ウル金ムービーはこちら

公開日:

相続

口座名義人が死亡すると銀行口座は凍結される?

口座名義人が死亡すると銀行口座は凍結される?

・・「口座名義人が死亡すると、直ちに銀行口座が凍結される」といったことを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。もし、銀行口座が凍結されてしまえば、名義人の預貯金を引き出すことができません。

人が死亡すると、葬儀を行うため数百万円程度の高額な支出が発生します。そういった状況下で、預貯金を自由に引き出すことができなければ、頭を抱えてしまうことでしょう。

そこで今回は、口座名義人が死亡した場合の取り扱い方法や口座凍結解除の流れ、葬儀費用の事前準備方法について解説します。

ウルトラ金融大全が動画で見れる!
お金の事が分かる!増やせる!無料動画が公開中!

【結論】名義人が死亡してもすぐに口座凍結されない

「銀行口座の名義人が死亡した場合、口座が凍結されて現金を引き出すことができなくなる」と聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、実際は死亡直後に凍結されるわけではありません。

一般的には、銀行側が名義人の死亡を把握した時点で凍結される仕組みになっています。そのため、死亡直後の場合は、葬儀費用などを目的として現金を引き出すことも可能です。

まずは、銀行口座名義人が死亡して口座が凍結される仕組み・流れを詳しく解説します。

相続人が銀行に申し出を行った場合に凍結される

口座名義人が死亡して口座が凍結されるタイミングは、銀行が死亡を把握した時点です。一般的には、相続人等が銀行に名義人が死亡したことを伝えた時点で口座が凍結されます。

仮に、親族が銀行に報告をしなかったとしても、以下の方法で銀行が死亡を把握することがあります。

  • 地域新聞等の訃報として記載
  • 回覧で確認
  • 銀行が「おかしい」と感じて確認した場合

とくに地域活動が活発なところでは、訃報が噂になって広まったり何らかの形で広く知られたりするような仕組みがあります。そういった方法で銀行関係者が死亡を把握すると、口座は凍結されます。

また、普段から頻繁に取引のある人が急に取引を行わなくなった場合、銀行が「おかしい」と判断して確認し、死亡が発覚する可能性もあります。いずれかの方法で銀行が「死亡を確認したタイミング」で銀行口座は凍結されます。

誤解されがちですが、地方自治体や病院等と銀行がつながっているような仕組みはありません。

【要注意】名義人死亡時は銀行への届出が必要

口座名義人が死亡しても、基本的には銀行への報告義務はありません。つまり、銀行側へ「名義人が死亡しました」と報告しなくても、何ら法的な罰則やペナルティはありません。
しかし、その後の相続手続きを行うためには、銀行へ報告をして手続きを行う必要があります。相続手続きを行うために銀行へ死亡を報告した時点で、一時的に口座が凍結されます。

銀行口座凍結〜解除までの流れ

銀行口座が凍結されてから、実際に引き出せるようになるまでの流れは以下のとおりです。
1. 死亡届提出後に手続きを開始・口座凍結
2. 「口座凍結解除依頼」の提出
3. 口座凍結に必要となる書類を提出
それぞれ詳しく解説します。

1.死亡届提出後に手続きを開始・口座凍結

人が死亡した場合は、死亡してから7日以内に死亡届を市区町村役場へ提出しなければいけません。この手続きを行わなければ、後に預貯金等の相続手続きを行うことができないため、必ず行います。

【ポイント】

市区町村役場へ死亡届を提出したとしても、銀行へ連絡が行くことはないため、銀行口座凍結に影響はありません。

死亡届を役所へ提出しなければ、相続手続きを開始できません。そのため、初めに死亡届を提出し、受理されてから預貯金等の相続手続きへ移行します。

銀行へ名義人が死亡した事実を伝える義務はありませんが、相続手続きの開始をするためにはかならず報告をしなければいけません。銀行に対して相続手続きの開始の依頼をした時点で口座は凍結されます。

