養分になるな！ネットに踊らされた末路を解説

筆者は、暇さえあればTwitterもといXを常にウォッチしています。

ネタの宝庫だからです。

人の呟く内容の変化を見るのが、小説を読むよりも楽しいという下世話さが、ウォッチを続けられる秘訣だと思います。さて、筆者は結構長くXを続けているものですから、会ったことないけど頻繁にやり取りするフォロワーさんもちょこちょこ出てきます。

最近はすっかり潜ってしまってやり取りまではしないものの、「あの人どうしてるかな～」と呟きを覗きに行くような方が結構いるのです。

筆者はそんな方々を勝手に友人だと思っているので、今回はその友人の内の一人のエピソードをお話ししたいと思います。友人は「何者かになりたいタイプ」の男性でした。

会社員をしていましたが、常に何者かになるために、勉強会や社会人サークルに足を運んでいたタイプです。彼は、次第にとんでもないスピードですっとんきょうな方向へ爆走していき、いわゆる「養分」に進化しました。

養分とはネットスラングの一つで情報弱者、お金を搾取される人、負けた側といったニュアンスで使われます。

「そっち行っちゃダメ」の典型例なので、ここで彼の挙動を共有し、注意喚起をしたいと思います。

ぜひ最後までお読みください。

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成功を夢見る男

友人と出会ったのは、かれこれ5年ほど前でしょうか。

何がきっかけだったかもう思い出せないくらい、意外と長く繋がっているフォロワーさんでした。呟きにいいねしたり、リプライを送ったり、割と親密な関係です。

「あの人今元気にしてるかしら？」と、ちょこちょこ気にはなる、そんな存在でした。

彼は大手企業のSEとして勤めており、そこそこ高めのお給料をもらっている独身男性です。恐らく30代半ばだと思います。彼は、このまま会社員として働き続ければ、十分な幸せが待っていました。

お金に困ることなく、美味しいご飯が食べられて、住む場所だって困りませんからね。しかしどういうわけか、彼は常に「自分はここにいるべきではない」と考えており、呟きには絶妙な意識の高さが伺えました。

行動力があり、様々なジャンルの社会人サークルやセミナー、ワークショップにスクールなど、身軽に足を運びます。

大手企業勤めの独身30代ですから、お金には余裕があるようです。結構高額なセミナーなんかもガンガン参加していました。セミナーに参加した後、彼は決まって下記のような内容を呟きます。

「今回参加したセミナー、正直あんまり期待していなかったのですが…。最高でした！目から鱗の情報ばかりだった。まだ身体に熱がこもっています。懇親会で繋がってくださった皆さん、これからよろしくお願いします！！」

身体の熱はお酒の影響では？と思わないこともないですが、とにかく熱い言葉が並びます。

アフィリエイト、スピリチュアル、起業に副業など、様々なジャンルに手を広げていました。

そんな彼のお茶目なところは、入学、入隊、ジョインをしまくるものの、割とすぐに卒業していくことです。

「自分の勉強不足、力不足を痛感しています。今回は道を分かつことになりましたが、またどこかでお会いできる日を願って！僕ももっと成長して、大きくなって、皆さんに会いに行きますね！短い間でしたがありがとうございました！」

あれ？2週間しかやってなかったような…というジャンルも多々あったと思います。

とにかく彼は、自分探しの旅を続けていたのです。

夢を見つけた男

そんな友人も、とうとう「これだ！！」というものを見つけました。

「FIRE」です。

人生の早い段階で資産を増やし、残りの人生は働かずに過ごすFIRE界隈に、彼はすこぶる感銘を受けました。

その時の彼の呟きは今でもしっかり覚えています。もはやファンですね。

「進むべき道が見つかった。衝撃を受けた。本気を出す時が来た。」

今まで本気じゃなかったんかい！と思いましたが、何はともあれ進むべき道が見つかったことは良いことです。

このまま会社員をしながら、今までセミナーに使っていたお金を全て投資に回せば、毎月結構な額を投資できます。

何せすぐ離脱する諸々に、多い時で月10万くらいかけていたようですからね。投資は基本的に、投資額が大きければリターンも大きくなるので、彼には大きなベネフィットがありました。

