ウル金ムービーはこちら

公開日:

その他

原油価格の推移と経済への影響について解説

原油価格の推移と経済への影響について解説

近年、ガソリンや日用品の値上げが進行していますが、それらの要因に円安と原油価格の高騰が挙げられます。しかし、原油についてあまり理解できていない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、原油の基本的な概要と原油価格が上昇する主な要因についてみていきます。原油価格の推移や、原油価格が高騰した際の対策についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

ウルトラ金融大全が動画で見れる!
お金の事が分かる!増やせる!無料動画が公開中!

そもそも原油とはなにか

まず、原油とはいったいなにかを解説していきます。原油とは、油田から産出されたばかりの石油のことです。土から採掘したものなので、さまざまな種類の有機化合物が含まれており、これを精製することでガソリンや灯油、軽油などの燃料に加工されます。

その他にもプラスチックや合成ゴム、合成洗剤など、日常で使用するさまざまな商品が原油をもとに製造されており、私たちの生活にかかせない存在です。また、投資対象としての側面ももっており、多くの投資家が日々、先物市場で原油の売買を繰り返しています。

原油価格が上昇する主な要因

ここからは原油価格が上昇する主な要因についてみていきます。

主な要因に次の3つが挙げられます。

供給面

原油価格は需要と供給によって大きく左右されます。供給面において特に重要な役割を担っているのがOPEC(石油輸出国機構)です。OPECは、1960年にイラン、イラク、サウジアラビアなどの計5ヵ国によって、結成された国際機関で、原油生産量の調整と価格引き上げが主な目的です。

OPECが石油の生産量を増やすことで原油価格は下がり、その反対に生産量を減らすことで原油価格は上がりやすくなります。このように、OPECは市場における供給量の重要な調整機能として働き、原油価格の安定化を図っています。

ただし、OPECに加入していない国は生産量の調整等を、自国の政策や市場状況に応じて行うため、必ずしもOPECの政策によって原油価格が決定されるとは限りません。

需要面

景気が上向きになると、それにしたがって原油価格が上昇しやすくなります。これは、経済が成長することで、製造業、輸送、家庭の消費など、さまざまな分野でガソリンやその他の燃料が必要になるからです。

製造業では機械を動かすためのエネルギーとして、輸送分野ではトラックや船舶、航空機の燃料として、そして家庭では暖房や調理などのために石油製品が使用されます。特に、消費大国のアメリカや中国の景気が良くなると一気にエネルギー需要が拡大し、原油価格が底上げされる傾向にあります。

政情不安

原油価格の価格変動は原油の需要と供給だけでなく、産油国の政情不安にも大きく影響します。産油国でテロや戦争が起きれば、原油の供給不足が懸念され、原油価格が上昇しやすくなるのです。

例えば、産油国が密集している中東などでテロ、戦争などが発生すると、それらの国から石油を安定的に輸入できるかわからなくなります。これにより、供給がストップされる前に多くの原油を確保する動きが強まり、価格が吊り上げられる仕組みです。

そのほかにも、国際的な経済制裁や輸出入の規制が産油国に課された場合にも、供給が不安定になり、原油価格に影響を与えることがあります。

近年における原油価格の推移とその要因

ここまで、原油価格が変動する主な要因について解説しましたが、では現在の原油はどのように推移しているのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

 2008年7月に最高値である1バレルあたり145.29ドルを記録

以下が1984~2022年7月までの原油価格(WTI)の推移表です。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 第1節 足下の原油価格下落の要因分析と今後の展望https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2016html/1-1-1.html

出典:国際環境経済研究所 ウクライナ情勢と原油価格、そして、脱炭素(前編)https://ieei.or.jp/2022/07/expl220726/

これらの表のとおり、原油価格はテロや戦争、金融危機などで大きく価格が変動していることがわかります。原油の過去最高値は2008年7月に1バレルあたり145.29ドルです。これは、中国経済の景気拡大による原油需要の増加や、イスラエルによるイラン攻撃の可能性が取りざたされたことなどが主な要因といわれています。

そこから2020年に入り、新型コロナの世界的な感染拡大による経済活動の停滞で原油需要が大きく減少し、原油価格は大幅に下落。その後、景気の持ち直しや、サウジアラビアの減産などで原油価格は緩やかに上昇していきました。