2. 銀行へ「口座凍結解除依頼」を行う

名義人の死亡により、銀行口座が凍結された場合は銀行に対して「口座凍結解除依頼」を行いましょう。依頼方法は、書面で行う場合や直接伝える場合など、各銀行によって異なります。
口座凍結解除依頼を行うと、銀行側から凍結解除に必要となる書類が提示されます。提示された書類を銀行へ提出すると、不備がなければ口座凍結が解除される流れです。

3. 口座凍結解除に必要となる書類を提出

口座凍結に必要となる書類は、相続人によって異なるため銀行側から提示されたものを用意しなければいけません。一般的に口座凍結解除に必要とされる書類は以下のとおりです。
・口座名義人の通帳・キャッシュカード・印鑑(銀行印)
・ 遺言書(ある場合のみ)
・ 遺産分割協議書(ある場合のみ)
・検認調書もしくは検認済証明書
・口座名義人の戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
たとえば、遺言書の有無や遺産分割協議の有無など、凍結解除依頼者それぞれによって異なります。そのため、上記はあくまでも一例として考えてください。実際に必要となる書類は、銀行側から提示されます。

名義人死亡確認後に銀行が口座を凍結する理由

名義人が死亡した際に銀行口座が凍結される主な理由は、相続トラブルを回避するためです。
口座名義人が死亡すると、本人の意思に関わらずキャッシュカードや通帳を持っている人が自由に預貯金を引き出すことができてしまいます。もし、他の相続人へ相談することなく勝手に預貯金等を引き出してしまえば、トラブルに発展するでしょう。中には、銀行側に対して「なぜ引き出しを止めなかったのか」という人がいるかもしれません。そういったトラブルを事前に回避する目的から、口座名義人の死亡を確認した時点で口座を凍結する仕組みになっています。

名義人死亡時にかかる費用と資金準備の対処法

人が死亡した場合は、すぐに葬儀等の準備を始めます。葬儀には、平均100万円〜200万円程度かかるため、銀行口座を凍結されることによって費用の用意が難しくなる可能性もあるでしょう。
次に、葬儀費用の相場と費用を準備する方法や事前対策について詳しく解説します。

葬儀費用相場は100万円〜200万円

一般的な葬儀にかかる費用の相場は100万円〜200万円程度です。しかし、葬儀費用は葬儀の形式や規模によっても大きく変わります。そのため、故人の希望や予算を決めた上でどういった形で葬儀を行うのか決定しましょう。
葬儀の形式と平均的な費用は以下のとおりです。

葬式の形式

規模

費用

一般葬

中規模〜大規模

100万円〜200万円程度

家族葬

小規模(家族〜親しい友人)

100万円程度

1日葬

選択可能

100万円以下

直葬・火葬式

小規模

50万円程度

亡くなられた人によっては、参列者も増えるため葬儀費用も高額になります。あらかじめ用意をしたり対策をしたりしておいたほうが良いでしょう。

【対処法】葬儀費用を準備する方法

葬儀費用は一般的に100万円〜200万円程度かかります。もし、「葬儀費用は死亡した人の口座から引き出す予定だった」という場合、口座凍結により葬儀費用の準備ができなくなる可能性があります。
口座から引き出すことができなければ、家族等で出し合って費用を用意するしかありません。しかし、数百万円の大金をすぐに用意するのは難しいでしょう。そのため、葬儀費用は以下の方法で準備を検討されてみてはいかがでしょうか。
・口座凍結前に引き出す
・ 仮払い制度を活用する
・ 生命保険で賄う
・葬儀保険・冠婚葬祭互助会へ加入しておく
それぞれ詳しく解説します。

口座凍結前に葬儀費用を引き出す

銀行口座が凍結されるタイミングは、銀行が名義人の死亡を把握した時点です。そのため、死亡直後などに葬儀費用のみを引き出しておけば、予定通り葬儀費用を準備できるでしょう。

