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実質賃金とは?減少傾向なら副業すべきか!別のお金の増やし方
ロイター通信で伝えられている実質賃金の低下は、2023年5月分の実質賃金でも低下が示されています。
厚生労働省が定期的に公開している「毎月勤労統計調査」によると、実質賃金は令和4年から14カ月間連続でマイナス傾向です。データ参考:※1
ロイター通信では、実質賃金がマイナス傾向な要因は、消費者物価指数の上昇にあると伝えています。データ参考:※2
物価高が課題となる昨今では、政府による国内企業への賃上げ要求が注目されています。ところが2023年5月の時点で実質賃金の低下が続いている状況です。
ちまたで騒がれている実質賃金とは、どのような仕組みで判断しているのでしょうか。今回は、実質賃金の上昇や低下をテーマにしてみました。賃金が上がる見通しはどこにあるのか?深掘りしてみましょう。
実質賃金が減少のままでは、会社の給料以外で収入を得ることも必要です。今回のお話は、「実質賃金減少への対策として副業は実際に有効なのか?」について、公的機関や専門機関の情報を役立てて解説しています。ぜひ、ご一読ください。
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目次
実質賃金とは
実質賃金には、算出方法があります。実質賃金といえば、労働者が雇用主から受け取る給料の平均金額のことではありません。実際もらっている給料と思いがちですが、給料は名目賃金にあたります。実質賃金は、雇用種から受け取った名目賃金と消費物価指数にもとづいて算出します。
実質賃金=名目賃金÷物価上昇率(消費者物価指数)
消費者物価指数
総務省統計局によると、消費者物価指数は物価の変動を時系列であらわした測定値のことです。物価上昇率は、消費者物価指数であらわします。対象となる消費は、全国の世帯による購入行動やサービス利用の行動結果の平均値です。データ参考:※3
日本では実質賃金が上昇しているの?それとも低下しているの?
日本では、春闘効果で企業の賃上げが多少なりとも改善傾向に向かっている様子ですが、そもそも微小の賃上げでは、物価上昇に追いついていません。冒頭でも触れたロイター通信信の情報からも、2023年5月の実質賃金は低下のままです。参考データ:※1
日本では、実質賃金が上昇どころか低下しています。わが国では、実質賃金が上がらないと、労働市場の平均賃金も低いと判断される仕組みです。つまり、物価が上がれば、その上昇に合わせた企業の労働賃金も上がらないと家計への影響が考えられます。
実質賃金は、名目賃金(実際に受け取っている給料)ではなく、現状の給料の値打ちをあらわします。その観点から言うと、実質賃金は低いと判断できるでしょう。
この考え方からは、物価の上昇とともに給料を上げる必要があると決めつけているとも考えられます。もしくは、物価の上昇と賃金の上昇は連動しなければいけないという認識です。
実質賃金が上がらない理由
さまざまな機関において、日本の実質賃金が上がらない理由を解説しています。前日銀総裁の黒田氏は、「現下のインフレは賃金上昇をともなわない」と言及しています。その説明ともなるロジックは、「円安は実質賃金を下げる」という考え方です。
第一生命経済研究所のコラムによると、円安で輸出企業の業績が伸びることが取り上げられています。円安は、企業にとって輸出数量が増えることで売上増加も見込めるという判断です。企業は、輸出量増加に携わった人材を現有リソースで行った場合、賃金の上昇分にも充てられます。しかし、円安でも輸出量増加が見込めないときは賃上げに踏み切るのは時期尚早となるかもしれません。データ参考:※4
また、同社のコラムには日本の賃金が硬直化している点も指摘しています。ここで指摘している賃金を上げられない理由は、次のとおりです。
- 不況になっても雇用を守る企業体質
- 不況になっても所定内給与をそれほど下げない安定重視型
- 市場が好況になってもすぐに賃金を上げないリスク回避型
これらの要因が賃金の硬直化を引き起こしている状況です。日本の経営者が賃上げに慎重なことは、景気の動向なども影響しています。データ参考:※4
賃金が上がらなければ副業・兼業も
当然のことながら、勤め先の給料が上がらなければ勤務時間以外のプライベート時間を使った収入確保が必要です。賃金が上がらなければ副業・兼業に時間を使うことは自然の流れとも考えられます。
ただし、本業に籍を置いた状態での副業は注意が必要です。雇用契約を交わす際の就業規則に「副業禁止」が定められていれば、雇用先とのトラブルも考えられます。しかし、働き方改革により副業を認める企業も増えている状況です。
副業禁止
副業は、「なぜ禁止になるのか?」を、法律事務所の見解から判断してみましょう。公務員の副業は、法律(国家公務員法・地方公務員法など)で制限されているためできない立場になります。法律上で副業が制限されている理由は、まとめると以下のとおりです。
- 公務員は国民全体の奉仕者である
- 公務員は特定の業種に利益を与えることが望ましくない
これら2つの立場に当てはめて考えると、公務員の副業は妥当ではないという判断になります。人事院(国家公務員の場合)や任命権者(地方公務員の場合)の承認がなければ、具体的に禁止されいます。
- 営利企業の役員などの兼業:利益追求型の企業で役員をはじめとする従事者になれない
