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高所得会社員はどれくらい税金を納めている?驚きの税額を解説

高所得会社員はどれくらい税金を納めている?驚きの税額を解説

日本の所得税では「累進課税制度」が採用されており、所得が高い人ほど税負担が大きくなる仕組みです。
では、所得が1,000万円を超えるような高所得者は、実際にどれくらいの税額を納めているのでしょうか。

本記事では、国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」をもとに、会社員の高所得者が納めている税金について解説していきます。

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1.給与所得者が納めるのは「所得税」と「住民税」

通常、会社員は勤務先の源泉徴収によって「所得税」と「住民税」を納めます。最近では給与明細が電子化されているケースも多いため、「何がどれくらい引かれているのか」とじっくり確認する機会も少ないかもしれません。

ここでは、まず給与から天引きされる所得税と住民税の仕組みについて確認していきましょう。

1-1.所得税のしくみ

日本の所得税では、所得の金額が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されています。税率の詳細は下記の通りです。

【所得税の税率】

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円超330万円以下

10%

9万7,500円

330万円超695万円以下

20%

42万7,500円

695万円超900万円以下

23%

63万6,000円

900万円超1,800万円以下

33%

153万6,000円

1,800万円超4,000万円以下

40%

279万6,000円

4,000万円超       

45%

479万6,000円

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

たとえば、給与の課税所得が400万円の人は、20%の所得税を納めていることとなります。

よく「高所得者は所得の半分を税金で持っていかれる」ということを耳にしますが、所得税では最大45%の税率が適用されることから、それが間違いでないことが分かります。

1-2.住民税のしくみ

住民税も給与所得者が納める税金のひとつです。住民税は「所得割」と「均等割」の2つから成り立っており、それぞれ税率が異なります。

【所得割】

所得割では、前年の所得に応じて10%の税金が課されます。10%の内訳は下記の通りです。

 

標準税率

市町村民税

6%

道府県民税

4%

住民税の所得割は市町村や道府県にそれぞれ税金を納め、所得の金額に関わらず一律の税率が定められています。

【均等割】

住民税の均等割は、非課税世帯を除くすべての納税者に課される税金です。

自治体によって独自の税額が設定されていることはあるものの、標準税額は下記の通りとなっています。

・道府県民税:1,500円

・市町村民税:3,500円

くわしくは、自分が居住する自治体のホームページなどで税額を確認してみましょう。

2.会社員のうち年収1,000万円超の高所得者は5.4%

給与から差し引かれる税金の仕組みをみると、「高所得者は税金の負担が大きい」ということが間違いではないことが分かりました。では、そもそも給与所得者のうち、高所得者はどれくらいいるのでしょうか。

下記の表は、国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査結果」から、給与階級別の人数と割合を示したものです。

給与階級

人数(千人)

割合(%)

100万円以下

3,985

7.8

100万円超200万円以下

6,433

12.7

200万円超300万円以下

7,179

14.1

300万円超400万円以下

8,395

16.5

400万円超500万円以下

7,789

15.3

500万円超600万円以下

5,511

10.9

600万円超700万円以下

3,504

6.9

700万円超800万円以下

2,437

4.8

800万円超900万円以下

1,675

3.3

900万円超1,000万円以下

1,116

2.2

1,000万円超1,500万円以下

2,019

4.0

1,500万円超2,000万円以下

431

0.8

2,000万円超2,500万円以下

131

0.3

2,500万円超

170

0.3

引用:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果」(※四捨五入の関係で100%にならず)

この分布を一般的に高所得といわれる1,000万円を境界に分けてみましょう。

給与階級

人数(千人)

割合(%)

1,000万円以下

48,024

94.5

1,000万円超

2,751

5.4

(※四捨五入の関係で100%にならず)

なんと1,000万円以上の高所得会社員は、全体の5.4%しかいない結果となりました。同調査によると、2022年における日本の平均給与は458 万円であることから、年収1,000万円を超えている会社員はかなり少数派であることが分かります。

3.高所得会社員が納める税金は年間約6兆円

次に、給与所得者が納めている税額についてみていきましょう。下記の表は、国税庁の同調査から給与階級別の税額・構成割合を示したものです。

給与階級

税額(億円)

割合(%)

100万円以下

124

0.1

100万円超200万円以下

965

0.8

200万円超300万円以下

2,987

2.5

300万円超400万円以下

5,635

4.8

400万円超500万円以下

7,499

6.4

500万円超600万円以下

7,928

6.7

600万円超700万円以下

6,872

5.8

700万円超800万円以下

7,477

6.3

800万円超900万円以下

7,414

6.3

900万円超1,000万円以下

6,697

5.7

1,000万円超1,500万円以下

22,619

19.2

1,500万円超2,000万円以下

12,215

10.4

2,000万円超2,500万円以下

6,072

5.2

2,500万円超

23,238

19.7

引用:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果」(※四捨五入の関係で100%にならず)

