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保険
知ってた?銀行や証券会社が破綻したときの資産の行方!
世界経済を驚かせた米国のシリコンバレーバンク経営破綻は、日本の金融機関でも起きるかもしれないことを考えさせられました。シリコンバレーバンクの経営破綻は、次の3つの要因が考えられています。
- テクノロジー産業の経営不振
- 米国の政策金利上昇による債券投資の損失
- 逆イールドの進行による利ザヤの縮小
これらがシリコンバレーバンクの逆風となった様子です。
データ参照:※3
銀行が経営破綻になった場合は、どうなってしまうのでしょうか。タンス預金にしておくより銀行で管理する方が安心とも考えられますが、実際のところはどうなるのでしょうか。
今回は、銀行や証券会社に預けてあるお金や有価証券について、破綻した場合の補償を調べてみました。もし、預金先が経営破綻してしまったらお金は戻ってくるのか、または長期で積み立てしている投資信託などはどうなってしまうのか、など日本証券業協会の情報をもとに開設します。
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目次
資産運用でお金を預けている銀行が破綻すること
資産運用を目的に証券会社で口座を開設する人は少なくありません。冒頭でも触れたシリコンバレーバンクのような状況が起きた場合、冷静ではいられなくなるでしょう。
もし、口座のある証券会社が破綻した場合、保有する株式や預金はどうなるのでしょうか。そのような不安を持ってしまったら、前向きな資産運用ができなくなるかもしれません。銀行が破綻することは、その銀行での取引ができなくなるということです。
ただし、預けている投資家には落ち度がないため、何らかの補償制度が施されていると考えられます。
証券会社に預けた口座資金や有価証券は二重の制度で守られている
日本証券業協会「投資の時間」によると、投資家が証券会社に預けたお金(有価証券やお金)は、証券会社が破綻しても投資家のもとに戻る仕組みです。二重の制度によって、投資家が預けている資産はそのまま返還されます。
二重の制度とは、分別管理と証券保管振替機構の補償です。この2つの制度は、1,000万円以内であれば証券口座の資金が守られます。ただし、逆に1,000万円を超える部分の口座資金や有価証券は補償対象外となる補償制度です。
出典:※1
分別管理
分別管理は、証券会社が投資家の預けた資金に対して行う管理手段です。証券口座資金の保護を成り立たせています。法律上、証券会社は顧客資産の分別管理が義務付けられています。
分別管理を義務付けている法律とは
分別管理を義務付けている法律は、金融商品取引法です。国内で運営する証券会社は、例外なく投資者保護基金に加入することが決められています。通常は、証券会社に資金を預けることで分別管理されていると判断できるでしょう。
出典:※2
日本投資者保護基金の補償
証券会社では、何らかの理由があって分別管理をしていないこともあります。そのような状況において準備されている補償が日本投資者保護基金です。日本投資者保護基金は、顧客ひとりあたり1,000万円を上限として補償する制度が活用できます。
出典:※2
分別管理の仕組み
日本証券業協会の「投資の時間」によると、分別管理は投資家が預けた資産を法律上証券会社の資産とは別に管理しています。投資家は、証券会社で口座開設すると、その資産を次のように分別して管理します。
- 投資家の資産を管理する金融機関
- 証券会社の資産を管理する金融機関
投資家の資産は、さらに次の2つに分類して管理する仕組みです。
- 金銭を信託銀行
- 有価証券(株式や債券)を証券保管振替機構(通商:ほふり)
分別管理は、証券会社以外で管理している点がポイントとなるでしょう。証券会社の資産とみなされないため、証券会社が経営破綻しても投資家に影響を及ぼさない仕組みとなっています。
出典:※1
分別管理の注意点
証券会社に預けた資産の分別管理には、注意点があります。分別管理の対象とならない取引は、次のとおりです。
- 信用取引:委託保証金を担保に証券会社から資金または証券を借りて行う売買取引
- 外国為替証拠金取引:FX取引のこと
- 先物取引:将来の売買を現時点で約束する取引
