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企業と個人の信用リスクと与信活用の関係について解説
リスクとは何でしょうか。いきなり抽象的に切り出してしまいましたが、生きていればリスクはつきものというくらい生活の中はリスクだらけだと思いませんか。
たとえば、天候の変化で雷雨となり、停電で仕事ができなくなるリスクはゼロではありません。また、移動のため乗車している電車が事故を起こすリスクもゼロではないでしょう。
上げればキリがありませんが、考えられるリスクをここに示します。
- 自然災害によるリスク:大雨・台風・雷・積雪・土砂崩れ・自信・津波など
- 為替リスク:為替相場の変動によるリスク(円やドルなど)
- 地政学リスク:世界の特定地域が抱える政治的や軍事的な緊張状態によるリスク
- オペレーショナルリスク:金融機関で発生する業務やシステムなどの不適切な状態によるリスク
- 情報セキュリティリスク;情報への不正アクセスや情報漏えいなどのリスク
では、ここで取り上げていないリスクで信用リスクがあります。信用リスクは、端的にいうとお金を貸す相手が返せなかったときの貸主のリスクのこと。他にも企業が債務不履行になったときの状態やその損失額のことを示したりします。参照元:※2
この記事では、企業と個人の信用リスクと与信の関係について解説します。与信は、投資のひとつの方法です。どのように活用するかは個人個人の目的や状況次第ではないでしょうか。
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与信は相手への信用の提供
与信は、個人であっても企業であっても相手への信用の提供と考えられます。与信は、事業を行う企業にとって重要な要素です。たとえば、取引先企業に対して「商品やサービスを提供し、請求書の発行で代金が振り込まれる」というビジネスのやり取りは普通に行われています。
最近では、リモート対応のビデオチャットや電子契約などで直接顔を合わせたことのない相手との取引も行われている状況です。とくにクラウドソーシングを介した業務委託などは、非対面での取引が主流ですね。
では、そのような状況で取引先が必ず商品やサービスの代金を支払う保証はあるのでしょうか。そのような不安を抱えていたら、企業間のビジネスは成り立ちません。暗黙の常識として、業務提携した相手からの後日支払いは必ず実行されるという信用が担保されています。
法人同士であれば、法人としての暗黙の約束です。個人であれば、仲介者や身元が保証されれば信用は高まるでしょう。また、取引の積み重ねによっても信用は構築されていきます。
このような、商品先渡しで後から代金を受け取る仕組みが与信にあたります。与信は、信用取引のことをあらわし信用が大きければ大きいほど取引額も大きくなるでしょう。つまり、与信は相手への信用の提供とも考えられます。
参照元:※1
与信だけでは限界がある?
ひと昔前であれば、口約束でお金を貸し借りしたり、言い値で取引したりという関係もあったことでしょう。そこに存在するのは信用取引、つまり与信です。古き良き時代は信用があれば、ビジネスが成り立っていました。ただし、現代は違います。
与信だけでは限界があります。何らかのリスクを受けて会社の存続が難しくなることはよくある話です。たとえば、自然災害リスクで加工品の材料が仕入れられなくなれば、たちまち経営に影響します。加工ができなければ、製品を生産できなくなります。製品がなければ売上も立ちません。
この例は、予期せぬ自然災害リスクを想定していますが、取引相手の企業が健全な経営をしているかどうかもすべて事前に見抜けられないでしょう。何かをきっかけに経営が不安定となり商品やサービスの提供不能だけではなく、逆の場合は商品代金の未払い損失も考えられます。
与信には、限界があり信用取引を行うことは信用リスクのもとでビジネスを続けるという状態です。
与信活用をするのであれば、与信のルールを決めることも大事です。与信のルールとは、「与信管理」のこと。取引先の経営状態次第で取引の継続や規模などを考えます。
相手先が商品やサービスの提供先であれば、売掛金や手形などが損失にあたり、売上債権として信用リスクの部分です。この信用リスクの範囲を事前に設定して管理することが与信管理と言われています。出典:※2
3つの要素で成り立つ信用リスク
帝国データバンクによると、信用リスクは、3つの要素で成り立つと伝えています。3つの要素は、次のとおりです。
- 要素1:期間→相手企業の体力が持つ期間(支払能力の予測機関など)
- 要素2:割合→相手企業が倒産する割合(支払能力の限界予測など)
- 要素3:損失→相手企業が倒産した場合の自社の損失
参照元:※2をもとに作成
帝国データバンクで示す与信管理では、取引相手企業の状態を予測します。予測したうえで
相手企業との取引を調整するイメージです。たとえば、工作機器メーカーが部品メーカーと業務提携していた場合は、工作機器メーカーは部品メーカーの経営状況を知っておく必要があります。
- 部品メーカーを引き継ぐ後継者の有無
- 部品メーカーの従業員の年齢層
- 部品メーカーへの依頼範囲の限界
