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アジア通貨危機を振り返る。一体何故起こったのか解説

アジア通貨危機を振り返る。一体何故起こったのか解説

今韓国でウォン安が問題となっていますが、ウォン安が嫌われる要因にはかつてのIMF危機があります。
IMF危機の引き金になったアジア通貨危機というアジア全域を襲った金融恐慌があります。
アジア通貨危機は経済発展していく新興国と、それを取り巻く先進国の間で引き起こされた特徴があります。
今後アフリカなどで経済発展が起こっていく時の参考となる事も多いでしょう。
経済発展と通貨の関係性は知られているようでピンとこない事も多いです。
日本でも昔は固定相場制を採用しており、経済発展で輸出高が増えると変動相場制に移行しました。

その陰には円という通貨総量が増えていく事で固定相場制では通貨の正しい価値を対照させられない問題があります。
そこで今回はアジア通貨危機がどういったものなのか解説いたします。

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1980年代飛躍するアジアの国々

時は日本では昭和の時代後期
東南アジア各国は戦後日本のように経済成長の只中にありました。
工業化が進み、インフラが整い始め外国からの投資を受け入れる体制が整っていきます。

新興国の特徴には物価安が挙げられます。
物価が安く人件費も安価なため、生産工場などを建てるとコストを下げた活用が期待できます。
この事から先進国は活発に投資を行い企業は製造拠点を新興国に移していきます。
この時為替相場や政情不安があると企業からするとリスクになるので為替相場の安定が必要となります。
為替相場には変動相場と固定相場が大きく分けて存在しており、先進国の多くは変動相場制です。
それに引き換え新興国では固定相場を採用しているケースが増えます。

固定相場では投資が期待出来るほか、生産量が高まる新興国の輸出量が増大しても相場が安定していれば企業の収支の見通しが立ちやすく、外国企業からすると経営計画を立てやすいというメリットがあります。
新興国のメリットは企業誘致が進み、雇用が生まれGDPが増大する事ですし、先進国のメリットは安定した輸入先が輸入量を拡大してくれる事がそれぞれ期待できます。
この事から多くの新興国で固定相場制やそれに準じるコントロールの可能な為替相場にしているのです。
新興国の内から変動相場制を採用している場合、大きな相場変動が起こった時にコントロールできない事態となり、簡単に金融不安を起こしてしまう事になります。
固定相場制は新興国、先進国双方の利害が一致するため、東南アジアでも多くの国が採用していました。

新興国の生産力が上がりGDPも順調に成長してくると、先進国との関係性にも変化が生まれます。
海外からの投資により工場が増えて雇用が生まれ、仕事が増えてくると所得が上がり、暮らしが良くなり消費も増えていきます。
この事で輸入量も増えて、さらにモノが売れるので取引高も増えていきます。
新興国国内では皆の所得が増えたので消費が活発になりインフレ傾向になります。
物価が上がり、消費が増えて好景気になっていくためです。

さらに企業の競争が激しくなり、品質が向上して製品のレベルも高まっていくようになります。
技術者のレベルと共に所得がさらに増大して国際競争力も高まっていきます。

新興国では政策金利を高く設定して積極的に投資を呼び込みます。
高い金利でお金を預かっても経済成長とインフレにより金利分以上銀行もお金が増えていきます。
強い成長力の只中にあれば金利が高くても融資を受けて事業を拡大する企業もでてきます。

こうして好循環で経済が拡大していくのが新興国の代表的な成長事例です。

この時新興国国内のマネーストック(お金の総量)は増大しているのに、先進国との為替相場は変動しません。
本来マネーの総量が増えているのであれば相対的に貨幣の価値は下がらないといけませんが、変動相場ではないのでマネーの総量だけが増えていきます。
国内では総量が増えてもその分インフレが進んでいるので物価高でマネーがどんどん必要とされています。

その分所得も上がり、物価も上がり、GDPも上がりで景気が好循環に入っている状態です。
この状態で輸出をするとなるとその製品は海外から見た時安いのでしょうか?高いのでしょうか?
正解は非常に安いという事になります。
固定相場制では元々の貨幣価値で為替差を規定してしまう為、急激な経済成長などで片方がインフレを起こすと実質的な貨幣価値よりも為替が安くなってしまう現象が起こります。

かつて日本は1ドル360円の固定相場制でした。
輸出力が高まり日本製品が売れるようになっても1ドルは360円ですので、海外よりも安く品質の良い製品を輸出する事が出来ました。
その後日本も変動相場制へ移行します。
何故なら日本製品が安価で独り勝ちが続き、為替の調整をしないとバランスが取れなくなってしまったためです。
新興国は経済成長の過程で為替と金融の調整が必要であるという事が分かるかと思います。

タイは固定相場制とは言えドル連動のドルペッグ制を採用していました。
正確にはバスケット制という取引先国との割合に応じて為替を変動させる制度でしたが、アメリカの割合が8割を占める為実質ドルペッグ制と言われています。
ドルペッグ制は固定相場の中でもドルに連動して為替が変動する仕組みの事を指します。

