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実母が語る、乳がんステージⅠの怖さと金~乳がん発覚から入院まで~

実母が語る、乳がんステージⅠの怖さと金~乳がん発覚から入院まで~

母が、がんになりました。これまで、病気の「びょ」の字もなく生きてきた人です。

入院や手術どころか、風邪を引いたところさえ、ほとんど見たことがありません。脂肪をたっぷり蓄えていることは心配ではあるものの、それ以外は超がつくほど健康だと思っていました。

しかし、そんな母は2021年6月、ステージⅠの乳がんだと診断されました。胸にできた小さなしこりは悪性で、入院と手術を余儀なくされたのです。

【「癌になったら死ぬ」という時代は、かなり前に終焉を迎え、今は早期発見、早期治療できればかなり生存率が高くなっている。】

筆者は保険を販売していた時に、資料でその事実を何度も説明しています。
ですからステージⅠと診断された時は、胸を撫で下ろしました。

「ああ、良かった。完治できそうだ」

髪が抜けることもなく、気持ち悪くて食べられないなんてこともなく、手術箇所が時折痛むくらいで、母はとても元気そうに見えました。定期検診でもがんの転移は見られず、進行も今のところはありません。

しかし1年経ってみて、当事者にしか分からない辛さ、大変さが分かってきました。

多くの人は「ステージⅠでよかったね」と言います。筆者もそう思っていました。
実際は「切除したリンパは二度と元に戻らない」し、「がんになったことで起きた不調が多々ある」ことが浮き彫りになりました。

お客様からのお話だけでは分からなかった、沢山の「不具合」が今も母を蝕み続けています。

「ステージⅠだからと侮ってはいけなかったんだ。私は知らないことがたくさんあったんだ。」と、大変恥ずかしくなりました。

そこで今回は、スポットが当たりにくい「ステージⅠのがんになったらどうなるのか、どれくらいお金がかかるのか」を、母の体験を元に記します。少しでも多くの方に、がんの恐ろしさが伝われば幸いです。

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母、ステージⅠの乳がんになる

あれはちょうど、筆者が第二子を出産し、1ヶ月ほど里帰りをしているときのことです。
母が「健康診断で再検査になった」と言います。

どうやら胸にしこりができているというのです。
本当に何となくだったのですが、筆者は母が乳がんになったという確信がありました。

「そうか、だから私はここに帰ってきたのか。神様に呼ばれたのかもしれないなぁ。」

そう思うくらいには、筆者の心の虫が大騒ぎしていたのです。
筆者は0歳と3歳の子どもを連れて、母と共に検査結果を聞きに行くことにしました。

保険販売の仕事をしていましたから、家族で一番がんのこと、お金のことに詳しかったからです。
順番を待ち、検査結果を聞きに行くと、お医者様からは無機質な回答が返ってきました。

「ステージ1の悪性新生物です。」
母は努めて冷静に見えましたが、手が微かに震えていたのをよく覚えています。

悪性新生物とは?乳がんとは?

悪性新生物というのはがんのこと。がんには、ステージ0からステージ4まで8段階があります。ステージの説明は下記の通りです。

【8段階の病理(ステージ)】

ステージ

症状

0期

がんが発生した乳腺の中にとどまっているもの。極めて 早期の乳がんで「非浸潤(ひしんじゅん)がん」という。

Ⅰ期

しこりの大きさが2cm 以下。わきの下のリンパ節には 転移しておらず、乳房の外に広がっていない。

Ⅱa期

しこりの大きさが2cm 以下だが、わきの下のリンパ節 に転移がある。またはしこりの大きさが2~5cm で、 わきの下のリンパ節に転移がない。

Ⅱb期

しこりの大きさが2~5cm で、わきの下のリンパ節に 転移がある。

Ⅲa期

しこりの大きさは2cm 以下だが、わきの下のリンパ節 に転移があり、さらにリンパ節同士が癒着していたり、 周辺の組織に固定している。 またはわきの下のリンパ節への転移はないが、胸骨の内 側のリンパ節がはれている。 あるいはしこりの大きさが5cm 以上で、わきの下ある いは胸骨の内側のリンパ節への転移がある。

Ⅲb期

しこりの大きさ、わきの下のリンパ節への転移の有無に かかわらず、しこりが胸壁にがっちりと固定していたり、 皮膚にしこりが顔を出したり、皮膚が崩れたり、皮膚が むくんでいる。炎症性乳がんも含まれる。

Ⅲc期

しこりの大きさにかかわらず、わきの下のリンパ節と胸 骨の内側のリンパ節の両方に転移のある場合。あるいは 鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。

