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Z世代を襲う失業問題!韓国で一体何が起こっているのか?

Z世代を襲う失業問題!韓国で一体何が起こっているのか?

韓国の若者たちの失業率は、日本の若者たちの失業率よりも高いのでしょうか。参考までに、下の表で比べてみましょう。

韓国の統計庁と総務省統計局のデータから、近い年代で失業率を比較してみました。

韓国における若者の失業率推移

対象年齢

2012年

2015年

2018年

2022年

15歳~19歳

8.9

10.6

9.3

6.5

20歳~29歳

7.4

9.0

9.5

6.4

30歳~39歳

3.0

3.1

3.4

2.7

単位:%出典:※1(統計データから年単位で失業率を抽出)

日本における若者の失業率(完全失業率:労働人口に占める完全失業率)推移

対象年齢

2012年

2015年

2018年

2022年

15歳~24歳

8.1

5.5

3.6

4.4

25歳~34歳

5.5

4.6

3.4

3.6

35歳~44歳

4.1

3.1

2.2

2.4

単位:%出典:※2(総務省統計局のデータを参考に作成)

おおよそ、2022年まで韓国の若者失業率のほうが高い傾向と見受けられます。では、2023年における韓国の若者は、どのような状況になっているでしょうか。

今回は、韓国の若者の失業から見える若者の動向や事情などについて解説します。失業率や就業率などから、韓国の現状を知る機会としてお役立てください。

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韓国の若者の失業状況

JETRO(日本貿易振興機構)のビジネス短信によると、2023年5月の韓国の就業率や失業率は改善傾向といわれています。出典:※3

韓国の就業率や失業率は、雇用動向として伝えられています。同ページの添付資料から見えてくることは、雇用全体的な失業率が改善されていることです。

韓国の失業率の推移

韓国の失業率の推移は、2023年5月のデータと2022年5月のデータで比較できます。

 

2022年5月

2023年5月

失業率

3

2.7

15歳~29歳の失業率

7.2

5.8

単位:%出典:※4を参考に作成

韓国の若年層における失業率は、2022年5月と比べて2023年5月では1.4ポイントの回復という数値になっています。

韓国の雇用動向は、前年同月比で改善している傾向ですが、それでも若者(15歳~19歳)の失業率は5%以上となっているため、高い傾向と考えられます。

韓国の若者の失業率だけでは、具体的な状況は見えてきません。そこで、韓国の若者に起きている事情を追求してみました。

韓国の若者の事情

韓国は、日本以上に労働条件の格差が大きい国との見解をニッセイ基礎研究所主任研究員の金明中氏は伝えています。韓国では、大企業に入らなければ労働条件が良くないという考え方が浸透しているとのことです。そのため、若者は賃金格差の勝ち組みになろうと、大企業への就職を目指し大学進学者も多くなっています。

韓国の失業率の高さは、就職市場におけるミスマッチが原因と伝えられています。大企業と中小企業の賃金格差が大きく、労働市場の二極化が起きている状況です。参照元:※5

大企業の動向

ニッセイ基礎研究所の見解によると、土地帳簿価格から次の5社が韓国の大企業として紹介されていました。

  • 現代自動車:土地帳簿価格4兆ウォン
  • サムスン:土地帳簿価格4兆ウォン
  • SK:1兆ウォン
  • LG:8兆ウォン
  • ロッテ:0兆ウォン

これら5大企業の土地資産は、韓国の不動産バブルとともに上昇し、格差の要因とも考えられています。ここで紹介した5大企業の土地資産は、2019年当初の状況です。貧富の差が広がる状況下において、韓国の経済正義実践市民連合(以下経実連)は不動産バブルに乗じた5大企業の抑制に着目していました。

それが財閥企業に対しての外部機関の監査や会計基準の見直しと伝えられています。参照元:※6

大企業への就職とは真逆の所得下位20%世帯は、5大企業の不動産バブルの裏側で勤労所得も事業所得も減っている状況です。参照元:※6

所得下位20%世帯の所得減少は、貧富の差を広げる要因にもなっています。つまり、お金持ちになりたければ、大企業への就職が不可欠という考え方ではないでしょうか。韓国は、日本以上に大学から大企業への道が若者の将来を左右する選択として考えられます。

少子化

韓国は、日本以上に少子化が問題となっています。その要因となっている政策が1980年代の産児制限政策です。韓国版の「一人っ子政策」によって、3人家族の構成が一般的だった時期では、兄弟のいる家庭より手厚く育てられたと考えられます。

もちろん、政策により産児制限が実行されればあからさまな出生率低下となるでしょう。韓国の若者のあいだでは、儒教的な考え方として結婚してから子どもを産むケースが多いとのことです。そのため、結婚をひとつの目標に置く若者も少なくないと考えられます。

結婚を基準にした場合、結婚に向けた安定収入の確保が目標となるでしょう。その際に、安定した収入が得られなければ、結婚という行動にも踏み切れないかもしれません。

若年失業の状況

韓国の若者を取り巻く事情は、一人っ子政策と労働市場の二極化(大企業と所得下位20%世帯)が重なって、若年失業の状況にもつながっています。若年失業は、「大企業に入らなければ結婚できない」という極端な発想にもなるかもしれません。

