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赤字のままで経営!介護老人福祉施設の現実から長生きを考察

赤字のままで経営!介護老人福祉施設の現実から長生きを考察

自分には関係ないと思っていても、高齢者となれば身近な問題として考えなければならない介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の利用。五体満足だとしても、日常生活で支障が出ることもあります。

介護老人福祉施設は、簡単に入所できるわけでもありません。手続きや施設の事情などで入所できるタイミングもあらゆる要素が絡んできます。

介護老人福祉施設は、長生きして70代80代と生き続けていれば、利用することも不思議ではないでしょう。

全国老人福祉施設協議会が運営する老施協デジタルによると、令和4年度の老人福祉施設の経営について言及していました。従来型の介護老人福祉施設の50%が赤字経営ということです。出典:1

介護老人福祉施設では、赤字経営が問題になっています。今回は、その状況について調べてみました。

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介護老人福祉施設の概要

高齢者向けの社会状況について解説するため、誤解を招く点のおさらいが必要かもしれません。そこで今回のテーマである介護老人福祉施設について解説します。

厚生労働省によると、介護老人福祉施設は特別養護老人ホームのことを示しています。同義である特別養護老人ホームは、入所者ができる限り在宅復帰を目指すとしたうえで、次のように定義されています。

  • 日常生活で介護が必要な人を受け入れる
  • 入浴や食事などの日常生活を支援する
  • 機能訓練の世話をする
  • 療養上の世話をする

それらの支援やサービスを提供するうえで重要視している点は、入所者の意思や人格の尊重とのことです。施設のサービス提供者は入所者の立場で対応しなければなりません。

介護老人福祉施設には、要支援1や要支援2レベルの人は入所できないというルールがあります。ただし、付随する理由でやむを得ない状況などもあるため、例外は考えられるでしょう。

介護老人保健施設と混同してしまう件

介護老人福祉施設は、似たような言い回しの介護老人保健施設と混同してしまうことがあります。両施設は、入所できる利用対象者の条件が異なります。厚生労働省が公開している比較データは、次のとおりです。

 

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人保健施設

制定される法規

●      介護保険法
●      老人福祉法

介護保険法

入所対象者

●      身体または精神上で著しい障がいのある人が対象
●      居宅での介護を受けられない人が対象

●      病状安定期の要介護者
●      介護・看護・機能訓練を要する要介護者

提供支援内容

●      入浴・排せつ・食事などの介助
●      日常生活の世話
●      機能訓練の支援
●      健康管理や療養上の世話など

●      看護・医療
●      医療体制のもとで行われる介護や機能訓練
●      医療体制のもとで行われる日常生活の世話

施設設置の主体

●      社会福祉法人
●      地方公共団体

●      医療法人
●      社会福祉法人
●      地方公共団体

管理責任者

●      施設長(社会福祉主事・2年以上の社会福祉事業に従事した経験者など)
●      常勤または専従の管理者

管理者(常勤または専従の医師)

出典:※3を参考に作成

両施設の違いは、医療体制を備えているかどうかの点と考えられます。また、介護老人保健施設は、機能を回復して自宅で生活することを目指すため、長く入所できない点が特徴です。特別養護老人ホームは、要介護レベルにもよりますが、そのまま入所し続けられる特徴を持っています。

介護老人福祉施設の赤字をひも解いてみた

介護老人福祉施設である特別養護老人ホーム(以下特養)は、独立行政法人福祉医療機構(以下WAM)により2022年度の経営状況が公開されました。特養のサービス活動増減差額比率(社会福祉法人の経営指標)の推移は、次のとおりです。

 

特別養護老人ホームのサービス活動増減差額比率(従来型)

特別養護老人ホームのサービス活動増減差額比率(ユニット型)

2012年度

5.2

8.4

2013年度

4.0

7.5

2014年度

3.5

6.7

2015年度

3.2

6.2

2016年度

2.7

5.5

2017年度

2.7

5.5

2018年度

2.7

5.8

2019年度

2.7

5.8

2020年度

2.6

5.3

2021年度

1.4

4.8

2022年度

0.5

3.7

単位(%)※4の図表を参考に作成

サービス活動増減差額は、次の計算式で算出されます。

サービス活動収益-サービス活動費用=サービス活動増減差額出典:※5

上記に紹介したデータは、全体に対してのサービス活動増減差額の割合で比較しています。また、サービス活動収益やサービス活動費用の内訳は次のとおりです。

サービス活動収益

●      介護保険事業収益
●      老人福祉事業収益
●      障がい福祉サービス事業収益

サービス活動費用

●      人件費
●      事業費
●      事務費
●      減価償却費(国庫補助金等特別積立金取崩額)

出典:※5

特養の経営状況は、サービス活動増減差額の比率が下がっていることから収益性の低さをあらわしています。その水準は、年々低くなる傾向のため、特養の経営難は深刻な状態ではないでしょうか。WAMが公開した2021年度と2022年度の従来型特養の経営指標比較データでは、経費率の上昇が指摘されています。

