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インフレ率2%を目指す日銀!日本の中央銀行の役割とは?

インフレ率2%を目指す日銀!日本の中央銀行の役割とは?

日本銀行と聞くと、紙幣として使っている1万円札や1000円札などを発行する機関とイメージしていませんか。

物価高が騒がれる日本では、日本銀行(以下日銀)による「インフレ率2%」が耳に入ってきます。2023年4月に日銀新総裁として植田和夫氏が就任してからも、日銀が目指すインフレ率2%の安定は重要な基準と伝えられています。出典:※1

では、インフレ率の調整などを行う日銀は、どのような役割をもっている機関なのでしょうか。この記事では、インフレ率2%と日本銀行の調整について、わかりやすく解説します。また、金融緩和に取り組む日銀の役割なども調べましたので基本的な部分を知る機会としてお役立てください。

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日本銀行によるインフレ率2%への調整

インフレ(inflation:インフレーション)は、経済の観点で一定期間の物価水準が上がっていく状態のこと。物価が上がっているため、お金の価値は下がっている状態です。

インフレの反対でデフレは、真逆な使い方をします。デフレでは物価は下がりお金の価値が上がっている状態を示します。出典:※3

日本銀行の立場

日銀は日本の中央銀行の立場です。中央銀行として日本経済安定のカギを握っています。その立場からも、物価を安定させるために政府とは別でインフレ率の調整を実行しています。
大和総研によると、日銀による大規模な金融緩和が続く現代は、高インフレ状態に直面するとのことです。出典:※2

大和総研によると、日銀はインフレを抑えるために金融の引き締めをしてきたと伝えています。最近では、日本銀行ではなく政府主導のもとで物価調整対策が行われているとの見解です。出典:※2

物価高の背景

日銀は、インフレ率が2%に到達していないという判断で、金融緩和を続けています。金融緩和によりマイナス金利政策をとっているのは、世界で日本だけとのことです。
この判断は、あくまでも物価安定の水準は、インフレ率2%という指標。日銀が重要視するインフレ率2%への調整はどのような経緯で行われているのでしょうか。

日銀による大規模金融緩和が始まって10年が経過しています(2023年現在)。コロナ禍が落ち着いてきた後に起きたロシアによるウクライナ侵攻や、気候変動などが影響して世界経済は先行きの見えない状況となっています。参照元:※3

世界情勢の変化から、輸入に頼ってきた日本は物資の価格高騰で物価高を避けられなくなりました。
コロナ前の金融緩和を継続していた状態は、インフレ率2%を下回っていたとのことです。その要因は、日銀による金融緩和策が消費者の期待を高められなかった点と伝えています。出典:※1

コロナ前の状況は、金融緩和により消費者の期待インフレ率が上がれば、消費活動が増えて経済は活性化するという見通しでした。しかし、実際は期待インフレ率の上昇とまで至らなかったと伝えています。結果的にコロナ前の金融緩和はインフレ率2%以下の状態でした。出典:※1

三菱総合研究所(MRI)によると、物価上昇率への期待をあらわす期待インフレ率は、次のような期待形成で判断しているとのことです。

  • 合理的な期待形成:入手できる情報から物価予想を判断する
  • 適合的な期待形成:現状の物価高を基準として物価の見通しを判断する
  • 静学的な期待形成:過去の物価の動向から物価予想を判断する

出典:※1の図表2参照

合理的な期待を基準にして物価予想ができれば、経済の需給ギャップ国内総生産(GDP)ギャップを改善する施策で予想どおりの成果が得られるかもしれません。現状や過去の物価動向から判断した期待インフレ率は、有効性が低くなると伝えています。

要するに、財布のひもが緩くなるのも締めるのも期待(予想)の高さと考えられます。

物価高には賃上げ

物価安定には、インフレ率2%を基準にしている裏側には、賃金の上昇が不可欠です。物価が上がったとしても、賃金増加により経済の安定を期待できます。たとえ、インフレ率2%以上の時期があったとしても、賃金が2%以上増えれば良い話です。しかし、賃上げがうまくいかなければ、物価高の影響で生活が成り立たなくなるでしょう。

日本銀行の役割

インフレ率2%や金融緩和の話になると、日本銀行の立場というか役割を把握しておかないと、不透明な部分が残ります。そのため、ここでは日本銀行について理解を深めてみましょう。

日本銀行の役割を解説

日本銀行は、日本の中央銀行として次の役割を持っています。 

日本銀行券(1000円札・5000円札・1万円札)の発行・流通・管理

●     銀行券の発行
●     金融機関との銀行券の受け払い
●     銀行券の安定供給の確保
●     受け入れた銀行券の鑑査(審査:枚数・真偽など)

決済に関するサービス提供

●     金融機関から当座預金の受け入れ
●     当座預金の振替に必要な決済システムの提供
●     国債振替決済制度システムの提供(国債取引の受け渡し処理)
●     提供する全決済ステムの改善・外部決済ステムの監視および評価、改善など

金融政策の運営

●     物価の安定に必要な金融政策の決定と実行
●     金融政策運営の決定事項の公表

安定した金融システムを目指す取り組み

●     金融機関に対してシステム状況の実態調査
●     金融システム全体のリスク分析および評価
●     金融機関が破綻したときの一時的な資金供給

国の事務取扱・政府取引関連の業務

 

