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資産運用
2023年はインド株の時代?投資の魅力や銘柄を紹介
各国が金融政策の引き締めに転換し、大きく市況が変化する中、ポートフォリオの見直しを考えている人も多いのではないでしょうか。コロナ禍では、米国が中心となって株高をけん引してきましたが、金利引き上げに転じた現在、これまでのような株高の恩恵を受けることは難しいかもしれません。
そこで本記事では、ポートフォリオのスパイスとしてインド株を加えることを提案します。インド株の魅力や投資方法について解説しますので、ぜひ投資先を選定する際の参考にしてください。
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目次
1.IMF
まずは、IMF(国際通貨基金)が発表している世界経済見通しを元に、2023年における各国の成長率の予測を確認しましょう。
IMFでは毎年4月と10月の年2回、世界経済の見通しを発表しています。下記画像は、2022年10月に発表された各国の成長率の予測を示したものです。
画像引用:IMF「世界経済見通し (WEO) 2022年10月」
長引く新型コロナウイルス感染の影響や物価高、金融政策の引き締め、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響により、2023年の世界経済は成長の鈍化が予測されています。特に、コロナ禍での株高をけん引してきた米国は1.0%の成長率に留まるとされており、株式相場としては厳しい状況が続きそうです。
その中、新興国全体の成長率は2022年と同水準の3.7%を保っており、先進国に比べて成長の鈍化が緩やかであることが分かります。特にインドは6.1%の成長見通しとなっており、強い経済の成長性がうかがえる結果となっています。
では、インド経済がこれほど高い成長性を保つ背景には、どのような要因があるのでしょうか。次項で詳しく確認していきましょう。
2.インド経済の成長性の要因とは?
インド経済の成長性が期待される要因として、次の3つのポイントが挙げられます。
・人口ボーナス期へ突入 |
それぞれ詳しく解説していきましょう。
2-1.人口ボーナス期へ突入
インドの人口は2022年12月末に14億1,700万人を超え、中国を抜いて世界一の人口大国となりました。特に注目すべきは、人口を占める年齢層の比率です。2021年時点のインドの平均年齢(中央値)は27.6歳となっており、非常に若年層が多い国であることが分かります。
インドは2019年から人口ボーナス期に突入しており、2051年まで継続するとされています。人口ボーナス期とは、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が、その他の年齢の人口の2倍以上になる期間のことです。
若年層の割合が多くなると、社会の働き手が増え経済の成長を支えてくれる効果があります。また、個人が家を買い、家電を買い、車を買うことで、国内の内需が活発になることも大きなメリットです。
かつて日本が経験した高度経済成長期は、まさに人口ボーナス期の真っ最中でした。このことからも、若い労働力が与える経済への恩恵がいかに大きいかが分かるでしょう。
2-2.IT分野の強み
インド投資の魅力として、IT分野に強みがあることが挙げられます。
「インド人は6桁のかけ算が暗算でできる」という話を聞いたことがあるでしょうか。インドはイギリスからの独立直後より数学の教育に力を入れているため、数字に強い理系人材が豊富なのです。
実際に、Googleの親会社であるアルファベット社やマイクロソフト社、アドビ社の社長は全てインド出身者となっており、IT分野におけるインドの存在感はますます大きくなっていることが分かります。
またインドは、世界のIT企業が次々と拠点を置いていることでも知られています。特にAmazon社については、インドのハイデラバード地方に世界最大の拠点を建築するほどです。
今後もIT分野の需要が拡大していくことを考えれば、豊富な人材を持つインドは優位性が高いといえます。
2-3.モディ政権の経済改革
インドの経済を語る上で、ナレンドラ・モディ氏の存在は欠かせません。モディ氏はインドの第18代首相で、2014年からの長期政権を担っている人材です。
モディ政権は「メイク・イン・インディア(インドでモノづくりを)」を大きなスローガンとして掲げ、多くの経済改革を手掛けてきました。その結果、インドへ進出する外国企業が増え、2021年度の対国内直接投資は過去最高額まで上昇しています。
さらに現在は、高速鉄道の整備やスマートシティ計画などのインフラ整備が進められており、より企業が発展していくための土壌が整えられています。今後もモディ政権のもと、大きくインドが変容していくことが期待されるでしょう。
3.インド株へ投資する主な方法
現在、日本国内からインド株へ直接投資することはできません。これはインド政府が外国からの直接投資に規制を設けているためです。したがって、日本国内からインド株へ投資するためには、次の3つの金融商品のいずれかを介する必要があります。
・投資信託 |
それぞれ仕組みを詳しく解説していきましょう。
3-1.投資信託
現在、日本の投資信託には約6,000本もの種類がありますが、その中にはインド株への投資に特化したものもあります。投資信託は複数の銘柄へ分散投資しながら運用するため、1つのファンドを購入するだけで、複数のインド企業へ投資することが可能です。
なお、投資にあたっては、購入手数料や信託報酬などのコストがかかります。インドなどの新興国ファンドは、先進国ファンドと比べると運用コストが高い傾向にあるため、複数のファンドを比較しながら低コストで投資できるものを探しましょう。
また、「インドだけに投資するのは抵抗がある」と感じる人は、複数の新興国に分散投資するファンドを選ぶこともおすすめです。
3-2.ETF
インド株へ投資する方法には、ETFの購入も挙げられます。ETFは「上場投資信託」と呼ばれ、株式と同じように市場で売買できる投資信託のことです。
ETFは投資信託の一種であるため、商品の仕組みに大きな違いはありません。投資信託と同様に、複数の銘柄へ分散投資を行うため、1つのETFを購入するだけで複数のインド企業へ投資することが可能です。
日本の東京証券取引所へ上場しているETFの中にも、インド株に特化したものがあります。日本円で売買できるうえ、時差を気にする必要もないため、「投資に手間をかけたくない」という人は日本のETFを選ぶとよいでしょう。