税額についても、先ほど同じく1,000万円を境界に分けて考えてみましょう。

給与階級

税額(億円)

割合(%)

1,000万円以下

53,598

45.4

1,000万円超

64,144

54.5

(※四捨五入の関係で100%にならず)

年収1,000万円超の会社員が納めている税金は年間6兆4,144億円で、全体の54.5%を占める結果となりました。

年収1,000万円超の人の割合は全体の5.4%にすぎませんが、その5.4%で全体のおよそ半分の税金を納めていることが分かります。

4.【会社員向け】税負担を軽減するために取り組みたい対策

会社員が税負担の軽減を減らして手取り額を増やすためには、自ら対策に取り組むことが大切です。会社員が取り組める方法には、主に次の4つが挙げられます。

・iDeCo
・生命保険料控除
・医療費控除
・住宅ローン控除

それぞれくわしく解説していきましょう。

4-1.iDeCo

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」と呼ばれる制度で、毎月の掛金を金融商品で運用し、その運用成果を将来年金として受け取る制度です。

iDeCoの大きな特徴は、「掛金を全額所得控除できる」という点です。たとえば、毎月iDeCoに2万円ずつ拠出する場合、年間24万円を所得から控除できることとなります。

全額所得控除できると聞くと、「それなら掛けられるだけ掛けたほうがお得では?」と思うかもしれませんが、iDeCoは加入資格によって掛金の上限額が定められています。

加入資格

拠出限度額(/月)

1号被保険者

自営業者など

6万8,000円

2号被保険者

企業年金がない会社員

2万3,000円

企業型DCに加入している会社員

2万円

・DBと企業型DCに加入している会社員
・DBに加入している会社員
・公務員

1万2,000円

3号被保険者

専業主婦(主夫)

2万3,000円

なお、iDeCoは原則60歳まで引き出しができません。加入する際は、「当面使わない」という資金の範囲内で掛金を設定するようにしましょう。

4-2.生命保険料控除

生命保険料控除とは、保険料の一部を所得から控除できる制度です。控除できる保険の種類は、「生命保険」と「介護医療保険」、「個人年金保険」の3つで、それぞれ最大4万円まで所得控除が行えます。

たとえば、生命保険に毎月1万円、個人年金保険に毎月1万5,000円の保険料を支払っている場合、生命保険と個人年金保険でそれぞれ4万円ずつ所得控除の対象となります。

最大12万円も所得控除できる制度ですので、ぜひ有効活用してみるとよいでしょう。

4-3.医療費控除

税負担を軽減するためには、「医療費控除」の活用も有効です。医療費控除とは、その年にかかった医療費が10万円を超える場合、その超過分を所得から控除してもらえる制度です。

控除の対象となる金額は、次の通りに計算されます。

【控除の対象となる金額】

(実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補填される金額)- 10万円(※) 

(※総所得200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額)

ここでいう医療費とは、自分だけでなく生計を一にする配偶者や家族の医療費も対象です。

もし、出産や病気、ケガなどでまとまった医療費がかかった場合は、確定申告で医療費控除を利用することを検討してみましょう。

4-4.住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて住宅を取得・増改築をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税から控除してもらえる制度です。最大13年間控除してもらえるため、住宅購入を悩んでいる人は本制度のメリットも含めて考えてみましょう。

なお、住宅ローン控除の適用には初年度のみ確定申告が必要となりますが、2年目以降は会社の年末調整で申請が行えます。

5.給与明細に記載されている源泉徴収額を確認してみよう

年収1,000万円を超える高所得者は全体の5.4%しかいませんが、その5.4%で給与所得者が納める税金の半分を担っています。

税金が源泉徴収される会社員は、「どれくらいの税金を収めているか」ということがピンとこないかもしれません。しかし、少しでも税負担を軽減して手取り額を増やすためには、きちんと対策に取り組むことが大切です。

本記事で紹介した4つの方法を参考に、ぜひ税負担を軽減する対策を始めてみましょう。

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【参考】

国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2022/pdf/002.pdf

この記事を書いた人

椿 慧理

ライター

椿 慧理(つばき えり)

銀行を10年間勤務し経験を通じて得た金融知識を活かし、金融ライターとして独立。
金融商品やマーケットの解説、税制解説など初心者にも分かりやすい記事を手掛ける。
自らも12年の投資経験を持ち、国内外株式、投資信託、暗号資産を運用中。

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、内部管理責任者

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