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資産運用
ソーシャルレンディングとは?メリット・デメリットを解説
ソーシャルレンディングとは、投資家と資金調達を検討している企業をマッチングするサービスです。投資家・企業それぞれにメリットがある一方で、いくつか注意しなければいけない点があります。
この記事では、ソーシャルレンディングの仕組みや概要を解説するとともに、投資家・企業それぞれの目線から見るメリット・デメリットについても紹介しています。投資先を探している投資家、資金調達を検討している企業の人は、ぜひ参考にしてください。
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目次
ソーシャルレンディングとは?仕組み・概要を解説
ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい事業主と投資家をマッチングする仲介サービスのことを指します。
まずは、ソーシャルレンディングの仕組みと概要について詳しく解説します。
投資家と借り手を仲介するサービス
ソーシャルレンディングは、お金を貸して利息を得たい投資家と資金を集めたい起業家や事業主などをマッチングするサービスのことです。
企業への融資であることから、株式投資と混同されがちですが、以下の点で大きな違いがあります。
- 上場企業ではなくても利用できる
- 投資家は利息を得られる・事業主は利息を支払わなければいけない
まず、株式投資の対象となる企業は上場していることが前提です。そのため、起業したばかりの企業等は株式投資による資金調達はできません。また、株式投資の場合は、インカムゲイン(配当益)やキャピタルゲイン(譲渡益)による利益が主です。
一方で、ソーシャルレンディングは投資家が企業へ融資し、融資を受けた企業は投資家に対して利息を付けて返済を行います。つまり、銀行融資と似ている仕組みです。よって、根本的な仕組みの部分で株式投資とは大きな違いがあります。
「融資型クラウドファンディング」とも言う
ソーシャルレンディングは、別名「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれています。
しかし、通常のクラウドファンディングとは異なります。クラウドファンディングとは、不特定多数の人からお金を集める仕組みです。基本的には、寄付型や購入型が主であり、「投資」といった側面はありません。
あくまでも、内容に共感したり応援したりしたいと思った人が、気持ちの範囲でお金を出します。リターンを得られるとしても、何らかのグッズやサービスであることが多いです。
一方、融資型クラウドファンディングとも呼ばれるソーシャルレンディングは、原則利息と元金の返済が約束されています。そのため、多くの人が想像するクラウドファンディングとは、根本的な違いがあります。
【投資家目線】ソーシャルレンディングのメリット・デメリット
投資家目線から見るソーシャルレンディングのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリット
ソーシャルレンディングのメリットは以下のとおりです。
- 比較的利回りが高い
- 運用の手間がかからない
それぞれ詳しく解説します。
比較的利回りが高め
ソーシャルレンディングは、他の投資と比較して利回りが高めです。実際、期待できる平均利回りは「7%前後」です。
株式投資の場合は平均1.5%〜2%程度、債券の場合も2%前後であるケースが多いです。そのため、これらの投資手法と比較するとソーシャルレンディングの想定利回りは高めであると言えます。
ただ、投資信託の利回りは3%〜10%程度であるため、ソーシャルレンディングと大差はありません。
運用の手間がかからない
ソーシャルレンディングの運用期間は、短いもので3か月〜半年程度であり長くても2年程度と短期間であるものが大半です。
また、運用に対するコストも発生せず、運用期間終了までただ待っているだけで良い点がメリットです。
デメリット
ソーシャルレンディングのデメリットは、以下のとおりです。
- 元本割れ・貸倒リスクがある
- 原則途中解約ができない
それぞれ詳しく解説します。
元本割れ・貸倒リスクがある
ソーシャルレンディングは、投資家から企業に対して融資を行います。よって、企業の業績等によっては、貸倒のリスクがある点に注意しなければいけません。
貸倒とは、「貸したお金が返ってこないこと」を意味し、投資家自身が大きな損失を受ける可能性があります。
貸倒が発生する主な原因として、担保が提供されていなかったり利息が高かったりということが挙げられます。そのため、ソーシャルレンディングによる投資を行う際は、貸倒リスクにも注意しましょう。
原則途中解約ができない
ソーシャルレンディングは、あらかじめ運用期間が定められています。この期間中は、基本的に途中解約できない点に注意してください。
たとえば、運用期間1年と設定されている場合は、1年後に利息と元金が支払われます。それまでは途中解約できないため、流動性の低い投資手法であると言えます。
【借り手目線】ソーシャルレンディングのメリット・デメリット
借り手目線から見るソーシャルレンディングのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリット
借り手目線から見る、ソーシャルレンディングのメリットは以下のとおりです。
- 審査が比較的優しい
- 起業直後でも借入しやすい
それぞれ詳しく解説します。
