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貯蓄
貯金1000万円以上の割合とは?貯めるのに何年かかる?
貯金の目標金額に挙げている人も多い1000万円。実際のところ、どれくらいの人が1000万円の貯金に成功しているのでしょうか。
本記事では、金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査」の結果をもとに、1000万円以上の金融資産を持つ人の割合について世代別で見ていきます。
1000万円を貯めるまでにかかる年数のシミュレーションについても紹介しますので、ぜひ貯蓄計画を立てる際の参考にしてください。
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目次
1.【世代別】貯金が1000万円以上ある人の割合はどれくらい?
まずは、1000万円以上の金融資産を持つ人の世代別の割合について、「単身世帯」と「2人以上世帯」に分けて見ていきましょう。ここでは、金融広報中央委員会が2022年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」の結果をもとに解説していきます。
なお、ここでいう「貯金」とは預貯金以外に株式や債券、保険商品などを含む金融資産全般を指すものとします。
1-1.単身世帯で貯金が1000万円以上ある人は21%
同調査によると、貯金1000万円以上を持つ人の割合は、単身世帯全体の内21.3%との結果になりました。世代別の割合は下記表の通りです。
【金融資産が1000万円以上ある人の割合(単身世帯)】
年代 |
割合 |
20代 |
2.4% |
30代 |
13.6% |
40代 |
20.1% |
50代 |
22.4% |
60代 |
33.9% |
70代 |
35.7% |
全体 |
21.3% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年」
20代ではわずか2.4%ですが、年齢が上がるほど割合が増え70代では35.7%、つまり3人に1人が1000万円以上の資産を持っていることが分かります。
単身世帯全体で見ても、21.3%が「1000万円以上の金融資産がある」と回答しており、5人に1人が1000万円の貯金に成功している計算です。
1-2. 2人以上世帯で貯金が1000万円以上ある人は32%
一方、2人以上世帯では、32%の人が「1000万円以上の金融資産がある」と回答しています。世代別に見た割合は下記表の通りです。
【金融資産が1000万円以上ある人の割合(2人以上世帯)】
年代 |
割合 |
20代 |
3.5% |
30代 |
16.2% |
40代 |
21.3% |
50代 |
32.8% |
60代 |
43.4% |
70代 |
45.7% |
全体 |
32.2% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
2人以上世帯では、どの世代も単身世帯に比べて1000万円以上の貯金がある人の割合が多い結果となりました。共働きで効率よく貯蓄がしやすいことや、住宅・教育資金のために計画的に貯蓄に励んでいる世帯が多いことがうかがえます。
世代全体で見ても32.2%が「1000万円以上の金融資産がある」と回答しており、およそ3世帯に1世帯が1000万円以上の貯蓄に成功している計算です。
2. 1000万円の貯金を作るには何年かかる?
「貯金1000万円」と聞くと、「到底達成できない」、「自分には難しい」と感じる人もいるかもしれません。1000万円の貯金を成功させるためには、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。
下記表で「積立金額」、「運用利回り」別の到達期間を確認してみましょう。
【1000万円に到達するまでの期間】
毎月の積立金額 |
運用利回り |
||
0% |
3% |
5% |
|
1万円 |
83年4ヶ月 |
41年10ヶ月 |
32年11ヶ月 |
3万円 |
27年10ヶ月 |
20年3ヶ月 |
17年6ヶ月 |
5万円 |
16年8ヶ月 |
13年7ヶ月 |
12年2ヶ月 |
全く運用利回りがつかない状況で積立をした場合、毎月1万円だと1000万円を貯めるのにおよそ83年もかかってしまいます。低金利政策が長引く日本では、銀行の預金金利がゼロに等しい状況が続いており、もはや預貯金だけで1000万円を貯めるのは相当の時間がかかる状況です。
そこで、貯蓄をしている間「お金にも働いてもらう」ということが大切になってきます。「お金にも働いてもらう」とは、「資産運用をして運用利回りを得る」ということです。上記表を見ても分かるように、いくらかの運用利回りを得られれば、同じ積立金額でも1000万円までの到達期間が短くなります。
年利3%で毎月1万円を積み立てた場合、1000万円に到達するのは41年10ヶ月となり、利回り0%のときと比べると半分以下の期間で済むことが分かります。
このように、貯金1000万円を目指すためには、預貯金だけでなくそれ以外の資産運用にもチャレンジすることが大切です。
3.貯金1000万を目指すときに検討したい資産形成
では、具体的にどのような資産運用を行えばよいのでしょうか。ここからは、貯金1000万円以上を目指すときにおすすめの資産形成について紹介します。
3-1.NISA制度
まずは「NISA制度」です。NISA制度は2024年から改正されることが決まっており、より長期的な資産形成に適した制度へと変更されます。
【新NISA概要】
|
つみたて投資枠 |
成長投資枠 |