Ⅳ期

遠隔臓器に転移している。乳がんが転移しやすいのは骨、 肺、肝臓、脳など。

引用)公益財団法人 日本対がん協会「もっと知りたい 乳がん 8段階の病理(ステージ)」https://www.jcancer.jp/wp-content/uploads/nyu-gan2020.pdf p13

ご存知の方も多いでしょうが、がんはステージが上がれば上がるほど、死亡率が高くなります。それは乳がんにおいても同じことです。

❝全体として、相対生存 率は 95.7%であり、どの年代においても相対生存率は 90%を超えていた。(中略)Ⅰ期、Ⅱ期では相対生存率は 95%以上であるが、 Ⅳ期では約 58%にとどまった。❞ 

引用)国立がん研究センター がん対策情報センター 「がん診療連携拠点病院等 院内がん登録 2015 年 3 年生存率集計 報告書 6.女性乳癌(3)3 年生存率  」p45https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/pdf/hosp_c_reg_surv_4_2015.pdf

国立がん研究センターならびにがん対策情報センターが、令和3年に公表した「2015 年 3 年生存率集計 報告書」によると、乳がんでの3年生存率は非常に高いのが特徴です。

相対生存率は95.7%。多くの方は乳がんとなっても生き残ることができます。しかし、ステージⅣ期はおよそ4割が死亡しており、その死亡率の高さは驚異的です。

実際に、壮年女性のがんによる死亡原因は、乳がんが1位。

引用)公益財団法人 日本対がん協会「もっと知りたい 乳がん 表1 女性壮年層ではがんによる死亡原因の1位は乳がんです」https://www.jcancer.jp/wp-content/uploads/nyu-gan2020.pdf p3

また、40歳を超えると急に乳がんでの死亡率が高くなります。

引用)公益財団法人 日本対がん協会「もっと知りたい 乳がん グラフ2 40歳前後を境に、乳がんで亡くなる人が急激に増加します」https://www.jcancer.jp/wp-content/uploads/nyu-gan2020.pdf p3

やはり、がんは「早期発見、早期治療」が生き残るカギなのです。

ステージⅠの乳がん 治療スケジュール(母ver.)

母も家族も、もちろんとても落ち込んではいました。「自分は健康だ」という自負心が崩れ、相当なショックを受けたと思います。

しかし、母の乳がんは早い段階で発見できたとのことでした。データを見ても、ステージⅠの乳がんは死亡率が低く、不幸中の幸いだと切り替えることができたようです。

お医者様からの説明や様々なデータ、そして0歳と3歳の大騒ぎ孫たちのおかげで、母はなんとかメンタルを保つことができました。

母のがんはリンパ付近にありました。

下記の図を見ると、「53%」と記載がある辺りにがんが発見されたのです。

転移の危険性を排除するため、がんだけでなく脇の下のリンパの一部も切除することとなりました。

引用)公益財団法人 日本対がん協会「もっと知りたい 乳がん 乳房のしくみ 乳がんのできやすいところ」https://www.jcancer.jp/wp-content/uploads/nyu-gan2020.pdf p1

がん発覚から現在までの大まかな治療スケジュールは下記のとおりです。

時期

内容

6月中旬

がんが発覚
検査(3~4回)

8月上旬

入院・手術

8月中旬~9月中旬

放射線治療(週5回・25回)

9月下旬

経過観察(週1回)

10月~

ホルモン治療(継続中。服薬)
経過観察(月1~半年に1回)
定期健診(半年に1回)

6月半ばにがんが発覚し、8月上旬に入院と手術が決定しました。

それまでに複数回検査を行い、入院と手術を経て、放射線治療を通院で行います。

放射線治療は週に1回で、約2ヶ月。その後、経過観察で1か月。母は結局、6月半ばから11月末まで、ほぼ週1回通院しなくてはならなくなりました。

ステージⅠの乳がん 入院までにかかったお金

入院までにかかったお金は、主に「検査代」「診察代」「交通費(電車・バス・タクシー代)」の3つです。
検査代、診察代併せて約3万円、交通費が約5000円ほどかかりました。

まだ治療も始まっていないのに、3万5000円の支出です。
3割負担でこの金額ですから、かなり負担が大きいと感じました。

母が語る「入院までに大変だったこと」

ステージⅠの乳がん治療に落ちて、入院までに大変だったことを母にインタビューしました。

仕事ができない

これが母にとって一番のストレスだったようです。

母は自宅でピアノを教えているのですが、上記の治療スケジュールでは相当な数のレッスンを休まなくてはならなくなりました。

時間によっては仕事が可能なこともありましたが、それでも収入は激減してしまいました。

大まかなスケジュールは分かっているものの、今後の先行きは不透明です。もしスケジュール通りに行ったとしても、12月頃までは思うように仕事ができません。個人事業主にとって、精神的にも金銭的にも、大きな打撃がありました。

