の大企業に勤めていることが条件でしたから、全員に当てはまる条件ではありませんでした。

ところが、2022年10月から風向きが変わり始めます。従業員数がぐっと減り、101人以上に変更されたのです。これは国が「もっと多くの女性に働いてもらいたい」というメッセージでした。

そのメッセージはさらに強く打ち出され、ついに2024年10月には従業員数51人までに減らされることが決定しています。これまで社会保険適用に該当しなかった友人も、社会保険適用になる可能性が出てきたのです。

パート主婦にとって大切な、3つの「収入の壁」

賢くパートを続けるにあたって大切なのは、「いかに税金や社会保険料を払わずに金を稼ぐか」に他なりません。そこで登場するのが、3つの「収入の壁」です。

ここでは、「収入の壁とは何か」、「社会保険適用拡大とどう関係するのか」を解説します。

103万の壁 *2 

収入の壁の1つ目は「103万の壁」です。収入が103万円を超えると、所得税が課税されます。

所得税を課税されたくなければ、収入を103万円以下に抑える必要があるわけです。とはいえ、この103万の壁は、社会保険適用拡大とはさほど深く関係しません。

所得税を取られるのが嫌なら超えないほうがいいよ、という感じですね。

106万の壁 *3

社会保険適用拡大と最も大きな関わりがあるのは、106万の壁です。「106万」という数字の由来は、社会保険適用条件の一つである「所定内賃金の月額8.8万円」から来ています。

月額8.8万円を12か月稼ぐと、下記のようになるからです。

8.8万円×12か月=105.6万円

現在の制度だと、従業員数が101人以上の企業に勤めるパート主婦は、106万円以上稼ぐと社会保険適用になる可能性が高くなります。

しかし2024年10月からの社会保険適用拡大に伴い、従業員数が51人以上に変更されることが決定しました。106万の壁にぶち当たるパート主婦は、今後激増すると見られています。

「社会保険適用拡大」とは、社会保険料を自腹で払う人を増やすことと同義です。

収入は変わらないのに手取りが減るため、何としても106万を超えないように働くか、従業員数が少ない企業に転職するか、収入を増やして減った手取り分をとり戻す必要があります。

ちなみに106万円の壁は学生には関係ありませんが、130万の壁で手取り減にぶち当たります。

結局、社会保険の魔の手からは逃れられないのです。

130万の壁 *4 

130万の壁は、全ての人が扶養から外れ、社会保険に加入しなくてはならないボーダーラインです。

学生だろうと、従業員数が少ない企業に勤める主婦だろうと、等しく社会保険料を払わされます。従業員数が少なく、社会保険料逃れ出来ていたパート主婦も、130万の壁を超えると社会保険に捕まることになります。

パート主婦の友人も大打撃!手取り激減で転職へ

友人の勤めている地元企業は、スーパーを営んでいます。従業員数は80人ちょっとで、2022年10月の改定では社会保険適用は該当しませんでした。

しかし2024年10月からは、多くの従業員が社会保険適用となるそうです。友人もそのうちの一人でした。社会保険拡大の条件は、従業員数以外にも4つあります。*3

1.週の所定労働時間が20時間以上

2.所定内賃金が月額8.8万以上(残業代・賞与等は含まない)

3.雇用の見込みが2か月以上ある

4.学生でない

友人は、時給950円でスーパーのレジ打ちや品出しを行っています。勤務時間は10時〜16時まで(1時間休憩:実働5時間)×週5の計100時間/月。勤続8年のベテランです。

1日5時間×週5日、週の労働時間は25時間。

給与は、時給950円×週の労働25時間×4=9万5000円
ベテランですから、退職してほしくないパートであることは間違いありません。彼女は、今のまま働き続けると、確実に社会保険適用となります。

では、社会保険を適用された場合の彼女の手取りは、いくらになるのでしょうか。ほぼ同じ条件の事例が厚生労働省の資料にありましたので、そちらを掲載したいと思います。

引用)厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」p.5https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/pdf/guidebook_hihokensha_a4.pdf

友人の月の収入は約10万円。年収は約120万円です。

改正前は、夫の扶養に入れていたため社会保険料の負担は0円でした。ところが、改正後は月額9,000円、年額10万8,000円も保険料を支払わなくてはいけません。

改正前と改正後での収支を見るとこのような状況です。

 

改正前

改正後

保険料 支払者

(扶養範囲のため)

自分で支払う

社会保険料

0円

10万8,000円/年

給与

約120万/年

109万2000円/年

これはかなり大きな差です。

どうする!?友人の下した結論とは…

ワンオペ育児をしている友人は、子育てと仕事の両立が必要になるため、勤務時間や勤務日数は増やせません。8年間で時給は微増しましたが、すぐに上げられるわけでもありません。給与は増やせないのに、いきなり11万もの手取り減を強いられたのです。