これらの取引は、法律上、分別管理の対象外とされています。
出典:※5、※6
また、株式や債券などの有価証券の場合は、その時点の市場価格で換金されることが考えられます。そのため、市場価格が下がっている状態で換金されれば、元本割れと同じ扱いで口座に入金した当初の金額よりも下落するでしょう。つまり損失につながることも理解が必要です。
証券価格の下落は補償対象外と覚えておきましょう。
出典:※1、※4
銀行が破綻した場合の預けたお金について
冒頭で紹介したシリコンバレーバンクの破綻のように国内の銀行でも破綻が起きた場合は、預けてあるお金がどのようになるのでしょうか。金融庁のサイトでは、銀行の預金を守る預金保険制度について解説しています。
預金保険制度は、金融機関の信用秩序を維持するための保護制度です。金融機関の信用が低ければ、大切なお金を預ける人は少なくなるでしょう。大切なお金を信用ある機関に預けるためには、預金保険制度が必要です。
出典:※7
預金保険制度の仕組み
預金保険制度は、次のような仕組みで成り立っています。
預金保険制度の対象となる預金 |
保護範囲 |
|
決済用預金 |
●当座預金 |
全額保護対象 |
一般預金など |
●利息の付く普通預金 |
金融機関ごとに預金者ひとりあたり1,000万円までの元本を保護(破綻日までの利息も保護対象) |
出典:※7、※8
これらの預金は、預金保険制度で保護対象となっています。優先される預金は、当座預金や利息の付かない普通預金です。決済用預金であれば、全額保護されています。決済用預金は、引き落としのできる決済用の預金であり、預金者がいつでも払い戻しできたりする条件を必要とします。さらに利息が付かないことも条件として満たさなければなりません。
出典:※8
それでは、預金保険制度の対象外となる預金は、どのような預金でしょうか。
預金保険制度の対象外となる預金 |
保護範囲 |
●外貨預金 |
保護対象外 |
出典:※7、※8
預金保険制度を活用できる金融機関
預金保険制度の対象となる金融機関は、次のとおりです。
- 日本国内に本店のある銀行
- 信用金庫
- 信金中央金庫
- 信用組合
- 全国信用協同組合連合会
- 労働金庫
- 労働金庫連合会
- 株式会社ゆうちょ銀行
- 株式会社商工組合中央金庫
これらの金融機関において、海外支店や外国銀行の在日支店、政府系金融機関などは、預金保険制度の対象外です。
出典:※8
銀行や証券口座の保護範囲を理解して運用しよう
今回は、預金や投資用のお金を預けている先の金融機関が破綻したときの保護制度について解説してきました。
銀行や証券会社の口座でも共通している点が、ひとりの預金者(口座名義人)に対して最大1,000万円まで保護される点です。ただし、すべての口座や投資商品にあてはまるわけではありません。
分別管理や預金保険制度の対象外となる資産もあるので、把握しておくことをおすすめします。お金の管理は、金融機関に預けておくことで安心できる面もあります。しかし、証券会社が破綻した際は、所有証券に対してそのときの市場価格が反映される点も覚えておきましょう。
お金の知識は、くわしく理解しようとすると専門用語の理解が必要です。専門用語を体系的に学ぶセミナーなどに参加してみてはいかがでしょうか。
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※1:日本証券業協会「投資の時間|証券会社が倒産した場合、預けている証券やお金はどうなるの?」
※2:東京くらしWEB「証券会社が破綻すると証券会社に預けている現金・債券はどうなるのか」
※3:NRI野村総合研究所「シリコンバレーバンクの破綻は米銀全体が抱える脆弱性を浮き彫りに」
※4:SMBC日興証券「初めてでもわかりやすい用語集」
※5:日本取引所グループ(JPX)「信用取引のしくみ」
※6:金融広報中央委員会・知るぽると「先物取引」
※7:金融庁「預金保険制度」
※8:金融庁「預金保険制度Q&A」
この記事を書いた人
ライター
江戸利彰(えどとしあき)
ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。
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