かさむ交通費

ド田舎に住んでいると、治療ができる病院も限られます。1時間に1回、来るか来ないかの電車を待って最寄り駅まで行き、更にバスで病院まで行かなくてはいけません。

1回の通院で往復1500円。仕事の時間に間に合わないなどの理由でタクシーを利用すれば、2500円ほどになります。

週1回の通院でも、交通費だけで1か月約6000円。治療が長びけば、交通費だけでも大きな出費です。

バスや電車が頻繁にはこないため、時間によっては待ち時間が発生します。病院内のスタバ代も馬鹿になりません。

通院による拘束時間の長さ

通院による拘束時間の長さも、かなりストレスだったようです。

病院に行くまでにも、電車とバスを乗り継いで1時間ほどかかります。

地域の主管病院だったため、予約していてもかなり待たされる点も、疲弊ポイントだったそうです。診察、治療から会計まで1時間以上は当たり前。

電車やバスの時間に間に合わなければ、更にアイドルタイムは長くなってしまいます。

筆者も何度か母に付き添いましたが、家を出てから帰ってくるまで、4.5時間かかることもザラです。
時間が読めないので、母は仕事のスケジュールを組むのにも苦戦していました。

例え都内に住んでいたとしても、放射線治療ができる病院はそこかしこにあるわけではありません。
また、ド田舎よりも人口が多いので、待ち時間も相応に長くなるでしょう。

ド田舎暮らしでなくとも、通院による拘束時間の長さはあまり変わらないのではないかと思います。

母が語る「知っておいて、やっておいてよかったこと」

ここでは、母が「知っておいてよかったこと、やっておいてよかったこと」が何だったのかをお伝えします。

がんにはやっぱりがん保険

「やっぱり一番の心配はお金だった。がん保険に入っていたことは本当に良かったと思う。通院は安くてもいいから、絶対につけるべきだね」

私も心からそう思います。

「ちょっと保険料が高くなったとしても、絶っっっ対にがん保険には入るべき!!!通院治療もつけるべき!!!」と譲らず、両親を説得したあの時の自分に乾杯。

母の場合、医療保険1つ、死亡保険の特約(医療)、がん保険に加入していたので、かなり保険には助けられました。

医療保険は入院日額5000円、手術10万円。
死亡保険の特約から入院日額3000円、手術5万円。
がん保険は診断金100万円、入院日額1万円、手術20万円、通院日額3000円。

今回は入院するまでのスケジュールをご紹介しているので、通院しかしていません。
医療保険と死亡保険の特約は、入院と手術が要件なので、給付はありませんでした。

その点、がん保険はがんと診断されただけで給付金が受け取れます。
母の場合は診断金が100万円でしたから、本当に助かったそうです。

給付の申請には診断書等が必要ですが、通院先の病院は診断書発行に8000円ほどかかります。
毎回診断書をもらうと赤字になってしまうため、治療が終わってから保険会社に申請することになりました。

「もらおうと思えばいつでもお金がもらえるんだと分かっていたから、本当に心強かった」と母は何度も言っていました。

高額療養費制度と限度額適用認定証の知識

「高額療養費制度のしくみが分かっていたから、治療費が高くなっても何とかなると思ったのは安心材料の一つだった」

「限度額適用認定証を事前に申請していれば、窓口で支払う金額が少なくて済むのも知っておいて本当に良かった」

というのが母の意見です。

私が保険や社会保障制度を勉強していたのは、こういう時のためだったかもしれませんね。
家族に解説しているときの私は、さぞかしドヤっていたことでしょう。

やはり知識は人を救うのです。

まとめ

今回は、ステージⅠの乳がんと診断された母の、入院までの記録をまとめました。

次回は、入院から現在までの母の生活や、お金のかかり方、苦労している点などを赤裸々にまとめますので、チェックしていただけると幸いです。

続きもございます。
ぜひ併せて読んでみてくださいね。

続き:実母が語る、乳がんステージⅠの怖さと金~入院から放射線治療終了まで~https://urukin.com/2227-2/

 

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この記事を書いた人

齋藤佑美

ライター

齋藤佑美(さいとうゆみ)

複数の大手メディアでコラムを執筆する2児の母。
FP上位資格のAFP、生命保険協会認定FP資格であるTLC取得。
女性に寄り添ったコラムが好評を得、週刊女性にて記事の監修を行う。
お金の知識や現場の体験を踏まえた記事に定評がある。


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