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資産運用
【初心者向け】FXの失敗談6選。備えるべき対策は?
FXに限らず金融商品の取引では、損失を被る可能性をゼロにすることはできません。しかし、適切な対策を取ることでできるだけリスクを低減することは可能です。本記事では、実際にあったFXの失敗談から、初心者が取り組みたい対策方法を解説していきます。
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目次
1.FXではどれくらいの人が損失を抱えている?
FXと聞くと、「大きな損失を被るリスクがある」というイメージがある人も多いかもしれません。では、実際どれくらいの人がFXで損失を抱えているのでしょうか。
下記表は、金融先物取引業協会が公表している「預託金増減口座数割合情報」の結果をまとめたものです。
報告期 |
減少口座割合(%) |
増加口座割合(%) |
2022年4期 |
51.23 |
48.77 |
2022年3期 |
69.71 |
30.29 |
2022年2期 |
58.68 |
41.32 |
2022年1期 |
53.68 |
46.12 |
2021年4期 |
54.49 |
45.51 |
2021年3期 |
57.15 |
42.85 |
2021年2期 |
53.38 |
46.62 |
2021年1期 |
51.36 |
48.64 |
調査対象の期によって多少結果は変動するものの、損失が出た人と利益が出た人の割合はおよそ半分ずつであることが分かります。この確率を高いと考えるか低いと考えるかは個人によっても異なりますが、およそ2分の1の確率で負けてしまう勝負に無計画で取り組むのはややリスクが高いといえます。
FXでなるべくリスクを低減しながら利益を狙うためには、適切な対策を講じることが大切です。
2.FX失敗談!初心者がやりがちな失敗例とは?
リスクの大きいFXでは、度々失敗談を耳にすることがあります。ここでは、初心者が陥りがちな失敗談7つを紹介していきましょう。
失敗①損切りができずに損失が拡大
「損切り」とは、損失が出ている状態でポジションを決済することです。
たとえば、1ドル=100円のときに買いを入れて、その後1ドル=95円まで円高が進むと、トレーダーには含み損が発生します。その後、なかなか相場が戻りそうにないときは、損切りをして損失を最小限に留める判断が必要です。
しかし、初心者のうちは損切りのタイミングが掴めず、「すぐに相場が戻るだろう」と楽観的に考えがちです。
結果としてズルズルと円高が進み、より損失が拡大してしまうことも珍しくありません。
失敗②ハイレバレッジ取引で大きな損失を被る
FXはレバレッジをかけて取引ができることも特徴です。レバレッジとは、証拠金を預け入れることで、実際の金額よりも大きな金額で取引ができることです。
たとえば、証拠金10万に対して5倍のレバレッジをかけると、50万円の金額で取引が行えます。レバレッジは資金効率よく取引ができるため、大きな利益を狙えるメリットがあります。
しかし、レバレッジ取引では自己資金以上の損失が発生することを忘れてはなりません。FXを始めたばかりのときは、「大きな利益を得たい」という気持ちが大きくなり、ついリスク許容度を超えた高いレバレッジをかけてしまうことがあります。
ハイレバレッジの取引は少しの相場変動でも大きな影響を受けるため、中には自己資金以上に損失が発生し、FX自体をやめてしまうトレーダーも多く見られます。
失敗③新興国通貨で為替差損
FXというと、「米ドル/円」のメジャーな通貨ペアを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、中には「スワップポイント」狙いで、メキシコペソやトルコリラ、南アフリカランドのような新興国通貨で取引を行う人もいます。
スワップポイントとは、2ヶ国間の金利差のことです。金利の低い通貨を売って、金利の高い国の通貨を買うと、このスワップポイントを利益として受け取ることができます。
スワップポイントはポジションを保有している間、ほぼ毎日受け取りができるため、スワップポイントによる利益をメインとしているトレーダーもいるほどです。
「ポジションを持っているだけで利益が得られるなんて簡単そう」と思うかもしれませんが、注意したいのは為替の変動幅です。
新興国通貨は先進国通貨に比べて為替の変動幅が大きい傾向にあり、経済動向や地政学的リスクによって一気にレートが大きく動くことも珍しくありません。
その結果、「為替差損でスワップポイントが吹き飛んでしまった」というケースも多く見られます。
失敗④多くの通貨ペアを持ちすぎて管理ができない
FXでは、利用するFX会社によって取り扱う通貨ペア数が異なります。
中には20を超える通貨ペア数を取り扱うFX会社もあり、初心者がその中から投資先を選定するのは簡単ではありません。色々と調べているうちにどの通貨ペアも魅力的に感じられ、多くの通貨ペアに次々と手を出してしまうこともあるでしょう。
しかし、為替市場ではそれぞれの通貨ペアが異なった値動きをします。中には相関性のある通貨ペアもありますが、まったく同じ動きを辿るわけではないため、きちんと各通貨ペアの為替市場を注視しなければなりません。
もし一度に多くの通貨ペアを保有している場合、管理に手が回らなくなることも想定されます。変動要因が起こったことに気が付くのが遅くなれば、含み損を抱えるだけでなく、最悪の場合強制ロスカットとなることもあるかもしれません。
失敗⑤狼狽売りで冷静な判断ができない
