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保険

「相談される側」が勉強を継続するべき、たった一つの理由

「相談される側」が勉強を継続するべき、たった一つの理由

筆者は、普段割とぱっぱらぱーです。
ノリは軽いし、適当だし、隙あらばサボりたい。
しかし、たまたま出会った仕事がぱっぱらぱーでは許されない仕事だったこともあり、残念ながらあまりサボれる環境にありません。

私がやらせてもらっている仕事は、誰かを救うことができる仕事です。
だからこそ、私がサボることで、誰かを救えなくなる可能性があります。

「相談される側」になるなら、その責任を全うしなければいけないと強く思っているのです。
こんな偉そうなことを言っている私も、かつて大失敗を経験したことがあります。

今の私は、あの大失敗を胸に刻んで生きているので、まじめにやれているだけなのかもしれません。
今日は、自分の戒めのためにも、私の大失敗語りをしようと思います。

お付き合い頂けたら幸いです。

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「知識がないは悪である」

「知識がないのは悪だから」これは私がまだ保険ショップに入ったばかりのころ、先輩から言われた一言です。

お客様との商談が上手くいかず、先輩からフィードバックをもらっている際の発言でした。この言葉、私は今でもすっごく心に刺さっています。
なにせムカついたのです。

「うっるせ~~」と心の中で思いました。

「私は今、商談が上手くいかなくて落ち込んでるのに、なんでそんな追い込むんだよ!」と心の中で悪態をつきます。自分勝手な意見ですが、ともかくも当時の私はそう思ったのでした。

自分なりに勉強したつもりだし、一生懸命準備もしました。
練習通りにやれたと思ったし、完璧だったはずです。でも、途中で予想外の質問を受け、化けの皮が剝がれてしまいました。
そこからは土石流のごとくグダグダになり、思った通りにはできなかったのです。

私にも言い分がありました。

「教えてもらったとおりにやったし、頑張って練習したし、与えられたところは完璧にできたじゃん!予想外の質問も先輩が教えてくれなかったし!私のせいじゃないし!」と言うような感じです。

私は自分の思ったことが全く隠せないので、恐らく顔に「全く納得いきません!!!」と書いてあったのでしょうね。
先輩はその後、私に一言だけ言いました。

「もしあのお客様が明日死んでしまったらどうするの?」

すでに私の心の中は反発心でいっぱいで「んなわけないじゃん!」としか思いませんでした。

実際にそのお客様が亡くなることはなかったし、私からでなくとも他のショップで保険に加入したのではないかと思います。

ここで先輩の言葉をしっかりと理解し、改善すればよかったものを、私はかみ砕こうともせずスルーしてしまいました。案の定私は、その後とっても痛い目に遭うのです。

保険ショップの「推奨商品」とは

私の大失敗経験をお伝えする前に、保険ショップの「推奨商品」についてご理解いただく必要があります。
さらりと書きますので、お付き合いください。

保険ショップには、多数の企業からかなり多くの商品が集まります。
保険会社だけでも40社以上ありますから、全ての商品をかき集めると100商品以上はあるでしょう。

全ての商品を説明すると、流石にお客様もパンクしてしまうので、保険ショップではまず「推奨商品」をご説明します。
これは保険ショップ全体に定められたルールです。
推奨商品は各保険ショップが独自で決定することができます。
とはいえ、推奨商品は多くの場合、保障内容がよく巷で人気が高いものが選ばれる傾向にあります。

推奨商品のみのご説明でも、お客様が十分に満足されることがほとんどです。
必然的に、商品研究をする際は、推奨商品を優先することになります。
正直なところ、新人から中堅に差し掛かったとしても、推奨商品以外の商品のことを勉強する時間はあまり取れません。
がん、医療、貯蓄、死亡など、全てのカテゴリの推奨商品だけでも相当な数があるため、手が回らないのです。
推奨商品のご説明でお客様が満足されれば、それ以上のことは分からなくても業務自体はこなせます。

私は推奨商品以外の商品知識があまりない状態でも、特段問題を感じたことはありませんでした。
むしろ、選ばれた商品たちはどれも保障内容がよく、推奨商品以外の勉強をしようとすら思ったことがなかったのです。

ルールに則った「正しい」ご説明

大変お待たせいたしました。いよいよ本題です。

あれは新人を脱し、商談が上手くいき始めていたころのこと。
少しずつではあるものの、私は実力がついてきていることを実感できるようになっていました。
そんなある日、H様というお客様が来店され、がん保険に加入するか迷っていると相談を受けることになったのです。

色々お話を伺うと、「最低限しか加入できなくてもいい、少額でいいから何か商品はないものか。」といったご相談でした。
私はH様に「推奨商品」をご説明します。
当時働いていたショップでは、がんの推奨商品は4商品ありました。
それぞれタイプも違っていたので、バランスのよい提案だったはずです。
しかし、金額がどれも高く、H様の希望予算には合いません。