年間投資枠 |
120万円 |
240万円 |
非課税保有期間 |
無期限 |
|
生涯非課税投資枠 |
1,800万円 (内、成長投資枠は1,200万円まで) |
|
対象金融商品 |
金融庁の基準をクリアした投資信託、ETF (現行つみたてNISAと同様) |
・上場株式 ・投資信託 (一部対象外となる銘柄あり) |
通常、資産運用によって得た利益は所得税と住民税が課されますが、NISA口座で運用した場合は非課税で利益を得ることが可能です。
具体的な税制メリットをシミュレーションで確認してみましょう。
【NISA口座を利用して、毎月5万円を積立投資する】 年利3%で運用した場合の15年後の積立金額 ⇒1,134万8,634円(元本:900万円、運用益:234.9万円) |
もし課税口座で運用した場合、運用益の234.9万円に20.315%の税金が課されるため、約48万円の税金が差し引かれることとなります。一方、NISA口座の場合は運用益が非課税となるため、利益をそのまま受け取ることが可能です。
新NISAでは制度が恒久化されることから、ぜひ長期の資産形成の手段としてNISA制度の活用を検討してみましょう。
3-2.iDeCo制度
次に、「iDeCo制度」です。iDeCoとは「個人型確定拠出年金」と呼ばれる私的年金制度のひとつです。毎月積立金を拠出しながら、将来の年金を自ら備えるための制度ですが、税制上でも3つのメリットを受けられます。
・掛金が全額所得控除になる ・運用益が非課税になる ・年金を受け取るときも控除が利用できる |
特に、現役世代にとって嬉しいのが「掛金が全額所得控除になる」という点です。iDeCoでは毎月の掛金を所得から控除することができるため、所得税や住民税の負担を軽減できる効果があります。
将来の備えをしつつ現在の税負担も軽減できることから、「貯蓄をしながら税金対策もしたい」という人におすすめの制度です。
3-3.貯蓄型保険
3つ目が「貯蓄型保険」です。貯蓄型保険とは、毎月積み立てた保険料を「満期保険金」もしくは「解約返戻金」にて受け取れる保険商品を指します。
貯蓄型保険にはさまざまな種類がありますが、中には申込時に解約返戻金や満期保険金の金額が確定する「定額タイプ」のものがあります。
NISAやiDeCoは税制上のメリットが大きいものの、「将来の金額が確定していないのが怖い」と感じる人もいるかもしれません。そういった場合は、あらかじめ「何年後にいくら受け取れる」と決まっている定額型の保険がおすすめです。
また、生命保険や個人年金ではそれぞれ年間最高4万円ずつ所得控除が受けられます。全額所得控除されるiDeCoほどではありませんが、税制メリットが受けられる点も魅力のひとつです。
4.無理なく貯蓄をする3つのポイント
貯金1000万円を目指すときは、次の3つのポイントを意識しましょう。
・家計簿をつけて収支を把握する |
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1.家計簿をつけて収支を把握する
まずは、世帯の収支をしっかりと把握することが大切です。「大体これくらいだろう」といったあいまいな管理ではなく、食費や光熱費、交際費など項目別に分けて細かく管理しましょう。
最近では手軽に家計簿をつけるスマホアプリなどもありますので、そういったツールを活用することもおすすめです。
収支を把握したうえで、「この支出はもう少し抑えられそうだな」と感じるところがあれば、節約に努めるようにしましょう。
4-2.毎月の貯蓄額を適切に設定する
収支が把握できたら、次に毎月の貯蓄額を設定します。
ここで大切なのは、「無理のない金額を設定する」ということです。あまりに大きな貯蓄額を設定した場合、「1000万円を貯めるぞ」と意気込んでいる内はどうにか貯蓄額を捻出できても、次第に貯蓄をすることが苦痛に感じてしまうかもしれません。貯蓄計画が崩れてしまうと、だんだんと資産形成に対するやる気が削がれてしまうこともあるでしょう。
きちんと計画通り何年も貯蓄を続けるためには、最初の段階で収支に見合った貯蓄額を設定することが大切です。
4-3.趣味や娯楽を大切に
最後に「趣味や娯楽を大切にする」ということです。1000万円の貯金を目指す人の中には、貯蓄することばかりを優先して、「趣味や娯楽に一切お金をかけない」という人もいます。
もちろん、一生懸命貯蓄をすることは悪いことではありません。しかし、趣味や娯楽を楽しんで、お金では得られない経験をすることも大切です。
「何もかも節約して貯蓄に励む」のではなく、「無理のない貯蓄をして、私生活もしっかり楽しむ」という方が貯蓄も長続きできるでしょう。
5.まとめ
「貯金1000万円」と聞くと大きなハードルのように感じるかもしれませんが、単身世帯では21%、2人以上世帯では32%が1000万円以上の金融資産を持っていることが分かりました。NISA制度やiDeCo制度などを活用すれば、毎月数万円の積立でも貯金1000万円を達成することは十分可能です。まずは、世帯の収支をしっかりと把握して、無理のない貯蓄計画を立ててみましょう。
今回の記事はいかがでしょうか。お金に関する知識をもっと知りたい方は是非無料セミナーに参加してみてください。
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この記事を書いた人
ライター
辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士、証券外務員二種
独立型FPとして相談業務、執筆業務を中心に活動中。
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