従来の与信管理の場合は、債権回収について考えることwp重要視していましたが、相手企業の業務継続なども注視する必要があります。参照元:※2
個人の与信
与信は、企業間だけではなく個人にも相手に対して供与できます。たとえば、個人が銀行に申し込むローンは、その人の信用情報で評価される与信です。融資する側の機関は、その信用情報とリスクを検討します。
全国銀行協会では、全国銀行個人信用情報センターで取り扱う信用情報の内容を紹介しています。
登録情報 |
内容と登録期間 |
本人情報 |
● 氏名 |
取引情報 |
● ローンやクレジットカードなどの借入金額 |
照会記録情報 |
● 全国銀行個人信用情報センター会員がセンターを利用した日 |
官報情報 |
法律や政令などの国で決定した公的な情報 |
苦情受付コード |
登録情報に関する苦情の受付や調査中の苦情など |
本人申告情報 |
全国銀行個人信用情報センターに登録されている個人情報が紛失や盗難・同姓同名の可能性で間違えられることを申告した本人からの申告内容 |
貸付自粛情報 |
本人が自粛対象者として申告した申告内容(浪費癖やギャンブル依存などに対しての自粛) |
出典:※3のデータをもとに作成
これらの個人情報は、金融機関の融資審査の判断に活用されます。個人の信用情報は、融資の契約や与信の判断に活用するとのことです。出典:※4
個人が与信を頼るとき
個人が信用情報の内容で一喜一憂するときは、まとまったお金を借りるときです。たとえば、住宅を購入するときの住宅ローンやマイカーの購入で申し込むマイカーローン、進学に必要な教育ローンなども考えられます。
他には、資本がない人向けの不動産投資目的のローンも与信活用ではないでしょうか。不動産投資は、与信活用との相性も良く「他人のお金で投資する」という目的にあてはまります。
この個人の信用情報で他人資本の投資を行う場合でも、登録された個人情報は重要です。クレジットカードの発行数や過去・現在の借り入れや返済状況などからも判断されるでしょう。
個人の与信がチェックされるとき
個人の信用情報は、先述したとおり、しかるべき機関で一定の期間保管されます。信用情報の利用目的は、与信判断と与信管理です。CIC(CREDITINFORMATION CENTER)では、信用情報の利用目的を次のように説明しています。
- 与信判断:新規でクレジットカードやローンの申し込みを受けた際の確認
- 与信管理:契約後の与信枠変更や信用状況の変化などの状況確認 出典:※5
信用情報は、これらの利用目的で確認されます。また、契約者本人も申請することで自分の信用情報を確認することは可能とのことです。「自分の信用情報はホワイトなのかブラックなのか」を確認する機会にもなるでしょう。
ただし、申請は融資サービスを利用しているそれぞれの金融機関などで開示申請を申し込む必要があります。出典:※6
与信のあるうちに動くか状況で判断しよう
今回は、信用リスクの話から信用情報の解説、個人の与信などを説明してきました。現在サラリーマンであれば、勤続年数や年収などで期限付きの与信が活用できます。期限付きの与信は、一般的に定年までの賞味期限が考えられるでしょう。
つまり、定年以降は与信が無くなってしまうかもしれません。もし、他人資本で資産運用などを考えているのであれば、与信があるうちの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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【出典・参照元記事URL】
※1:三井住友銀行「Business Navi」
https://www.smbc.co.jp/hojin/magazine/accounting/credit-management.html
※2:帝国データバンク「与信管理の基礎の基礎」
https://www.tdb.co.jp/knowledge/yoshin/01.html
※3:一般社団法人全国銀行協会「全国銀行個人情報センター|個人情報の取扱い」
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/privacy/
※4:日本クレジットカード協会「個人信用情報の基礎知識について」
https://www.jcca-office.gr.jp/consumer/personal/personalinfo/
※5:CIC(CREDITINFORMATION CENTER)「信用情報の利用」
https://www.cic.co.jp/cic/use.html
※6:CIC(CREDITINFORMATION CENTER)「よくある質問」
https://www.cic.co.jp/faq/detail/09d4e8bfcc8b51d227436f6d25f7921fc26108a0.html
この記事を書いた人
ライター
江戸利彰(えどとしあき)
ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。
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