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相続
贈与税って節約できる?知っておきたい種類と非課税枠
個人の財産を他者に渡すことを「贈与」といいます。親から子へ、住宅資金の援助をしたり、祖父母から孫へ教育費の援助をしたり、はたまた相続対策として生前贈与をするなど、色々なシチュエーションがあるでしょう。
しかし、贈与時は「贈与税」として、財産を受け取った人が税金を支払う必要がある場合があります。この記事では、贈与の種類とかしこい贈与税の節税方法について解説します。
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贈与の種類
一言で「贈与」といっても、贈与には大きく分けて4つの種類があります。
4つの贈与契約について順に見ていきましょう。
・一般贈与
単発でされる贈与です。贈与の対象も、親から子、祖父母から孫、兄弟間、他者などさまざまパターンがあります。
・定期贈与
定期的に一定額を贈与するものをさします。例えば10年間にわたって毎年100万円を贈与する場合の贈与です。
・負担付贈与
負担付贈与とは受取側が贈与を受ける代わりに一定の負担をするものです。例えば父親が息子に不動産を贈与する代わりに、息子が不動産のローンを支払うといった場合です。
もしも受け取り側が約束した負担をおこなわなくなった場合は、送り主は贈与の契約を解除することもできます。
・死因贈与
死因贈与は、「亡くなった場合に贈与が発生する」ものです。例えば祖父が孫に、「自分が死んだら車をあげる」と約束する贈与のことをいいます。ただし、「贈与」とはいうものの、税制上、贈与税ではなく相続税の対象となるので注意が必要です。
暦年課税とは
贈与によって税金が発生することは冒頭に述べたとおりですが、税金の対象となる期間があります。
贈与税の対象となるのは1年間(1月1日から12月31日)でこれを「暦年」といい、この期間内に贈与された財産から、110万円を引いた金額に対して課税がされるのです。このことを「暦年課税」といいます。
複数の贈与を受けている場合は、贈与の合計額から110万円を引いた額が課税対象です。つまり、贈与税を計算するには、
贈与税=(課税価格-110万円)×税率-控除額となります。
贈与財産の種類
贈与によって得た財産には、預貯金、不動産、株式などが挙げられますが、これらの財産は金融機関から引き出したり、売却をすることによって金銭に変えることができます。
しかし、贈与の中には直接金銭を贈与されなかったり、形を変えた贈与もあります。その場合、贈与税は課税されるのでしょうか。
みなし贈与財産
生命保険の保険金のみなし贈与財産とは、本来の贈与財産とは異なりますが、贈与を受けたのと同じであるとみなされる贈与のことです。
通常の贈与と同じとみなされるということは、贈与税の課税対象にもなるということです。みなし贈与財産とされるものは以下のものがあります。
・生命保険
受け取りはみなし贈与財産とされます。例えば父が保険料を負担していた保険が満期になり、満額保険金を息子が受け取った場合です。
これは「生命保険」という器を通して父から子へ財産が移動しているので、贈与となります。名義人を途中で変える場合も、受け取り時に同様に贈与税がかかることがあるので注意が必要です。ただし、父があらかじめ子を受取人に指定している死亡保険であれば、相続税は非課税となります。
・低額譲渡
低額譲渡とは、ある財産を格安で売った場合、本来の差額を贈与したことになるものです。例えば1000万円の価値の不動産を200万円で知人に売却した場合、差額の800万円が便宜を図った贈与となりますね。そのため、この800万円が贈与税の課税対象となります。
・債務免除益
もしも子に200万円の借金があったとします。子が経済的な理由で借金が返済できず、親が肩代わりしたとしましょう。この場合、肩代わりした200万円分が課税対象となるのです。これを債務免除益といいます。
非課税財産
贈与税の中には、贈与税の対象にならないものもあります。これは扶養義務者間で生活費や教育費など、通常必要だと考えられる範囲で贈与される場合です。例えば、生活を共にしている親子間で、学校の入学金・授業料を支払ったり、生活費として下宿代を支払う場合が挙げられます。このような費用は親が子を扶養する範疇の贈与ですので、非課税となるのです。
贈与税の特例
