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不動産
タワーマンションに落とし穴かさむ管理費と修繕積立金
東京のマンション価格は依然高く、1億円を超えるマンションが人気です。
都会では戸建て志向からマンション志向に変わってきており、生活環境や利便性、資産性が評価され将来の事を考えてもマンションが良いと購入を検討する人が増えているようです。
しかし、一方でマンションにかかる毎月のコストが増大し、支払いを圧迫している事例も見受けられます。
果たしてマンションは賢いのか?落とし穴と言われる経費について解説します。
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目次
タワーマンションでも盲点に?管理費と修繕積立金
タワマン人気も一時よりは落ち着いたとはいうものの相変わらずの人気です。
購入するときは浮かれているのでしょう。
部屋の間取りや価格、駅周辺環境など気になる所があり過ぎて、気が回らないかもしれません。
ローンを組んで、支払い計画を立てて、これでいけるかな?と不安も期待も一杯です。
ここで見落としがちなのが、管理費と修繕積立金です。
聞きなれないためなのか、そういうもんなんだ位の感覚でいる方も多いはずです。
賃貸の共益費とは全く違います。
検索すると平均2~3万円のコストがかかるらしいという事はすぐわかるのですが、もう少し具体的に考えて見たく思います。
先ず管理費と言うのはマンションの管理にかかる費用です。
共有部分の光熱費やごみ置き場の清掃、管理人さんへ給与などのコストがこれに当たります。
平米×200円位と言われてますが、マンションの立地や構造で異なります。
管理費は購入時には高く感じます。
そうそう値上がりも下がる事も無い為、最初からあまり高いのは考えものです。
一棟全体の戸数が少ない場合や、戸数に対してエレベーターの割合が高いなどだと管理費が高額になりがちです。
高級志向になればなるほど外観維持や、清掃に費用をかける為これも管理費に繋がります。
修繕積立金はマンションの修繕にかかる費用を賄うために集めているお金です。
修繕積立金も平均平米×200円程度の費用が目安となりますが、主に築年に応じて変動します。
それも結構顕著に値上がりします。この修繕積立金が盲点になりがちです。
マンションでは建物管理会社が新築竣工時に長期修繕計画表と言うものを作成しています。
これはマンションの運営計画書のようなもので、何年後にどのような工事を行い、いくらかかるものなのかを試算しておくものです。
この計画に則って徴収する修繕費用を割り出しています。
新築分譲時の修繕積立金は非常に安く設定されています。
理由はいくつかあって新築からしばらくは修繕が発生せず、直すところが無いのだからお金もそんなに集めなくても良いというのが一つ。
しかし、いずれは集めるのですから、最初から集めてもよさそうなもの。
他の理由というのが、銀行や売主から見た場合の売りやすさに起因するものです。
購入シミュレーションを作る際に出費が多いと売りにくいですからね、なるべく取り組みやすく見えるようにしたいのが売る側の心理というものです。
そして、融資を行う銀行も資金計画表に無理が無い方が融資を行いやすいという事情もあり、3方それぞれ修繕積立金は安い方が都合が良いという理由になる訳です。
購入時の管理費修繕積立金を2万円位で試算していたのに15年20年すると3万円4万円となっている事も珍しい事ではありません。
年間の税金である固定資産税も併せると中々の負担となってきます。
ローンの支払いとは別にこの費用が掛かりますので、馬鹿に出来ない費用となります。
インフレで工事費の高まりも影響
世界的にインフレが進み、建材費も高まっています。
日本では東日本震災以降建築資材の高騰が課題になっており、そこにコロナ禍が加わり材料費は高くなり続けています。
このコストプッシュ型の物価高はマンションの修繕費にも影響します。
分譲時の計画と言うのは分譲時の物価で工事費を試算しますのでインフレなどで工事費が高まると当初の計画よりも修繕コストが高くなってしまいます。
日本は長らくデフレでしたのでこの問題は全く無視されていましたが、2023年現在世界的なインフレの機運にあるので工事単価が高まっていく事が予想されます。
原材料費の高まりによるコストプッシュとコア指数自体のインフレが重なり、工事費が上がるとなれば修繕計画を見直す必要が出てきます。
即ち、修繕積立金の値上げを検討しなくてはならなくなります。
大規模修繕は10年ごと?15年ごと?