●     政府預金にあたる国庫金の出納・計理
●     政府預金の管理
●     政府有価証券の受け払い・保管事務
●     国債の発行・振替決済
●     国債の元利金支払関連の事務
●     政府対象の国債売買

国際業務

●     国際金融業務(外国為替の売買・外国中央銀行や国際機関への円貨資産の調達・運用支援)
●     金融市場安定目的に向けた国際会議への参加
●     外為法の届出書・報告書などの手続き
●     為替介入の実務

その他、金融や経済に関する各種業務

●     調査
●     研究
●     統計作成
●     統計公表
●     統計整備
●     対外説明
●     対外広報

出典:※4を参考に作成

日銀が行うこれら業務の中において、金融政策の運営が今回の金融緩和とインフラ率2%が関係している範囲です。日銀で公開している内容では、日銀の最高意思決定機関である政策委員会の定例会であらゆることを決定していると伝えています。

  • 金融経済情勢に関する検討
  • 金融市場調節方針の決定
  • 金融政策の運営事項の決定

これらの決定事項などを毎回の定例会後に公表しています。出典:※4

日本銀行の目的

先述した内容から、中央銀行としての役割を掲げる日銀は、2つの安定が目的とのことです。

  • 物価の安定:経済を安定的かつ持続的成長を進めていくために不可欠な目的
  • 金融システムの安定:決済システムの円滑で安定的な確保と信用秩序の維持

目的のひとつである物価の安定は、日銀の大きな目的となっています。それだけに金融緩和策も目先だけではなく、先行きまでを考えた判断となるのでしょうか。出典:※5

日銀の目指す物価安定となる2%の目標とは

日銀が目指す物価安定とは、どのような状態なのでしょうか。インフレ率2%の目標を調べてみました。

日本銀行が2013年1月に決定した物価安定の決定事項は、消費者物価の前年比上昇率2%ということ。いわゆるインフレ率が前年比2%とのことです。出典:※6

インフレ率2%の理由

日銀が示した物価安定を目標にしたインフレ率2%は、次の認識から判断されています。

「日本経済の競争力と成長力の強化に持続可能な物価安定と整合的な物価上昇率が高まる」

先行きの見通しから、モノの値段は確実に上がることが予想されて、その上昇カーズは緩やかでなければならないという判断ではないでしょうか。地球温暖化や気候変動などの自然環境の影響ひとつにしても、資源の限りや変容は懸念されます。

そのような状況において、前年比2%の上昇率をキープしていくことが持続可能で安定した物価上昇率とのことです。そのうえで物価安定の2つの柱を基準として運営することを示しています。

第1の柱

実現可能かどうか、知識が確実かどうかの度合いである蓋然(がいぜん)性の高さで先行き2年までの経済・物価情勢を見とおす考え方(物価安定のもとでの持続的な成長を持った観点による)

第2の柱

金融政策運営で重視すべきあらゆるリスクを点検する考え方(物価安定のもとでの持続的な成長を持った観点による)

出典:※6

少々回りくどいような内容となっていますが、向こう2年の先行きを見通して持続可能な経済成長で物価が安定しているかを重要視しているイメージです。

言うなれば、大胆な変更ではなく緩やかで確実性の高い金融政策を目指すということでしょうか。第2の柱では、あらゆるリスクの点検において、金融不均衡の点検も指摘していました。金融不均衡は、資産の急騰などが金融危機につながる予兆でもあります。

まさに、昨今の経済状況を物語っているとも考えられるでしょう。

インフレ率2%を目標にした今後の金融政策から判断しよう

先の見通しは、判断することが難しいのは当然です。だからこそ、経済ニュースに一喜一憂するのではないでしょうか。今回解説してきたインフレ率2%と日本銀行のことは、単純な金融政策の目標だけではとどまらない事情がてんこ盛りな気がしてやみません。

日銀は、金融政策の基準となる前年比2%のインフレ率を緩やかな上昇で考えています。ただし、サラリーマンの賃上げがなければ不均衡な政策になる可能性も持っています。

今後の見通しを正確に読むことは不可能かもしれませんが、インフレ率2%の理由などを機会に、お金の知識吸収も必要となることでしょう。

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【出典・参照元記事URL】

※1:三菱総合研究所(MRI)「2%の物価上昇は定着するか?」
https://www.dir.co.jp/report/column/20230906_011085.html

※2:大和総研「インフレ率の上昇を狙う日本銀行と抑制を図る政府」
https://www.dir.co.jp/report/column/20230906_011085.html

※3:日本証券業協会「投資の時間」
https://www.jsda.or.jp/jikan/twenties/twenties_5.html

※4:日本銀行「日本銀行について」
https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/outline/a02.htm

※5:日本銀行「日本銀行について」
https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/outline/a01.htm

※6:日本銀行「金融政策運営の枠組みのもとでの『物価安定の目標』について」
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2013/k130122b.pdf

※7:日本銀行「(リサーチラボ)金融不均衡を察知せよ」
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/lab/lab15j01.htm

この記事を書いた人

江戸利彰

ライター

江戸利彰(えどとしあき)

ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。

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