  • 2021年度の特別養護老人ホーム(従来型)の経費率:28.3%
  • 2022年度の特別養護老人ホーム(従来型)の経費率:29.6%
  • 2021年度の特別養護老人ホーム(従来型)の水道光熱費率:4.9%
  • 2022年度の特別養護老人ホーム(従来型)の水道光熱費率:6.1% 出典:※4

特養の経費率は、1年で1.3%増加している状況です。同資料によると、人件費率の差は、-0.3ポイントとなっているため、相変わらず人員不足の状態は続いていると考えられます。では、1.3%の上昇となった経費率の要因は、社会情勢にあるのではないでしょうか。特養の経営悪化の要因を考察してみましょう。

物価高と光熱費高騰

総務省統計局の調べによると、全国の消費者物価指数の上昇が指摘されています。2020年の指数を基準値100とした場合、2022年9月の総合指数が103.1となっています。また、直近の2023年9月の総合指数は、106.2と上昇している状況です。

特養では、施設整備の稼働や食材費、その他備品などが物価高の影響を受けていると考えられます。2022年に直撃していた光熱費の高騰も経費率の上昇に影響しているでしょう。特養の現実は、赤字経営の施設が5割以上という状況とのことです。出典:※1

このまま恒常的な赤字が続けば、特養はどうなっていくのでしょうか。国内で進む物価高は、このままだと長生きに恐怖感を与えるかもしれません。

現在の社会状況と長生き

このような状況では、老後の介護施設利用が「正しい選択なのか」と首をかしげてしまうでしょう。とはいえ、なかなか上がらない賃金のままでは、現役世代も苦しい状況です。

現在の社会状況が影響している介護施設では、経営難によるサービス低下などは起きないでしょうか。もし、介護サービスの見直しなどが起きた場合は、長生きに望みを持てなくなるかもしれません。

先行きが読めない状況が続けば、消費活動にも影響します。特養の経営破綻が連鎖的に起きたとしたら、このままだと長生きは恐怖でしかなくなるでしょう。

現在の社会状況から取り組めることを考える

日本証券業協会が運営する「投資の時間」では、現代の日本の状況を次のように危惧しています。

  • 社会保険料の増加
  • 税金の増加
  • 物価の上昇

これらは、世界情勢(ウクライナの状況など)の影響もあり、政策だけで何とかなるとも考えられません。事実として起きていることは、国民一人ひとりの負担が増えているという状況。

ひと昔前であれば、ライフプランに沿った計画が一般的な人生設計基準となりました。しかし、今回紹介した特別養護老人ホームの経営赤字増加などから、老後の考え方も見直さなければならないでしょう。

老後リタイアという考え方が一般的だった頃は、積み重ねた老後資金と年金で施設で最期を迎えるというイメージでした。

しかし、最期を迎えるために選んだ施設が経営破綻してしまえば、安心して入所もできないでしょう。ならば、現段階で赤字経営ではない特別養護老人ホームなどを選ぶことも必要です。それだけではありません。

現在の社会状況から考えられることは、貯めるだけではなく増やす資産運用と伝えられています。参照元:※7

預貯金ではなく投資で増やすことは必要なのか考えよう

日本証券業協会の「投資の時間」では、預貯金だけではなく投資で増やすことの理由を次のように伝えています。

「自分が持っているお金にはたらいてもらう」出典:※7

お金を増やすことは、お金に働いてもらうこと。また、お金を増やすポイントも複数用意しておくことを伝えていました。ただし、リスクの理解やリターンとのバランスも把握しておかなければなりません。

本記事では、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の赤字経営の増加について解説してきました。赤字の要因は、物価高や光熱費の高騰などです。施設運営の経費率は、上昇しています。少子高齢化で労働人口の減少により、介護施設で働く人材は少なくなっている状況です。この経費率や人件費の状態で数年続けば、長生きの未来は明るくありません。

まだ先の話と捉えている現役世代の方は、できる限り老後への対策として備えておく必要もあるでしょう。お金の増やし方は、お金について知ることから始まります。預貯金だけではなくひとつずつ、知識を増やしてみてはいかがでしょうか。

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【出典・参照元記事URL】

※1:老施協デジタル「令和4年度特別養護老人ホームの経営状況(速報値)を公表、従来型特養では5割近くが赤字」
https://roushikyo-digital.com/news/6340/

※2:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html

※3:厚生労働省「介護保険三施設の比較」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/12/s1222-4f4.html

※4:独立行政法人福祉医療機構(WAM)「2022年度特別養護老人ホームの経営状況(速報値)について」
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/231030_No001.sokuhou.pdf

※5:厚生労働省「社会福祉法人の場合」
https://jsite.mhlw.go.jp/miyazaki-roudoukyoku/var/rev0/0112/4773/2018122shyahuku.pdf

※6:総務省「2020年基準|消費者物価指数|全国2023年(令和5年)9月分」https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

※7日本証券業協会「投資の時間」
https://www.jsda.or.jp/jikan/lesson-zero/

この記事を書いた人

江戸利彰

ライター

江戸利彰(えどとしあき)

ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。

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