ただし、日本のETFの中でインド株に特化しているものは「NEXT FUNDSインド株式指数・Nifty50連動型上場投信」の1種類しかありません(2023.1.24現在)。
「より多くの選択肢の中から選びたい」という場合は、米国市場へ上場しているETFなど海外ETFへの投資も検討しましょう。
3-3.ADR
米国のADRを通じてインド株へ投資することも可能です。ADRとは、米国以外の国の企業が米国市場で発行する預託証券のことです。
ADRは株式そのものではありませんが、証券の裏付けに株式を採用していることから、インド企業の株式へ直接投資しているのと同等の効果が得られます。
たとえば、下記のようなインド企業が米国市場でADRを発行しています。
・タタ・モータース(TTM) |
ADRは米国株を取り扱う証券会社で購入でき、通常の株式と同じように売買することが可能です。
4.インド株関連ファンドの紹介
最後に、インド株への投資に特化している投資信託・ETFを紹介します。投資にかかる費用やファンドの規模についても解説しますので、ぜひインド株投資を始める際の参考にしてください。
なお、ここでは関連ファンドの紹介を目的としており、特定のファンドへの投資を推奨するものではありません。
4-1. イーストスプリング・インド株式オープン
ファンド名 |
イーストスプリング・インド株式オープン |
運用会社 |
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 |
購入手数料 |
上限3.85%(税込) |
信託報酬 |
年率 1.9497%程度(税込) |
純資産総額 |
870.36億円(2023.1.24現在) |
イーストスプリング・インド株式オープンは2004年9月に設定されており、20年近い運用実績を持つ老舗ファンドです。ファンドの純資産総額は870億円を超えており、インド株ファンドを代表する投資信託のひとつとなっています。
購入手数料は上限3.85%となっていますが、実際は取り扱う金融機関によって異なります。たとえば、楽天証券やSBI証券などのネット証券では、すべての投資信託が手数料無料で購入できるため、本ファンドも購入手数料0円で買い付けることが可能です。
4-2. 高成長インド・中型株式ファンド
ファンド名 |
高成長インド・中型株式ファンド |
運用会社 |
三井住友DSアセットマネジメント株式会社 |
購入手数料 |
上限3.85%(税込) |
信託報酬 |
年2.0505%程度 |
純資産総額 |
830.26億円(2023.1.24現在) |
高成長インド・中型株式ファンドは、インドの中型株を中心に投資するアクティブファンドです。本ファンドにおける「中型株」の具体的な定義は、「Nifty500の時価総額上位51位~350位の銘柄に準じた時価総額規模」とされていますが、市況によっては大型株や小型株へ投資することもあるようです。
実際に2022年12月の月次レポートを見てみると、大型株や小型株も約7%ずつ組み入れられていることが分かります。
画像引用:高成長インド・中型株式ファンド月次レポート(2022年12月)
また、購入手数料については上限が3.85%となっているものの、実際は金融機関によって異なります。前述の通り、楽天証券やSBI証券などのネット証券では、投資信託の購入手数料を無料としていることも多いため、詳細は利用する金融機関の手数料体系を確認しましょう。
4-3. NEXT FUNDS
ファンド名 |
NEXT FUNDSインド株式指数・Nifty50連動型上場投信 |
運用会社 |
野村アセットマネジメント株式会社 |
取引所 |
東京証券取引所 |
信託報酬 |
年1.045%(税込) |
純資産総額 |
198.6億円(2023.1.24現在) |
NEXT FUNDSインド株式指数・Nifty50連動型上場投信は、東京証券取引所に上場するETFです。インドの代表的な株式指数である「Nifty50」をベンチマークとしたインデックスファンドとなっています。
東証に上場するETFであるため、「日本円で取引できる」、「日本の取引時間で売買できる」といった特徴があり、売買のしやすさが大きなメリットです。
また、2023年1月24日現在の最低取引価格は26,160円となっており、少額投資でも購入しやすい水準といえます。
4-4. i
ファンド名 |
iシェアーズS&P BSE SESENSEX・インディア・インデックスETF |
運用会社 |
ブラックロック社 |
取引所 |
香港取引所 |
経理率 |
0.64% |
純資産総額 |
8,643万米ドル(2023.1.19現在) |
iシェアーズS&P BSE SESENSEX・インディア・インデックスETFは、香港取引所に上場するETFです。世界最大級の運用会社であるブラックロック社が運用するiシェアーズシリーズのひとつで、インドの株式指数SENSEXをベンチマークとしていることが特徴です。
日本の証券会社でも香港株を取り扱っているところであれば、本ファンドの買い付けが可能です。ただし、購入時にかかる取引手数料や為替手数料は証券会社によって異なるため、あらかじめコストを確認しておきましょう。
5.まとめ
本記事では、インド株投資の魅力や投資方法について解説してきました。
インドは人口ボーナス期に突入していることから、個人消費による景気押上げに大きな期待が寄せられています。「日本や米国以外の投資先を探したい」という人は、ぜひインド株への投資を検討してみてはいかがでしょうか。
今回の記事はいかがでしょうか。お金に関する知識をもっと知りたい方は是非無料セミナーに参加してみてください。
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この記事を書いた人
ライター
椿 慧理(つばき えり)
銀行を10年間勤務し経験を通じて得た金融知識を活かし、金融ライターとして独立。
金融商品やマーケットの解説、税制解説など初心者にも分かりやすい記事を手掛ける。
自らも12年の投資経験を持ち、国内外株式、投資信託、暗号資産を運用中。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、内部管理責任者
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