審査が比較的優しめ
ソーシャルレンディングは、銀行等と比較して審査に通りやすいのがメリットです。
銀行の融資は、事業に関するさまざまな情報や資産状況を総合的に判断して、融資可否を決定します。そのため、長期間の審査の結果「審査否決」となることも珍しくはありません。
一方、ソーシャルレンディングの場合は比較的スムーズな借入が可能な上、融資対象のプロジェクト内容を重視して融資可否を判断します。そのため、根本的に銀行とは審査項目が異なる点がメリットです。
銀行で融資を受けられなかった場合でも、ソーシャルレンディングによる資金調達はできるかもしれません。
起業直後でも借入しやすい
ソーシャルレンディングの場合、銀行等とは異なる部分で返済能力を判断します。そのため、起業直後であっても、その事業やプロジェクトに将来性があると判断した投資家がいれば、融資を受けられる可能性があります。
起業直後の場合、銀行融資は受けにくいためソーシャルレンディングはひとつの選択肢になり得るでしょう。
デメリット
借り手目線から見る、ソーシャルレンディングのデメリットは以下のとおりです。
- 金利・手数料が比較的高め
- 業者の倒産・法令違反による影響の可能性
それぞれ詳しく解説します。
金利・手数料が比較的高め
ソーシャルレンディングの金利や手数料は比較的高めです。
銀行融資などの場合、一般的には1%〜5%未満程度のところが大半です。一方のソーシャルレンディングは、10%を超える場合もあります。そのため、金利重視で借入を検討するのであれば、銀行融資がおすすめです。
業者の倒産・法令違反による影響
ソーシャルレンディングを利用する場合は、投資家と企業をマッチングする仲介業者がいます。この仲介業者が倒産したり、コンプライアンス違反をしたりした場合、投資家から融資金額の一括請求を求められてしまう可能性があります。
実際、金融庁からもソーシャルレンディング仲介業者に関する注意喚起が行われています。
現時点で法令違反等を行っている業者は、金融庁から処分等を受けてはいるものの、まだ残っている可能性もあります。万が一、違法業者等を介して取引をしてしまうと、社会的な影響が発生する恐れもあるため仲介業者は慎重に見極めなければいけません。
ソーシャルレンディングを利用する際の注意事項
ソーシャルレンディングを利用する際は、以下のことに注意してください。
- 確定申告が必要
- 仲介業者の選定方法
- 元本割れに要注意
それぞれ詳しく解説します。
確定申告が必要となる
個人投資家としてソーシャルレンディングに出資をし、利益を得た場合は雑所得として確定申告を行わなければいけません。
「所得」は10種類に分類され、株式投資や不動産投資などは譲渡所得や不動産所得といった種類で申告をします。しかし、ソーシャルレンディングの場合は、その他所得のいずれにも分類されない、雑所得に該当します。
仲介業者は「第二種金融商品取引業」の登録が必要
ソーシャルレンディングは、投資家と企業をつなぐ仲介業者が必ず存在しています。この仲介業者の選定を誤ると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるため注意してください。
仲介業者を選定する上で、最低限確認すべき事項は「第二種金融商品取引業」の登録を受けているか否かです。
もし、登録を受けてないまま仲介業者としてソーシャルレンディングを行っていた場合、違法業者として取り締まりの対象となります。
投資家の場合は、貸したお金が返ってこないリスクがありますし、融資を受ける企業はイメージダウンや約束通りの融資を受けられないといったトラブルが起こり得ます。そのため、必ず「第二種金融商品取引業」の登録を受けているかどうかを確認してください。
元本の保証はされていない
ソーシャルレンディングは、仲介業者等によって元本が保証されている金融商品ではありません。基本的に融資を受けた企業は利息と元金を全額返済する約束をしますが、中には何らかの事情で返済できなくなってしまう企業が存在します。
元本は保証されていないため、貸倒リスクには十分注意しなければいけません。少しでもリスクを軽減するためには、投資先企業をしっかり見極める必要があります。リスク度が高いと判断した企業への投資は慎重に行うようにしましょう。
まとめ
今回は、ソーシャルレンディングについて解説しました。
投資をしたい個人投資家と資金を集めたい企業をマッチングするソーシャルレンディングは、投資家・企業それぞれに多くのメリットがあります。
投資家は、比較的高い利回りで運用できる一方、企業は起業当初でもお金を借りやすかったり比較的スムーズに資金調達ができたりする点がメリットです。一方、注意しなければいけない点もいくつかありました。
とくに、投資家と企業を仲介する役割を担う仲介業者の選定には注意しなければいけません。ソーシャルレンディングサービス自体、歴史が浅く、まだまだ不足している部分もあるため慎重に見極めて投資や資金調達を検討していきましょう。
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この記事を書いた人
ライター
林 裕二(はやし ゆうじ)
2018年にFP2級技能士。金融系WEBライターとして活動。数多のメディアで金融系記事執筆や監修を担当し、読者のお金の悩みに寄り添ってきました。現在も人々の生活に関わる「お金」や、家計の「借金問題」などをメインとしながら記事執筆を行っています。
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