大規模修繕と言うのはマンションの外壁や屋上の防水工事を主に差します。
これにエレベーター取り換え工事を加えた3つがマンションの工事で高額になるものの代表です。
その他大規模マンションになれば設備取り換えも大規模になり高額な修繕が増えてきます。
この大規模修繕が長期修繕計画表の計画通り行われれば10年~15年毎に行われます。
未納滞納が原因にも
大規模修繕時に工事が必要なだけのお金を積み立てていなくてはならず、工事代金が不足すると理事会として借り入れを起こすか、工事を行えないという事態になります。
工事を行えない場合、防水や躯体に影響を及ぼす事があり、長い目で見た時にはマンションの老朽化に繋がります。
お金が足らない事態になる理由には積立金不足がありますが、積立金が足らない事の無いように修繕計画は立てられています。
にも拘わらず、積立金が不足する理由としては未納、滞納問題が挙げられます。
マンションのオーナーは毎月修繕積立金を管理会社に対して支払いますが、なんらかの理由で支払われないと積立金が集まりません。
一人や二人であれば滞納額も大した金額にならず影響も大きく出てきませんが、人数も多くなり滞納期間も長期になれば見過ごせない問題になります。
理事会のあり方も問題に
マンションの落とし穴としては理事会の問題が挙げられます。
理事会と言うのはマンションの所有者によって組織されるマンションの事を決める議会の事です。
各マンションの管理をどうしていくのか、修繕などをやるのかやらないのかを理事会を通じて決定します。
この理事会の運営がうまくいっているかどうかでマンションの価値も暮らしも大きく変わってきます。
多くのマンションでは問題無く、管理会社とやり取りを行い、健全に運営されています。
しかし、理事会が正しく機能していないとマンションには様々な問題が起こります。
多く見られる理事会不全を挙げていきます。
やる気の無い理事会
やる気のない理事会では理事である区分所有者が理事会の運営に積極的ではありません。
管理会社からの上程(じょうてい)と呼ばれる管理施策の提案も満足に検討せず何もしないケースが見られます。
例えば管理会社に共有部分が汚いとクレームが寄せられて、その解決として清掃業者を入れて対応しましょうと提案しても一向に決まらないなど理事会が機能しない事態となってしまいます。
何故このようにやる気の無い理事会が生まれるかと言えばマンションオーナー自体が会社員で通常普段自宅にいないなど管理の話をそもそも聞ける状態にないなどが挙げられます。
その場合理事会の決議なども不参加となり、委任と言う形になってしまいます。
それが皆がみんな委任となると誰が決議を決めるの?となり物事が決まらない事態となってしまうのです。
やる気があり過ぎる理事会
今度はその逆で理事会が強気すぎる場合です。
このケースですと管理会社に対して理事会が強く圧力をかけて物事を結局決めれないという事態が起こります。
管理会社の提案を吟味する事は大事ですが、「その料金は本当に適切なのか?」「もっと安い業者があるのではないか?」と細かに要求する事で上程が決まらない場合があります。
管理コストをケチる結果、適切な管理や修繕を行わない事になり、マンションの管理が結果として杜撰なものになってしまいます。
管理会社の言いなりでやる気が無いのも問題ですが、なんでもかんでも噛みついて管理会社を困らせても何のメリットにもなりません。
リプレイスを取り巻く環境
管理会社と理事会の関係性は長らく、理事会上位の関係で来ていました。
各管理会社同士で競争が起こり、管理替えの営業活動を管理会社は各マンションにしていたものです。
管理会社の管理費収入は安定した収入源なので、管理会社としては管理を多く募ればそれだけスケールメリットを出せるので、積極的に管理を増やしてきたのです。
その過程で、管理フィーのダンピングや、サービスの競争が過剰となり、管理費が著しく安くなる現象が起こってしまいます。
そこにきて建材費の高騰や人件費の高まりなどで管理会社は管理による収益率が下がり、管理を無理に取らないでも良くなる逆転現象が起こりだしているのです。
リプレイスとは管理会社を変更する事を意味します。
これまで、リプレイスをちらつかせる事で管理会社にコストダウンを要求してきた理事会は現在苦しい立場になってきています。
無理な要求をする理事会のマンションを管理してくれる会社が無いという事態が起こっているのです。
現在マンション管理コストは高くなりつつあります。
これまでの付き合いで管理コストを据え置いている管理会社も新規の案件では正規の管理費で請け負うように変わってきているでしょう。
今の時代にリプレイスなんて事になれば多くの場合で管理コストが増大します。
それは翻ってマンション所有者の不利益になるだけなのです。
良い管理で安定した資産に
マンションの落とし穴を紹介していきましたが、解決策も対処も実に簡単です。
しっかりと理事会に参加する、正しい知識でマンションの経費の仕組みを知っておく。
これだけです。
マンション選びの頃はあまり目を向けない問題なのが理事会や管理の事です。
マンション購入後でも遅くありません。
正しいマンションの知識を持って安定した財産形成を目指してください。
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この記事を書いた人
ライター
佐藤大介(さとうだいすけ)
ウルトラ金融大全局長
ウルトラ金融大全の監修を務めます。
金融リテラシーを高める為、セミナー講師として活動。
「超一流の口だけ男」と評される氏のセミナーは非常に分かりやすく、何度も受講するファンが沢山います。
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