先述した韓国5大企業を含む大企業と中小企業の労働賃金は、賃金格差が生まれている状況です。その格差は、日本以上に大きいと伝えています。参照元:※5

若者は、大企業に就職することで次の条件が期待できると考えています。

  • 高賃金
  • 整備された労働環境
  • 労働組合に保護されている環境

韓国では、中小企業に就職すると、次のような状況を懸念しています。

  • 低賃金
  • 劣悪な労働環境
  • 労働者の権利を主張するための労働組合のない環境

このあからさまな差が、若者の就職に対して「大企業1択」という状況を生み出しているのではないでしょうか。つまり、「大企業には入れるまでは中小企業を選択しない」という判断も生まれ、就職浪人を増やす要因とも考えられます。ただし、大企業の扉はそれほど広くはなく、狭き門としてハードルの高さが想像できます。

それでも淡い期待を抱いた若者が中小企業に就職してはみたものの、中小企業の現実から失業者となるケースも考えられるでしょう。若者の就職浪人は労働市場の格差が生み出していると判断できます。参照元:※5

韓国の実態を把握できる拡張失業率

韓国の事情にくわしいニッセイ基礎研究所主任研究員金明中氏の見解では、大企業への就職を目指している就職浪人が存在しているとのことです。金明中氏は、その裏付けとして実際の失業率ではなく、拡張失業率に注目しています。

金明中氏によると、拡張失業率のことを「国が公開している失業率では反映されていない拡張された失業率」と表現しています。拡張される部分は、次の立場の若者です。

  • 15歳~29歳までの潜在失業者:働きたいけれど事情があって働いていない失業者
  • 15歳~29歳までの不完全失業者:週18時間未満の労働で生計を立てている失業者
  • 15歳~29歳までの失業者

出典:※5

これらの失業者を合わせた場合、2022年の韓国における15歳~29歳までの失業率は、19%まで到達しているとのことです。

拡張失業率に含まれる若者は、良好な労働環境と高賃金を求めて失業者となっている人も多いでしょう。ただし、労働環境や高賃金が約束される大企業への就職は簡単ではありません。

大企業への就職をあきらめたとしても、安定性のある公務員への就職も2022年の国家公務員試験の倍率が34.3倍となっています。

就職先が決まらない潜在失業者が増えれば、若者の結婚にも影響するでしょう。韓国では、労働環境の二極化だけでも晩婚化が進む中、政策金利の引き上げで不動産価格の高騰も晩婚の要因になっています。

韓国では、結婚前に男性がマイホームを用意する慣習があるとのことです。就職できないだけではなく、不動産価格まで高騰してしまえば若者が抱く将来も夢のままで終わってしまうかもしれません。参照元:※5

日韓関係の改善から「韓国における若者の失業率への対策」が求められている

金明中氏の見解では、2022年の韓国における拡張失業率の現状から、将来の労働人口の減少や社会全体の投資・貯蓄の減少までを懸念しています。そのような不安をなくすためには、若者の晩婚・未婚化や男女差別なども改善する必要があると指摘しています。

ただし、少子化対策に向けたこれらの改善は、韓国国内だけで進めるのではなく、関係が改善されてきた日本との共同対処が必要だとのことです。参照元:※5

韓国における若者の事情から日本の今後に期待したいこと

韓国で起きている若者の労働市場格差は、大企業と中小企業の格差から生まれています。また、働き手となる20代の若者が失業している状況は、国としても良好とはいえない状況ではないでしょうか。

日本では、多様な働き方が見直されている状況ですが、すべての企業に浸透しているかは未知数です。失業率の低下は、企業だけではなく国家レベルの対策でもあるため、一部の行動だけでは改善できないと考えられます。

では、個人でできる対策に焦点を当ててみた場合、何ができるでしょうか。個人でできることは、収入源を増やすことだともいえます。それは、会社から支払われる給料だけではなく、その給料を生かした資産運用も収入源になるでしょう。

お金は、人が生きるうえで欠かせないアイテムです。そのお金との付き合い方は学ばなければ得られないかもしれません。ぜひ、学びの機会を見つけてみてください。

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【出典・参照元記事URL】

※1:大韓民国統計庁|KOSIS「Unemployment rate by gender/ age group」

※2:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の要約|表12年齢階級別完全失業率の推移|14P」https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf

※3:JETRO「5月の動向、就業率、失業率の改善続く(韓国)|ビジネス短信」

※4:ジェトロ「ビジネス短信」添付資料https://www.jetro.go.jp/view_interface.php?blockId=35954207

※5:公益財団法人ニッポンドットコム「韓国の出生率、『0.78の衝撃』:日本よりも少子化が申告になった」

※6:ニッセイ基礎研究所「韓国の貧富の格差がさらに拡大―持てる者(5大財閥グループ)の土地資産は急増、持たざる者(所得下位20%世帯)の所得は大きく減少―」

この記事を書いた人

江戸利彰

ライター

江戸利彰(えどとしあき)

ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。

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