ただし、この方法は以下のとおり注意しなければいけないことがあります。
・他の相続人とのトラブルに注意
・相続方法に注意
まず、他の相続人がいる場合はトラブルを防止する目的から、必ず全員に同意を得てください。また、必要であれば書面や葬儀費用の明細などを残しておくことが大切です。後から「〇〇が勝手に引き出した」などといったトラブルが起こらないように配慮しなければいけません。十分に注意してください。
2つ目の注意事項は、相続方法です。被相続人(死亡した人)の財産を一部でも使用した人は、単純承認したものとしてみなされます。

【単純承認とは?】

単純承認は相続方法の1つであり、マイナスの財産(借金等)もプラスの財産もすべて相続することを認める方法です。そのため、後から故人に借金が発覚した場合であっても、相続放棄ができないため、注意が必要です。

たとえば、故人の銀行口座からお金を勝手に引き出してしまった場合、引き出した人は単純承認したものとしてみなされます。
ただし、引き出した費用が葬儀費用だった場合、単純承認したものとはみなされません。「単純承認ではない」と認められるためには、必要な費用のみでなければいけないため、葬儀費用の領収書や収支表などを付けておきましょう。
上記を忘れてしまうと、「被相続人の財産に手をつけた=単純承認をした」とみなされてしまいます。注意してください。

仮払い制度を活用する

銀行口座が凍結されても、葬儀費用などを目的とした一部代金を引き出すことができます。仮払い制度を利用すれば、裁判所を経た手続きを行う必要がないため、スムーズに葬儀費用を準備できるでしょう。
なお、仮払い制度の利用は各金融機関に直接お問い合わせください。

生命保険でまかなう

死亡した人が生命保険に加入していた場合は、保険金を葬儀費用に充てても良いでしょう。
保険金は必要書類が生命保険会社へ届いてから、5営業日以内に支払われるところが多いです。
葬儀費用の支払いは、葬儀終了から1週間〜10日までに設定されていることが多いため、生命保険金が支払われてからでも間に合います。また、生命保険金は受取人の権利であるため、被相続人(死亡した人)の財産には該当しません。遺産分割協議等が済んでいない段階で使用したり、他の相続人に断りなく使用したりしても問題はありません。

葬儀保険・冠婚葬祭瓦助会へ加入しておく

あらかじめ葬儀保険や冠婚葬祭互助会へ加入しておけば、何かあったときの費用を用意できます。将来的なことを考え、早い段階から加入を検討して準備しておくと良いでしょう。

まとめ

今回は、名義人が死亡した場合の銀行口座の取り扱いについて解説しました。
名義人が死亡した場合であっても、直ちに口座が凍結されるわけではありません。タイミングは、銀行が死亡を把握した時点です。
また、名義人が死亡したことを銀行側へ届け出る義務もありません。しかし、相続手続きを行うためには、かならず届出を出さなければいけないため、必ず口座凍結は発生します。
口座が凍結されてしまえば、故人の財産で葬儀費用を用意するのが難しくなります。そのため、今回解説した内容を踏まえ、葬儀費用の準備や事前対策を検討されてみてはいかがでしょうか。

相続税対策をお考えの方は下記の記事もご覧ください。

相続税対策を不動産で行う

ウルトラ金融大全が動画で見れる!
お金の事が分かる!増やせる!無料動画が公開中!

この記事を書いた人

林 裕二

ライター

林 裕二(はやし ゆうじ)

2018年にFP2級技能士。金融系WEBライターとして活動。数多のメディアで金融系記事執筆や監修を担当し、読者のお金の悩みに寄り添ってきました。現在も人々の生活に関わる「お金」や、家計の「借金問題」などをメインとしながら記事執筆を行っています。

相続の記事一覧はこちら

ウル金ムービーはこちら

ウル金ムービーはこちら