これまで相当な金額を投じてきた数々のセミナーやらスクールやらが実を結ばず、実質実入り0円だったことを考えれば、投資のリスクさえも小さく感じます。

投資は結構刺激があるので、彼も飽きにくいのではないかと筆者は思っていました。

彼はやっと自分の夢を見つけられたのです。

夢を追う男

相当失礼な発言なのですが、筆者は友人に刺激を求めていました。

筆者にとって彼は一種の研究対象となっていて、1週間に1回は彼の行動をチェックし、「今度は何をするのかしら！」と楽しみにしていたのです。

ノンフィクションのドキュメンタリー番組を見ている感覚ですね。

しかし、彼は既に夢を見つけてしまいましたから、もう刺激もないだろうと踏んで、しばらく彼の動向をチェックしていませんでした。ところが、彼が夢を見つけて1か月ほど経った頃のこと。

何となく気になって彼をチェックしてみると、全く予想しない方向に突き進んでおり、筆者はギョッとすることになります。

彼は完全に「養分」となっていたのです。

「投資未経験者でも1年でFIREになれた俺が語る、最短でFIREになる方法」的なnoteやTipsを販売しつつ、有料オンラインサロンや有料コンサルで稼ぐ、謎投資家に弟子入りしていました。

謎投資家は、高級外車に高級時計、札束をひけらかし、その羽振りの良さを見せつけるかの如くSNSを怒涛更新しています。絵に描いたような、アレがアレな感じのアレです…。

筆者は仕事中だったのですが、「そっちいったか～～～」と思わず声を出してしまいました。

おかげで後輩にX（当時はTwitter）を覗いていたことがバレ、「またTwitterなんか見て！」と注意される始末。しかし、それくらい「そっちいったか～～～」と思ったのです。

友人の呟きは、以前よりも更に香ばしさを増していました。

「仲間とともに走り切るって、こんなに楽しいことなんだ。」

「仕事では得られない学びと充足感に浸っているからか、今日も積み上げが止まらない。」

「自分と出会ってくれた皆さん、本当にありがとう。出会いに感謝です。」

仕事の休憩中に再度彼の動向を見てみると、謎投資家に月10万のコンサルを依頼し、現在投資家の卵として修行中とのこと。もちろん、謎投資家のnoteは全部購入、有料オンラインサロンにも入会済みです。

月の投資額は15万は超えていたのではないでしょうか。

「そ、その金を投資に使え～～～～！！！」と叫びたくなるような惨状…。

思わずリプライを送ろうかと迷っていたところ、かつての同志たちが筆者と同じような忠告をしていました。

「○○さん、こちらの投資の本、お勧めです。noteもいいですが、本も勉強になりますよ」

「コンサルも重要ではありますが…そのお金を株に投資するほうがメリットがありそうな気も…(;^ω^)」

まさにその通りです。

どこの誰とも分からない謎投資家が書いたnoteなんか購入するよりも、プロの編集者とプロの投資家が協力して作った本の方がいいに決まっています。

何より、友人が購入しているnoteの1/10の値段で購入できるので、コスパは最強です。また、コンサルを受けながら投資をするとなると、投資に回せる額は当然減るため、彼が投資利益を得る事はありません。

もったいないことこの上ない状況です。

友人にリプを送っていたのは、元から彼と頻繁にやり取りをしていた方々でした。

彼らも多少香ばしさはあったものの、流石に友人の行動が行き過ぎていると感じ、心配になったのでしょう。

恐る恐る、彼を傷つけない形で忠告してくれたのです。しかし、友人は「今は進化の途中だから！」とか「○○さんを信じているから大丈夫」といって、一切聞く耳を持ちません。

その内、彼は謎投資家のオンラインサロンメンバーとしか、やり取りしなくなっていきました。

暴走する男

筆者は片手間に友人ウォッチをしていることもあり、彼がコンサルでどのようなことを教えてもらい、どのようなやり方でFIREを目指していたのか詳しくは知りません。

とはいえ、彼の呟きを見てみると、ほぼ詐欺のようなスキームでお金を絞りとられていました。

謎投資家の仲間たちが経営する企業のゴミみたいな株を買わされたり、「軌道に乗ったらいずれ取締役に」と言われて謎会社に出資していたり。

とうとう、彼が真面目にコツコツ貯めた貯金は底を尽き、流石に不安になったのか、ネガティブな呟きが目立つようになりました。

「よかった、これで悪縁が切れそうだ…」と筆者も胸をなでおろしていたのです。

ところが、突然の円高によって、彼はまさかの大勝ちをキメてしまいました。謎投資家に勧められた株が大当たりしたのです。

投資金額の10倍ほどに膨れ上がったようで、友人は大喜びしていました。しかし、彼が謎投資家に搾り取られた金額はもっと多額です。

10万円が100万円になったとしても、圧倒的に損をしています。謎投資家はその事実を巧みに誤魔化し、恐らく偶然の産物だったであろう今回の出来事を、盛りに盛ってオンラインサロンメンバーに伝えました。