「狼狽売り」とは、小さな相場変動に動揺して保有資産を売却してしまうことです。
FXを始めたばかりのときは、相場の動きに慣れずちょっとした変動で慌ててポジションを決済してしまうことがあります。しかし、市場は常に上下していますので、静観していれば含み損が回復するケースも多くあります。
狼狽売りを繰り返す人は結果として小さな損失を積み重ねてしまい、なかなか利益を得ることができません。
失敗⑥無計画な売買で手数料がかさむ
国内のFX会社では、取引手数料を無料としていることが一般的ですが、実際は「スプレッド」というコストを投資家が負担しています。
スプレッドとは売値と買値の差額のことで、買い・売りのどちらでも発生するコストです。ただしスプレッドは目に見えるコストではないため、あまり費用を負担している意識は持ちにくいかもしれません。
とはいえ、無計画に売買を繰り返していると、その都度スプレッドがかかることとなります。利益を出すためにはスプレッド以上の値幅を取る必要があるため、何度も売買を繰り返している人は手数料負けしてしまうことにもなりかねません。
3.FXで失敗しないための対策
FXで失敗しないためには、過去の失敗談を活かして対策を講じることが大切です。ここからは、なるべくリスクを低減するための対策を5つ紹介していきます。
対策①売買のルールを作る
FXを始めるときは、必ず取引のルールを定めましょう。特に、次の3点は必ず事前に決めておきたいポイントです。
・損切りを行う水準(〇%損失が出たら決済する) ・利益確定を行う水準(〇%利益が出たら決済する) ・レバレッジをかける倍数(レバレッジは〇倍まで) |
そしてルールを決めたら、必ずその決まりに従うことが大切です。
たとえば利益確定を行うとき、どうしても「もう少し持っておけばさらに儲かるのでは?」と欲を出してしまいます。たしかに、市況によってはさらに利益を狙える可能性もあるでしょう。しかし、資産運用ではさらなる利益を追求するより、損失を抑えることの方が重要です。
利益確定のタイミングをはかっているうちに相場が変動し、あっという間に含み損へ転じることもあります。「あの時利益確定していれば……」とならないためにも、あらかじめ決めたルールは必ず守って取引を行いましょう。
対策②取引に回す資金を決める
投資ルールを決めるときは、取引に回す金額も決めておきたいポイントです。
FXに限らず金融商品の取引は、当面使う予定のない余裕資金で行う必要があります。もし取引に回す金額を決めていなければ、「どんどんポジションを増やしてしまって、生活資金が足りなくなった」ということにもなりかねません。
まずは、自分の資産全体を把握し、そのうち「いくらだったらFXに回しても問題ないか」ということを明確にしたうえで取引をスタートしましょう。
対策③テクニカル分析を身につける
FXでは、勘や感覚だけで利益を狙うことはできません。「何となく」で決めたエントリーだけで利益が狙えるほど、簡単な取引ではないのです。
きちんと根拠を持って売買するためには、テクニカル分析の技術を身につけることが欠かせません。テクニカル分析と聞くと、「難しそう」、「自分にはハードルが高い」と思ってしまいますが、FX会社はテクニカル分析のためのツールを提供していることも多く、中には初心者向けのツールもあります。
むしろテクニカル分析を行うことで相場が見やすくなるため、ぜひ積極的にチャレンジしてみましょう。
対策④低レバレッジ取引から始める
国内のFX会社では、最大25倍までのレバレッジがかけられます。レバレッジが大きいほど資金効率が良くなるため、「最大レバレッジで取引したい」と考える人も多いかもしれません。
しかし、ハイレバレッジは大きな利益を狙える分、発生する損失も大きくなりますので、初心者のうちは低レバレッジの取引から始めることがおすすめです。
最初はいきなり大きな利益を狙うのではなく、FXの取引に慣れることを重視して取り組みましょう。
対策⑤証拠金の管理を行う
レバレッジをかけて取引する場合は、証拠金の管理を行うことが重要です。FX会社では「証拠金維持率」というものが定められており、必要な証拠金の水準を下回ると強制的にポジションを決済されてしまいます。
この強制ロスカットは、投資家の損失を最小限に留めるために必要な仕組みであるものの、その後相場が回復すれば「あのとき強制ロスカットされていなかったら、今頃利益が出ていたのに……」というケースもあります。
なるべく強制ロスカットを避けながら取引を続けるためには、随時必要な証拠金が足りているかチェックするようにしましょう。
4.FXはリスク対策をしっかりと行うことが大切
FXではレバレッジをかけた取引ができることから、中には大きな損失を抱えるトレーダーも見られます。なるべくリスクを低減しながら利益を狙うためには、過去の失敗談から適切な対策を講じることが大切です。
これからFXを始める人は、ぜひ本記事で紹介した5つの対策法を取り入れてみてください。
ウルトラ金融大全が動画で見れる!
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この記事を書いた人
ライター
椿 慧理(つばき えり)
銀行を10年間勤務し経験を通じて得た金融知識を活かし、金融ライターとして独立。
金融商品やマーケットの解説、税制解説など初心者にも分かりやすい記事を手掛ける。
自らも12年の投資経験を持ち、国内外株式、投資信託、暗号資産を運用中。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、内部管理責任者
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