H様の想定していた保険料は、相場の半額程度でした。
どんなに少額の保障で設計しても、H様の想定よりは高くなってしまいます。
私も少し粘ってはみましたが、H様は保険料が上がることを良しとされず、結果的に保険加入を諦めることになりました。
私としてもH様としても残念なことでしたが、無理強いするつもりはありませんでした。

「また新しい商品が出たらご連絡しますね」
そう言って商談は終了しました。

私の商談はルールに則った「正しい」説明であり、何も問題ありません。
H様も残念そうではありましたが、商談の満足度は高く、お金に余裕が出たら加入しに来るとまで言ってくれていたのです。

私は、H様に十分な提案ができたと思っており、商談自体にも満足していました。

「あの時、加入しておけばよかった」の衝撃

半年後、フラッとH様が来店されました。
私は保険に加入できるようにでもなったのかとウキウキご挨拶します。
しかし、事態は予想しない方向に進んでいました。

「私ね、がんになったの」

衝撃を受けました。
だって半年前までは、「今まで何の病気もしたことがない」と言っていたからです。
「幸い、ステージ1で見つかったから、完治の可能性は高いのよ。でもね…お金が結構かかりそうなの。がんになってしまったら、もう保険には加入できないのよね?」

がん罹患した場合、寛解してから5年など、再発の見込みがかなり薄くなってからでないと加入できません。
加入制限もかなり厳しくなるので、ご高齢のお客様は新たな保険加入がかなり難しくなるのが実状でした。
私は絞り出すように答えます。

「今すぐに…ご希望に叶う商品をご紹介するのは…難しいと思います。」

「そうよね…。自分が選んだことだから仕方ないんだけど…。あの時、加入しておけばよかった。少し無理してでも。加入しなかったことをとても後悔したのよ」

そう言って、H様はとぼとぼと帰って行かれました。

「知識がないのは悪だから」

ここにきて先輩のあの言葉が蘇ります。

「もしあのお客様が明日死んでしまったらどうするの?」

先輩が言っていたのは、こういうことだったのだと理解しました。
もしもあの時、私に推奨商品以外の商品知識があったら、H様の希望に合う商品が見つけられたかもしれません。

もしもあの時、私がもっと熱心にH様に保障の大切さをお伝えし、保険に加入できていたら、今ごろH様はがん保険から給付を受けることができたかもしれません。
私の商談は、ルール上全く問題ありませんでした。

しかし、とぼとぼと帰られたH様に対しては、私の力は全く助けにならなかったのです。真面目にやってきたつもりだったけれど、私の知識不足がH様の不利益につながったのは明白な事実でした。

その事実に打ちのめされ、私はただ呆然とH様の背中を見送ったのでした。

やっぱり厳しい先輩

運の悪いことに、その日はあの厳しい先輩と二人きりでの勤務でした。
先輩が休憩から戻ってくると、青ざめた私が呆然としていたのでしょう。
先輩は私に何かあったのかと尋ねます。

私は、俯きながら全てを先輩に話しました。
さぞかし怒られることだろう。そう思って覚悟していましたが、先輩は一言だけ私に告げました。

「じゃあ勉強するしかないね」

私は少し拍子抜けしましたが、また暗い気持ちが心を覆います。

「もちろんします…。でもあのH様には何もお返しできなくて苦しいです」

「それはそうだよ。でも、これからのお客様も同じような状況にしちゃうことの方が、ずっと良くないことだと思う。だからうちらはやり続けるしかないんだよ」

そう言って先輩は立ち上がると、私の目の前に推奨商品以外のがん保険パンフレットをどさっと置きました。
「やるしかないんだから、今すぐやりなよ」
泣いたって何にもならないんだから、頭と手を動かせよ!
先輩にそう励まされた気がして、私はこれまで以上に集中して商品研究に臨んだのでした。

 

まとめ

あの出来事からは、言い訳がかなり少なくなったように思います。
どんなに忙しくても、どんなにできなくても、商談の前にはかなり綿密に準備するようになりました。
分からないことは後日、完璧に調べた状態でお伝えすることも徹底するようになりました。

それが、H様への贖罪だと思ったからです。
私は、H様に何もお返しすることができません。

私がどんなに頑張っても、H様のためにはなりません。
それでも、今後同じことを繰り返さないよう、勉強を続けるしかないと思っています。
私を含む「相談される側」は、いつだって懸命で、真剣で、真摯でなくてはならない。

手を抜いたつもりがなくても、知識がなければ役に立たないことがあるのだ、ということを痛いほど分からされた大失敗でした。

私たち「相談される側」が常にインプットを続けなくてはならないのは、相談してくださった方を助けるために他なりません。
昨日学んだ知識が、明日誰かの役に立つかもしれない。その可能性を信じて、私たちは今日も必死に勉強を継続するのです。

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この記事を書いた人

齋藤佑美

ライター

齋藤佑美(さいとうゆみ)

複数の大手メディアでコラムを執筆する2児の母。
FP上位資格のAFP、生命保険協会認定FP資格であるTLC取得。
女性に寄り添ったコラムが好評を得、週刊女性にて記事の監修を行う。
お金の知識や現場の体験を踏まえた記事に定評がある。


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