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不動産
住宅ローンの頭金はいくら必要!? 頭金の決め方と注意点を解説
夢のマイホームの購入にむけて踏むべきステップの1つに「頭金の計画」です。
最初にいくら支払うかによって住宅ローンの条件や将来の返済計画、さらには家族の生活にまで影響を及ぼします。
この記事では、頭金を入れることのメリットと適切な頭金の決め方についてみていきます。
頭金を決める際の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
頭金とは
頭金とは、土地や家を買う際に支払う自己資金のことです。頭金を住宅購入の一部に組み入れ、残りは住宅ローンなどでまかないます。例えば5千万円の家を購入する場合、頭金を20%とすると1,000万円を自己資金で支払い、残りの4,000万円を住宅ローンで借り入れることになります。
しかし、これから新しい生活を始めるにあたって、まとまった資金を頭金に使う必要が本当にあるのか疑問に感じる人もいるかもしれません。次項で頭金を入れるメリットについてみていきます。
頭金を入れることによるメリット
頭金を支払った場合のメリットは主に次の3つです。
・ローンの審査に通りやすくなる
・ローンの支払い利息が減る
・毎月の返済額が減る
以下で順にみていきましょう。
ローンの審査に通りやすくなる
金融機関や審査を行う保証会社は、自己資金を多くもっている人の方が「返済が滞るリスクが少ない」と判断するため、審査に通りやすくなります。頭金の額が多いと、金融機関はその人が金融的に安定しており、返済能力が高いと見なしやすくなるからです。
ローンの支払い利息が減る
頭金が多いほど借入額が減るため、利息総額も少なく済みます。
住宅ローンの借入利率はカードローンなどに比べて低く設定されていますが、そもそも借りる金額が大きいため、頭金の有無で返済総額に数百万円の差が生じることも少なくありません。
保証会社によっては借入額や借入期間に応じて保証料を算出しており、借りる金額が減少すれば保証料も抑えられるメリットもあります。
毎月の返済額が減る
頭金を入れることで、住宅ローンの月々の返済額が減少し、希望の返済期間でローンを組むことが可能になります。
住宅ローンを検討している人の中には、収入が安定している間に完済したい方も多いでしょう。子どもがいる場合は教育資金の準備が必要ですし、これから住宅にかかる修繕費などの積立も考えなくてはいけません。
月々の返済額が少ないと毎月の出費が減り、将来設計がしやすくなります。不景気やリストラなど、収入が減少したときにも対応しやすくなるでしょう。
適切な頭金の決め方は?
頭金の金額は、一般的な目安として物件価格の20%前後だと言われています。例えば、3,000万円の住宅を購入する場合は20%にあたる600万円を準備することになります。
しかし、20%という数字はあくまで目安であり個々の財務状況や市場の状況に応じて増減するため、自身に合った金額を設定する必要があるでしょう。
ここからは、頭金の適切な決め方について解説していきます。
購入する物件から考える
住む場所や依頼する住宅会社など、夢のマイホームにこだわりがある人は購入する物件から決めるのがおすすめです。
気になる物件を見つけたら不動産会社等に見積もりを依頼し、購入額から必要な頭金を計算してみましょう。費用を支払った後の貯蓄額と今後の人生設計を照らし合わせ、自身にとって無理のない頭金を設定することが重要です。
ただし、住宅会社によっては見積書に最低限必要な金額しか書かない場合があります。工事が始まってから追加の支払いが発生する場合もあるので、見積書より高くなることを想定しておくとよいでしょう。
自分の財務状況から考える
予算の範囲内で家を購入する場合は、頭金として支払える金額を考えてから購入費の上限を決めるのも選択肢の1つです。もうすぐ子どもが産まれる、親と同居するなど、すぐにでも自宅が必要な人におすすめの方法です。
例えば、頭金を物件価格の20%とし、用意できる金額が500万円だとすると計算は以下のようになります。
500万円÷0.2=2,500万円(物件価格の上限)
この場合、2,500万円までの物件を購入することが可能です。住宅ローンの借入額は2,000万円になり、これにもとづいて返済シミュレーションの作成を金融機関に依頼できるようになります。
しかし、実際にいくらまで借りられるかは住宅ローンの条件や金利、返済期間、他の借入状況などによって異なるため、事前に金融機関へ相談することをおすすめします。
頭金を決める際の注意点
マイホーム購入には土地や家屋の価格だけでなく、次のような費用も発生します。
・家具や家電の購入費
・住宅ローン契約時の手数料や保証料
・引っ越し費用
・近隣住民への挨拶品
その他にも住み始めてから発生する費用もあり、これらを考慮すると過剰に頭金を入れることは避けたいところです。特に、病気やケガなどの緊急時に必要となる貯金は手元に置いておくようにしましょう。あくまでも無理のない範囲で頭金を入れることが重要です。
頭金なし(フルローン)でローン組んだ場合のメリットと注意点
頭金が用意できない場合は、購入費用の全額を住宅ローンでまかなうことになります。
ここからは頭金なし(フルローン)で住宅ローンを組む際のメリット・デメリットをみていきます。
住宅ローン審査に与える影響
頭金を入れずフルローンで住宅ローンを組んだ場合、現金を手元に残せるメリットがあります。これにより、万が一の出費に備えることができるでしょう。
しかし、その一方で住宅ローンの審査においては不利になってしまうことがあります。フルローンは借入額が多くなり、金融機関からすると返済リスクが高くなると判断されやすいからです。また、フルローンの場合は頭金ありよりも支払利息が増える点にも注意が必要です。
住宅ローン減税への影響
フルローンの場合、住宅ローン減税を最大限に活用しやすくなります。
住宅ローン減税は、個人が住宅ローン等を利用して自宅の取得や増改築を行った場合、一定の要件を満たすことで年末の借入残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から控除される制度です。
そのため、フルローンの場合は頭金を入れたときよりもローン残高が多くなるため、住宅ローン減税においては有利といえるでしょう。
しかし、住宅ローン減税は所得税や住民税を上回る控除はありません。控除を受けられる金額は年間に支払った所得税・住民税の合計額までに限られます。もし、支払った税金が住宅ローン減税の控除額を下回った場合、節税効果は限定的となります。
出典:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
頭金の準備方法は?