収入を減らすことも考えましたが、保育料などは友人の稼ぎから払っており、できるだけ今の水準を保ちたいというのが希望でした。転職するべきか、このまま続けるべきか。続けるとしたら、働き方をどう変えるのか。友人は悩みぬいて私に声をかけてくれました。

一緒にうんうん唸りながら考えて、最終的に出した結論は「従業員数51人以下の会社に転職する」です。この方法も、焼け石に水戦法であることは、二人とも分かっていました。

それでも、給与水準を変えずに手取りを減らさない方法は、転職しかありませんでした…。友人は相談して本当によかったと言ってくれたものの、私は役に立てなかったという想いが非常に強いです。

友人の職場は家から自転車で10分、保育園からも10分と、非常に通いやすい立地にありました。2人の子持ち主婦にとって、通いやすさは非常に重要です。8年も勤めた職場だったこともあり、出来れば転職したくないのが本音だったのではないかと思います。

しかし、彼女には転職する選択肢しか残されていませんでした。私の地元はド田舎ですから、パート主婦を雇える体力のある会社は、必然的に大企業になります。

従業員数51人以下の企業はそもそもかなり少なく、あったとしても時給950円を出せるかは不明です。友人は、「まだ時間もあるし、できるだけ条件の良い所を探すよ」と言っていたけれど、中々難しい戦いになるのではないかと思います。

もし転職先が見つからなければ、勤務時間を減らすそうです。少なくなった収入は旦那さんの残業代で賄うしかないとのこと。もし旦那さんの残業が増えたら、更にワンオペが加速することになります。

友人の未来は決して明るくありません。

それもこれも、社会保険適用拡大の影響によるものなのです。

社会保険適用拡大は何が問題なのか

社会保険適用拡大の最も大きな問題は、「自分の意思で社会保険適用にNGを出せない」ことにあります。加入条件に当てはまってしまったら、なにがなんでも給与から社会保険が天引きされ、求めてもないのに厚生年金に加入させられるのです。

子どもを育てる母は、とにかく時間がありません。特に夫の扶養に入ってパート勤務されている女性は、多くの場合ワンオペ育児をされていて、とにもかくにも時間がありません。

マッハで化粧をしながら「行きたくない~(´;ω;`)」とごねる子供を何とかなだめすかし、保育園や幼稚園に子どもを送り届けた後、マッハで出社、必死で仕事をしたかと思えば休憩時間に今日の夕飯の献立を考え、退勤後はマッハで買い物、マッハで夕食づくり、マッハで子どもを迎えに行き、ご飯を食べさせお風呂に入れて寝かしつけ寝落ち。

息もつけずに一日を終えます。つまり何が言いたいかというと、「勤務時間は延ばせない」ということです。

働く母には、休みなどありません。土日祝日は子どもが一日中家にいますから、ワンオペ育児ならなおのこと仕事は入れられません。

勤務時間も勤務日数も延ばせないため、収入は上げられません。社会保険適用拡大に伴い手取りが減ることは、大打撃にしかならないのです。

まとめ

政治家の高齢男性は大きな勘違いをしています。「女性が働き控えしているから、制度を整えてもっと働いてもらおう」と思ったのでしょうね。でも事実は異なります。

130万に抑えているわけでもなんでもなく、それ以上働けないのです。子どもをワンオペで育てていたら、長時間勤務なんてできません。勤務時間も日数も増やせないので、収入を上げたければ単価を上げるしかありません。

しかし子持ちの主婦なんてそうそう雇ってもらえませんから、単価を上げるなんて夢のまた夢です。そうやって負の連鎖が絡み合っていることを、今回の友人の相談で痛感しました。

スッキリとした終わり方でないことを大変申し訳なく思うのですが、これが友人のリアルな現状です。

もし今、少しでも時間があるなら、未来の投資として「子どもが寝た後にできる副業」を始めたほうがいいと思っています。筆者もそうやって収入をあげました。

子どもを持つ母は、子どもが寝た後の時間をお金に換えるしかありません。
どうか、「あの時やっておけばよかった」と思う前に、準備をしていただけたら幸いです。

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この記事を書いた人

齋藤佑美

ライター

齋藤佑美(さいとうゆみ)

複数の大手メディアでコラムを執筆する2児の母。
FP上位資格のAFP、生命保険協会認定FP資格であるTLC取得。
女性に寄り添ったコラムが好評を得、週刊女性にて記事の監修を行う。
お金の知識や現場の体験を踏まえた記事に定評がある。


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