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投資初心者は単元未満株がおすすめ。メリット・デメリットとは?
単元未満株は少額投資から始められるため、初心者にもおすすめの取引方法です。ただし、単元未満株に投資する際は、あらかじめ注意しておきたいポイントがあります。この記事では、投資初心者が単元未満株に投資するメリット・デメリットや銘柄の選び方について解説していきます。
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目次
1.単元未満株とは?
単元未満株とは、1単元に満たない端数の株式のことです。日本の株式取引では「単元株制度」が採用されており、100株単位ごとに売買取引を行います。
しかし、株価の水準によっては、1単元での取引が高額となるケースがあります。そこで個人投資家の取引のハードルを下げるために、各証券会社は単元未満株、つまり1株単位で取引できるようにしています。
証券会社によっては「S株(SBI証券)」や「ワン株(マネックス証券」」など独自の名称をつけていることもありますが、いずれも単元未満株での取引を指すものです。
2.単元未満株に投資するメリット
単元未満株に投資するメリットとして、主に次の4点が挙げられます。
①少額投資から始められる |
ひとつずつくわしく解説していきましょう。
メリット①少額投資から始められる
単元株制度では、株価の水準によっては取引価格が高額となるケースがあります。たとえば、ユニクロを展開するファーストリテイリングを例に考えてみましょう。
ファーストリテイリングの株価は、2023年7月11日の終値で3万4,630円であるため、1単元を購入するのに約350万円もの資金が必要となります。
1単元を購入するのに数百万円もの資金が必要となるのは、これから株式投資を始めようとしている人にとってはハードルが高いでしょう。しかし、単元未満株では1株単位で売買できるため、少額投資からスタートすることが可能です。
ここでは、1株を1万円以下で購入できる銘柄を紹介しましょう。
銘柄(証券コード) |
株価(2023年7月11日終値) |
トヨタ自動車(7203) |
2,211円 |
ソフトバンクグループ(9984) |
6,751円 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) |
1,052円 |
メルカリ(4385) |
3,473円 |
任天堂(7974) |
6,257円 |
誰もが知るような大企業の株式を1万円以下で購入できるのは、単元未満株ならではのメリットです。
メリット②配当金を受け取れる
単元未満株は、配当金を受け取れることも魅力のひとつです。日本株の中には、年に1~2回配当金を出す銘柄があり、単元未満株を保有している人も受け取る権利を持っています。
たとえば、高配当銘柄としても知られる日本たばこ産業(JT)は、2022年度の中間配当で75円、期末配当で113円の配当金を出しており、直近配当利回りは6.19%です。
「配当金を受け取りたいけど、なかなか1単元を買うのはハードルが高い」、「コツコツ配当銘柄を増やしていきたい」という人は、単元未満株で配当銘柄に投資することを検討してみましょう。
メリット③異なる銘柄に分散投資できる
投資の基本のひとつに、「分散投資」があります。異なる資産に分散投資することでリスクが低減されるため、株式投資でも複数の銘柄に分けて投資することが推奨されています。
しかし、1単元を購入するのに数十万円もの資金が必要となる場合、運用資金によっては分散投資する余力がないこともあるでしょう。
その点、単元未満株であれば1銘柄あたりの購入資金が少なくて済むため、少額投資であっても複数の銘柄に分散投資できます。
仮に、先ほど「メリット①少額投資から始められる」で紹介した5銘柄を1株ずつ購入したとしても、必要な資金は1万9,744円(手数料別)です。単元未満株に投資する際は、ぜひ複数の銘柄に分散投資することも検討しましょう。
メリット④発生する損失が限定的
単元未満株のような少額投資では、発生する損失が限定されることもメリットのひとつです。
たとえば、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドを例に考えてみましょう。オリエンタルランドの株価は、2023年7月11日終値で5,568円です。
仮にここから10%下落した場合、1単元購入したときの損失は次の通りとなります。
【約定代金】 5,568円 × 100株 = 55万6,800円 【株価が10%下落すると】 5,011円 × 100株 = 50万1,120円 【発生する損失】 55万6,800円 – 50万1,120円 = 5万5,680円 (※手数料は考慮しないもの) |
では、1株を購入したときの損失はどうでしょうか。取引額は単純に100分の1となりますので、556.8円の損失で済むことが分かります。
「いきなり大きな損失を抱えることが怖い」という人は、まず単元未満株からチャレンジしてみるとよいでしょう。
3.単元未満株に投資するデメリット
多くのメリットがある単元未満株ですが、一方で次のようなデメリットも存在します。
①大きな利益は狙えない |
ひとつずつ確認していきましょう。
デメリット①大きな利益は狙えない