基本的に贈与した財産は、非課税財産を除き、課税対象となります。しかし、贈与の中には「贈与税の特例」というものがあります。順にみていきましょう。
配偶者控除
夫婦間での贈与は基本的に贈与税がかかりますが、一定の要件を満たせば贈与税を控除することができます。必要な要件は以下です。
・婚姻期間が20年以上の配偶者
・贈与が居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
・その居住用不動産に、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住を開始し、住み続ける見込みがあること
・特例を受けるための申告をすること
つまり、配偶者間の贈与は結婚して20年以上経過した夫婦が、居住用不動産を取得するための贈与であれば、特例として免除されるということです。条件を満たせば、基礎控除110万円とは別に、2000万円まで控除されます。ということは、最大2110万円まで控除されるということになります。
住宅取得資金
直系尊属から住宅購入の援助を受けた場合も特例が適用されます。直系尊属とは、父母や祖父母のことです。
つまり、子どもや孫(ただし20歳以上に限る)が、父母や祖父母から一定の住宅を取得するための資金の贈与を受けた場合のことをさします。
しかし、青天井で非課税になるわけではなく、最大非課税枠は普通住宅で500万円まで、省エネ・耐震住宅は1000万円までが対象です。(2023年4月時点)また基礎控除と併用できるので、上記の非課税枠に加えて110万円を非課税枠として利用できます。さらに、住居費用の贈与から贈与者が亡くなってしまった場合、贈与から3年以内であれば相続税の課税対象になることはありません。
教育資金
近年では大学全入時代ともいわれ、多くの人が大学に進学します。しかし、ネックになるのが大学の進学費用でしょう。こうした教育費の援助も条件を満たせば非課税措置を受けることができます。
教育資金の贈与は、30歳未満の子や孫が、直系尊属から教育資金として贈与を受けた場合、1500万円までが非課税となります。ただし、学校への支払いは1500万円まで非課税ですが、塾やスポーツなど学校以外の支払いに充てる場合は500万円が上限です。
非課税の条件として、贈与を受ける本人の前年度の合計所得が1000万円でなければいけません。さらに教育費を受け取ったけれど、贈与者が亡くなる前までに使いきれなかったという場合には注意が必要です。
この場合、贈与を受けた子や孫が23歳未満である場合を除き、相続税の課税対象となります。もし、子や孫が相続の対象者でない場合は相続税は2割加算されることも覚えておきましょう。
また、贈与を受けた子や孫が30歳を超えたときに、学校を卒業して贈与された財産が残っている場合は残額が贈与税の対象となります。
結婚・子育て資金
子や孫が結婚するとき、孫やひ孫が生まれたとき、お祝い金として贈与をしたいと考える人は多いでしょう。こちらも条件を満たせば、非課税措置を受けることが可能です。
子や孫が20歳以上50歳未満で、前年度の合計所得金額が1000万円であることが条件になりますが、結婚・子育て資金としての贈与であれば、受贈者一人につき1000万円までが非課税となります。ただし、結婚費用については300万円が上限です。
また、教育資金贈与と同様に、贈与者が亡くなった場合は残金が、贈与を受けた子や孫が50歳を超えたときの残額は相続税の対象となります。子や孫が相続の対象者でない場合は相続税は2割加算されることも同様です。
まとめ
贈与には様々な種類があり、贈与を受けた人は基本的に贈与税を支払わなければいけません。
しかし、贈与の中には一定額まで非課税で贈与を受けることができたり、生活の維持などすべて非課税となるものもあります。子どもや孫の生活が豊かで充実したものになるよう、援助をしたいと考えている人は、贈与税の非課税枠をうまく利用することで、節税をすることができます。
大切な財産を有効活用するためにも、このような非課税枠のある贈与を覚えておくといいですね。
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この記事を書いた人
ライター
渡辺あい(わたなべ あい)
銀行員として勤務の後ライターへ
4人の子供の母としてもお金の観点を持つ事が出来るのが記事の魅力。
FPの資格を活かした金融の記事に定評がある。
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