頭金を入れるだけの十分な資金がないため、これから頭金の準備を進めていく人もいるでしょう。ここからは、効率的に頭金を準備する方法について解説します。主な準備方法は以下の2つです。
・計画的に貯蓄する
・非課税の特例を利用する
計画的に貯蓄する
これから頭金を準備する場合は計画的な貯蓄が必要です。以下の4ステップで進めていきましょう。
1.目標の貯蓄額と期間を決める
2.毎月の貯蓄額を決める
3.月の入出金がいくらか把握する
3.2で決めた貯蓄ができるよう無駄な支出を減らす
最初に目標の貯蓄額と期間を設定しましょう。これらを設定することでゴールまでの道筋がはっきりとわかり、毎月いくら貯蓄すべきか明確になるでしょう。もし、いまの収支状況では目標の貯蓄額を達成することが難しい場合は収支の見直しが必要です。
収支を見直すことで何にいくらお金を使ったのかが明らかになります。これにより、無駄な支出が特定しやすくなり、大きな節約につながるでしょう。無駄な支出をなくすことで、頭金が貯まったあとも継続して子どもの教育資金や老後資金などを計画的に貯められます。
今後の資産形成においても重要な基礎となるため、きちんと身につけておきましょう。
「住宅取得資金贈与の非課税措置」を活用する
「住宅取得資金贈与の非課税措置」の活用も頭金を準備する有効な手段です。
「住宅取得資金贈与の非課税措置」は、直系尊属(父母や祖父母など)から住宅取得資金を受ける場合、特定の条件下で贈与税が非課税になる制度です。この制度は自身の居住用に限り、省エネ住宅の場合は1,000万円、その他の住宅は500万円まで利用できます。
新居祝いや出産祝いなど、あらかじめ金銭的支援を受けられるなら住宅購入資金でもらえるようお願いしてみましょう。まとまった資金ほど贈与税は大きくなるので絶好のタイミングです。
ただし、この制度を利用する場合は税務署への申告が必要です。うっかり忘れてしまうと特例の使用と認められず、贈与税の支払いを求められる可能性があるため気をつけてください。また、この制度は2023年12月31日をもって終了する見込みです。今後の税制改正によっては延長される可能性もあるため、最新の情報を確認しておく必要があるでしょう。
出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
頭金が用意できない場合
利息負担を抑えたいが、どうしても頭金を用意できない場合は、フルローンで借りた後で「繰上返済」を実施していく選択肢もあります。繰上返済とは、予定されている返済期間より前に住宅ローンの残高の一部または全部を返済することです。繰上返済をすることで、利息の軽減や返済期間の短縮が期待でき、頭金を入れたときと同じメリットを得られます。
これにより、貯金を想定外の支出や緊急時のために確保でき、財務的な柔軟性が増すメリットがあります。さらに、支払う利息の総額が減ることで経済的な負担も軽減できるでしょう。
しかし、その一方で繰上返済をすることで住宅ローンの残高が減ってしまい、それに伴い住宅ローン減税の控除額も減少してしまいます。また、繰上返済を実施して返済期間が10年未満になった場合、制度そのものを利用できなくなります。そのため、繰上返済を検討する場合は減税効果と利息軽減のバランスを十分試算した上で実施する必要があるでしょう。
頭金の設定に迷ったら金融機関に相談を
頭金の額は個々の資産状況や、購入する物件によって異なります。まずは長期的な将来設計を行い、適切な頭金と残すべき預金額を決めましょう。支払った後に後悔しないよう余裕をもった計画が望ましいです。
また、住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なります。頭金の相談も含めて、事前に住宅ローンを申し込む金融機関へ相談に行くことをおすすめします。
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この記事を書いた人
ライター
辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士、証券外務員二種
独立型FPとして相談業務、執筆業務を中心に活動中。
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