前章にて単元未満株は損失が限定されることを伝えましたが、これは裏を返せば得られる利益が小さいことでもあります。
先ほどのオリエンタルランドの例を、そのまま「10%値上がりしたとき」として考えてみましょう。1単元購入した場合は5万5,680円の利益が得られますが、1株の場合は556.8円の利益です。
そのため、「単元未満株でFIREを目指す」、「単元未満株で資産を倍にする」といったことは難しいでしょう。あくまで、少額で株式投資を楽しむ手段として捉えることがおすすめです。
デメリット②リアルタイムでの売買ができない
単元未満株で注意したいのが、「リアルタイムでの売買ができない」という点です。
単元未満株の取引ルールは証券会社によって異なりますが、多くの証券会社では市場へ発注するタイミングが限られています。SBI証券の場合は1日3度の発注、マネックス証券は1日1度となっているため、市場動向によっては「注文を出したときと大きく相場が変わってしまった」ということも珍しくありません。
したがって、単元未満株で売買を行うときは、なるべく大きな経済イベントがない日や、市場の動きが緩やかな日を狙うとよいでしょう。
デメリット③注文方法は成行注文のみ
単元未満株は、注文方法についても注意が必要です。通常の株式取引は「指値注文」や「成行注文」など豊富な注文方法がありますが、単元未満株では成行注文のみとなっています。
指値注文のように「株価が〇円のときに売却する」といった指定ができないため、細かい値動きを見ながら取引を行いたい人にとっては不便に思えるかもしれません。
特に、取引量が少ない銘柄の場合は想定外の価格で約定する可能性もありますので、できれば流動性の高い銘柄を選ぶ方がよいでしょう。
デメリット④基本的に株主優待を受けられない
株式投資をする目的に、「株主優待を利用したい」という人も多いかもしれません。しかし、多くの企業では1単元から株主優待を利用できるようになっており、単元未満株の保有では株主優待を受けられないことがあります。
そのため、株主優待を目当てに投資をする場合は、「何株から株主優待が利用できるか」ということを必ずチェックしておきましょう。
ただし、銘柄によっては1株の保有でも株主優待を利用できるケースがあります。ここでは、その一例を紹介しましょう。
銘柄(証券コード) |
優待内容 |
パソナグループ(2168) |
・パソナグループ 淡路島飲食施設30%OFFクーポン |
いちご(2337) |
Jリーグの試合観戦チケット |
リコー(7752) |
カメラなど自社製品の優待販売 |
単元未満株の投資先を選定するときは、株主優待の内容から選ぶのもひとつの方法です。
4.単元未満株はどんな銘柄がおすすめ?
初めて株式投資に取り組む人の中には、銘柄選定に苦手意識を持っている人も多いでしょう。単元未満株では、次のようなポイントを意識して銘柄を選定することがおすすめです。
・長期投資に適した銘柄 |
ひとつずつ解説していきます。
長期投資に適した銘柄
単元未満株に限らず、投資の基本は長期投資です。
中には、旬な話題や一過性の流行に乗って、短期売買で利益を狙う方法もあります。しかし、投資初心者がそういった市場の動きを予測するのは難しいといえます。
投資に慣れるまではセオリー通り、長期投資を前提とした取引に取り組みましょう。
配当金が受け取れる銘柄
前述の通り、単元未満株では配当金を受け取ることができます。「投資の楽しみが欲しい」という人は、配当金が出る銘柄を選ぶのもひとつの方法です。
また、配当金を目当てに投資する際は、過去の配当金推移に注目することが大切です。直近の配当利回りだけに注目していると、中には「突発的な理由で高い配当金を出している」という銘柄も含まれてしまいます。
長く配当金を受け取るためには、「これまで増配を続けている銘柄」や「長期間連続で配当金を出している銘柄」を選ぶようにしましょう。
値上がり益が期待できる銘柄
単元未満株の取引コストは、通常の株式取引に比べて割高に設定されていることがあります。そのため、「少しの値動きでは利益を取れない」ということも珍しくありません。
単元未満株でしっかりと利益を出すためには、長期的に値上がりを期待できる銘柄を選定することが大切です。日々の経済ニュースに触れながら、「今後どういった銘柄が伸びるか」ということを自分なりに考えてみましょう。
なお、最近では、単元未満株の取引コストを下げている証券会社も多くあります。取引を始める際は必ず複数の証券会社を比較してみましょう。
5.まとめ
少額投資から始められる単元未満株は、初心者でもチャレンジしやすい取引方法です。1単元では手を出しにくい銘柄も、1株からなら気軽に投資できるでしょう。
中には、配当金や株主優待を受けられる銘柄もありますので、投資の楽しみとして単元未満株を始めることを検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
ライター
椿 慧理(つばき えり)
銀行を10年間勤務し経験を通じて得た金融知識を活かし、金融ライターとして独立。
金融商品やマーケットの解説、税制解説など初心者にも分かりやすい記事を手掛ける。
自らも12年の投資経験を持ち、国内外株式、投資信託、暗号資産を運用中。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、内部管理責任者
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