- 営利企業の自営の兼業:利益追求型の企業を自ら立ち上げられない
- 報酬を得て事業または事務に従事する行為(地方公務員のみ):外部企業から報酬を得て事業や事務などができない
アディーレ法律事務所によると、民間企業の場合は社員の副業を法律で禁止していないと伝えています。そのため、各企業が就業規則などで副業についてルールを設定しています。たとえば、許可申請のうえで副業できたり、禁止されたりとさまざまです。企業は、次の理由で副業を禁止しているとのことです。
- 社員の過重労働につながるため
- 社員の長時間労働を助長するため
- 会社のノウハウや情報の流出を防ぐため(社外秘)
- 副業先による法律違反があった場合の企業イメージ低下を防ぐため
- 本業の就業時間中の副業行為を防ぐため
- 本業で得た人脈や知識の活用を防ぐため
- 本業と副業で利益相反を起こす可能性があるため
- 副業が本業となる人材流出につながるため
企業は、社員に対してこれだけの不安要素を抱えています。それだけに安全策をとれば、就業規則で副業禁止と定める企業も一定数存在します。データ参考:※5
副業している人の割合(2022年8月調査:単位%) |
|
副業していない |
73.4 |
副業を検討中 |
18.4 |
副業をしている |
8.2 |
会社が副業を許可している割合(2022年8月調査:単位%) |
|
認められている |
25.3 |
不明 |
24.8 |
禁止されている |
49.8 |
2022年8月の統計調査によると、会社が副業禁止のため、副業していない人の割合は7割以上となっています。
実質賃金減少で副業禁止に対策はあるのか
実質賃金が低いままでは、明らかに支出が増えて手元のお金も目減りします。そのため、手っ取り早く副業で収入を増やそうとしても会社の都合でなかなか始められないという問題が立ちはだかります。
このような実質賃金減少で副業禁止の状態に対策はあるのでしょうか。
一般的に資産運用は副業ではない
お金を増やす手段として考えられる方法は、資産運用です。資産運用であれば、会社勤めしていても影響を及ぼさないお金の増やし方だと言えるのではないでしょうか。
副業の場合は、何かトラブルがあったときに対応で本業への影響もないとは言えません。トラブルへの対応で本業を休むことになれば、どちらも予定どおりに進まなくなるでしょう。
資産運用の場合は、金融商品などを購入して保有しているだけです。そのため、本業に影響を及ぼすことはないでしょう。だけど、資産運用は難しいと思っていませんか。確かに経験がなければどのように始めて良いか見当がつきませんよね。
資産運用は、どのように始めれば良いかではなく、資産運用の方法を知ることから始めてみて「自分でもできるかどうか」が知るべきことではないでしょうか。
実質賃金の上昇を待つ以外にお金を増やす方法を考えよう
お金を増やすことは、お金を生かすことでもあり、どのように活用するかで大きく変わってきます。副業禁止を就業規則で定めている会社では、賃金の上昇が社員の死活問題です。
会社が賃金アップに前向きではない理由は、本文でも紹介したとおり、景況に関係なく安定した給与設定を維持している企業体質が考えられます。もちろん不況になっても、賃金を下げない点は安心材料でもありますが、現在の物価高で賃金据え置きではなかなか厳しくなるでしょう。
そこで考えられる副業は、会社の就業違反に触れる内容であればおすすめできません。副業以外で収入を増やす方法は、資産運用です。資産運用は一定の期間、専門家にお金を預けておくことで増える仕組み。未経験者の場合は、少額投資非課税制度(NISA)などが注目されています。
NISAの場合は、投資の専門家にお金を預けて長期運用するお金の増やし方です。お金を増やすには、専門家の活用や運用の流れなども理解しなければなりません。そのため、運用する金融商品についての学習は必要です。学んだうえで自分に最適なお金の増やし方を見つけましょう。
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参照元URL:
※1:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年5月分結果速報」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2305p/2305p.html
※2:ロイター通信「5月実質賃金1.2%低下、春闘効果でマイナス幅縮小=毎月勤労統計」
※3:総務省統計局「消費者物価指数(Cpi)」
https://www.stat.go.jp/data/cpi/
※4:株式会社第一生命経済研究所「なぜ、実質賃金はマイナスなのか?」
https://www.dlri.co.jp/report/macro/211163.html
※5:アディーレ法律事務所「Lega-Life Lab.」
https://www.adire.jp/lega-life-lab/no-side-business305/#lwptoc2
この記事を書いた人
ライター
江戸利彰(えどとしあき)
ビジネス系の記事執筆を生業として取り組むライター。
累計800記事ほどの納品を経て、現在も日々の執筆から「情報の伝え方」をブラッシュアップしています。
ソースをしっかりと取る記事作りをモットーとしており、正確な情報提供に努めています。
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