オンラインサロン内で友人は一気にヒーローとなり、界隈はかなり盛り上がりました。

友人は、運の悪いことに、謎投資家の養分から抜けるタイミングを完全に失ってしまったのです。

暴走しきった男の末路

この話の一番ホラーなところは、彼が自分を養分だとも思っておらず、失敗したとも思っていなかったことです。

恐らく彼は、大勝ちした分も養分料として搾り取られ、会社で稼いだお金のほとんどを謎投資家に使ったことでしょう。

彼は約半年間で貯金を使い果たしてしまったのに、確かに充足感と幸せを感じていたのです。

結局彼は、その後どうなったと思いますか？

実は、筆者も知りません。

いつの間にかアカウントがなくなっていたからです。

彼がX内だけでなく、人生からもログアウトしていないことを祈るばかりです。

養分にならないための3か条

SNSには、「情報商材」がはびこっています。

その辺の素人でも、誰かが書いたnoteの内容を丸パクリしてしまえば、そこそこ読み応えのあるものがデキてしまうのです。

嘘の経歴で塗り固めた自分を演じながら、さも自分が書いたかのような顔をして、SNSの海を泳いでいます。

自分の身は自分で守るしかないのが現状です。騙されても、アカウントを消して逃げられたら、泣き寝入りするしかありません。
ですから、まず養分にならないようにすることが重要です。

筆者が養分にならない為に気を付けている3つのことをまとめますので、ぜひ参考にしてください。

【第1条】情報商材ではなく本・雑誌を買うべし

情報商材は高すぎます。ページ数なんて本の1/100くらいしかないくせに、本の2～3倍の値段を取るなんて信じられません。

しかも、その辺の素人が書いたも同然で、情報の信ぴょう性も怪しいものです。その点、本はとんでもない時間とお金をかけて出版されますから、エビデンスもしっかりしています。

売れ筋の本を購入しておけば、まず間違いありません。

最強にコスパが良いので、情報商材を買うのではなく、まずは本や雑誌で勉強しましょう。

【第2条】事前準備や勉強代にお金を使いすぎない

新しいことを学ぶ・始めるとき、多くの方はお金で解決しようとします。

ジムにエステ、美顔器に英会話、高いPCにコンサルなどなど、例を挙げるとキリがありません。

絶対にやめろとは言いませんが、初心者は「いかにお金をかけずに結果を最大化させるか」に腐心すべきです。高すぎる機器を購入したり、分不相応なコンサル代などを払ったりしても、実入りが無ければ損するだけですからね。

「やっぱ違った」と思った時に、引き返しても悔しくないくらいの支出に抑えましょう。

【第3条】他人の情報を鵜呑みにしない

養分になる方は、「何でもすぐ人に聞く・頼る」「自分で考えない」のに「妙な行動力がある」点が共通しています。

本当かどうかも分からない情報を真に受けて、自分の脳みそで情報を分解せず、すぐに行動に移してしまうのです。戦場だったら即死です。危険すぎます。

例え有名人が熱く語っていようとも、まずは「その情報が正しいか、自分にとって有利か」を「自分で」判断できるようになりましょう。

そのために必要な知識は、前述のとおり本で得ることができます。

まとめ

自分の身は自分で守るしかありません。

自分の人生の責任を取れるのは、自分だけです。筆者は、少なからず心を砕いた友人の末路をしっかり見届けました。

だからこそ、いつも強めな言葉で「知識をつけるしかない」と繰り返し伝えています。自分だっていつ養分になるか分かりません。

筆者はこれからも、Xを見て肝を冷やしながら、養分にならないようにインプットを続けるつもりです。

皆さんも、「明日は我が身」と思って、剣よりも強いペンを握りましょうね。

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