ドルペッグ制の特徴としてドルに連動して為替が動くため、ドル以外の通貨、例えば円やポンドなどとの為替はドル連動で動きます。
なので、米ドルが金融市場で安くなったり高くなったりするとその影響をダイレクトに受ける事になるのです。

アジア通貨危機の経緯

1980年代1990年代東南アジアは世界の生産センターと呼ばれ安価な労働力と成長する経済で1970年代の世界をけん引していました。

上記で書いている通り世界中からの物、金が集まり、タイも外貨獲得に積極的でした。
ことの起こりを探すと切りがないものの1985年プラザ合意から見ていきたいと思います。
プラザ合意はアメリカのドル高が止まらない事から、G5参加各国の協調介入にて円高ドル安を作るものでした。
これを受けて円は急騰、230円から1年ほどで150円台まで上がります。
この事と総量規制を引き金にして1990年日本ではバブル崩壊を引き起こします。
輸出産業は大打撃を受けて、長い不景気に突入する事になるのです。

プラザ合意の結果ドルは安くなっていきますが、ドルペッグ制によりアジア各国の採用国の通貨も通貨安が起こります。
それは輸出に追い風となり、東南アジアの輸出高を高める要因となります。

しかし、この頃新たに中国が製造業を担うようになってきており、先進国各企業は新たな労働力を中国に求めるようになっていきました。
中国の膨大な人口と経済成長、消費力は勢い高く伸びてきてアジアのパワーバランスを大きく変えていきます。

1995年になると今度はアメリカで「強いドル政策」が取られます。
アメリカと言う国は貿易収支が赤字の国です。
これは輸出全体に対して輸入が上回っている状態の国だという事です。
なので、ドルがあまりにも安いと輸入に影響するので都合が悪い側面があります。
さらにアメリカは世界中の投資を集めて運用利差益を国を挙げて行なっています。

世界中から投資を集めるには利上げを行ったり、ドルのニーズを高めたりする必要があります。
ドルが世界中で要らないとなると連動してアメリカの投資利益が損なわれると考えると良いかもしれません。

対して日本は貿易収支が黒字の国です。
円が強いよりも弱い方が輸出に有利なので、過度の円高は嫌われます。
1ドル80円まで高くなったこの時期不況真っただ中の日本は「強いドル政策」に協力します。
日本銀行は協調介入を繰り返してドルを強くしていきました。
アメリカの債権も買い、アメリカへの投資額が見る間に上がっていきました。

その結果強いドル政策は実現し、円安ドル高を迎えます。
ドルは円だけでなくその他の通貨に対しても強くなります。

ドルペッグ制の為タイバーツも高くなり、国際市場でのタイの輸出力には抑止力が働くようになりました。
弱いドルである内はドルペッグ制により相対的に輸出恩恵を受けるはずですが、ドル高の影響でバーツも高くなります。
為替メリットが無くなると国際競争力もそれに伴い弱化して、国際的投資機関もタイに警鐘を鳴らします。

中国の台頭、為替影響
そんななか1997年5月ヘッジファンドがバーツを売り浴びせると決死の買い支えもむなしくバーツは下落
7月切り下げを回避するべく複数通貨バスケット制から管理変動相場制に移行して対応します。
同年8月ついにIMF(国際通貨基金)の支援を受ける事になります。

血濡れのバーツと呼ばれる事態となり、タイから東南アジアに通貨危機が伝染していきます。

同様の通貨危機がインドネシア、マレーシア、フィリピンに影響し、インドネシアと韓国はIMFの管理下に入る事となります。

ファンドの動き

この時のファンドの動きに対してタイ中央銀行は反対に買い支える事で対抗しましたが、何故売り浴びせに耐える事が出来なかったのでしょうか?

ファンド勢は空売りをかけて通貨の暴落を誘います。
そして、通貨の価値が下がってから買い戻す事で利益を出すのです。
空売りを大規模に仕掛けても実際に通貨が暴落するとは限りません。
価格は一時的に下がるかもしれませんが、価格が下がれば下がるほど今度は安い通貨に買いが入るはずです。

タイバーツはこの時アメリカの金融政策に引っ張られて相対的に通貨が高い状態にありました。
しかし、通貨の高い理由はドルペッグ制に起因するものであり、タイの経済状況を反映したものでは無いと読まれていました。

本来のバーツの価値はもっと低いはずです。
しかし、米ドルに引きずられて高い状態であると、そう思われたわけです。

そこで大量の売り浴びせを受けると、市場はそれに呼応します。
タイに投資を続けてきた海外資本も資産の引き上げに動き、バーツ安が止まらなくなると打つ手が無くなってしまうのです。

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この記事を書いた人

佐藤大介

ライター

佐藤大介(さとうだいすけ)

ウルトラ金融大全局長
ウルトラ金融大全の監修を務めます。
金融リテラシーを高める為、セミナー講師として活動。
「超一流の口だけ男」と評される氏のセミナーは非常に分かりやすく、何度も受講するファンが沢山います。
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