ハマスによるイスラエルの攻撃を受けて再び原油価格が上昇傾向に

以下が2022~2023年7月までの原油価格(WTI)の推移表です

出典:ジェトロ(日本貿易振興機構)図原油価格の推移(2022年~2023年7月)https://www.jetro.go.jp/view_interface.php?blockId=36226838

2022年からウクライナ紛争によるロシア産原油の供給懸念から原油価格が一気に上昇し、22年3月には1バレルあたり123.7ドル(WTI)を記録。
その後の原油価格は落ち着きを取り戻しましたが、2023年11月現在では、10月7日のハマスによるイスラエルの攻撃を受け、原油価格は不安定な状況にあります。ここまでが1984~2023年現在までの原油価格の大まかな動きです。

原油価格が上がると物価上昇(インフレ)が起きる

原油価格の上昇は、物価の高騰を招きやすくなります。まず、原油価格が上昇することでガソリン価格が上がります。しかし、その影響はガソリン価格だけにとどまりません。輸送コストの上昇は、食料品から衣服、電化製品に至るまで、あらゆる生活用品の価格へと波及します。

企業は増加した運搬費用を商品価格に上乗せすることでコスト増を補いますが、これがさらなる物価上昇(インフレ)要因につながるのです。

実際に、現在の日本では、原油価格の上昇と円安が重なり大幅なインフレが起きています。総務省統計局が発表した「2020年基準 消費者物価指数」によると消費者物価指数は前年同月比約4% 上昇と発表されています。

肌感覚的には4%以上に感じる人も多いかもしれません。その理由として、生活に直接関係のある電気やガス、ガソリンなどのエネルギー価格や、生鮮食品を除く食料価格が大きく上昇したことが挙げられます。電気やガス、ガソリンなどのエネルギー価格は前年同月比より15.2%上昇。生鮮食品を除く食料は7.4%上昇しています。 

出典:総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)12月分及び2022年(令和4年)平均
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

原油が高騰した際の対策

前述のとおり、原油が高騰してしまうと、インフレになりやすくなり生活に大きな影響を与えてしまいます。そのため、原油価格の高騰によるインフレ対策を講ずる必要があるでしょう。主な対策として次の方法が挙げられます。

・コモディティの活用
・不動産投資

コモディティの活用

原油が高騰した際の対策として、コモディティの活用が効果的な対策の1つです。コモディティとは日本語で「商品」という意味で、主に金やプラチナなどの貴金属、原油や天然ガスなどのエネルギー、その他にもトウモロコシや小麦などの農産物が挙げられます。これらの商品は先物取引所で取引されることが一般的です。

先物取引は、リスクが高くて難しいと感じる人も多く、投資対象として敬遠されがちです。しかし、現在では株式市場で売買できるETF(上場投資信託)などを利用することで、個人投資家もコモディティ市場への参入が容易になっています

また、コモディティは株式と相関関係にあり、株式市場が好調のときはコモディティ市場は低迷することが多く、その反対に株式市場が不調のときはコモディティ市場は活発になりやすいです。このように、資産の一部にコモディティを組み入れることで分散投資の効果が期待できます。

ただし、その一方で、コモディティは配当などのインカムゲインが発生しないため、譲渡益(キャピタルゲイン)でしかリターンを狙えないなどのデメリットもあります。

不動産投資

不動産もインフレに強い資産の1つです。物価が上昇することで、不動産自体の価値も上昇し、さらに、賃貸料に関しても徐々にではありますが上昇しやすくなります。

ただし、不動産を所有するにはまとまった資金が必要になり、簡単に購入できるものではありません。そこで、「REIT」や「不動産小口化商品」などの少額で取引できる商品が選択肢として考えられます。これらの商品であれば、投資に回せる資金が少ない場合でも不動産市場に参入することが比較的容易になります。

今後の原油価格の動向に注意が必要

原油価格が上昇する要因にOPEC(石油輸出国機構)による原油生産量の調整や、好景気による原油需要の拡大、産油国のテロや戦争による供給不足の懸念が挙げられます。

現在では、2022年から始まったウクライナ紛争や、ハマスによるイスラエル攻撃で原油価格は不安定な状況にあります。原油高騰への対策としてコモディティや不動産投資が効果的といわれており、これらを資産の一部に組み入れることでリスクヘッジが可能になるでしょう。

今後の原油価格の動向は、もし、ウクライナやイスラエル情勢が今後も改善されない場合はさらに原油高に進む可能性があります。その一方で、中国の景気減速や、米国の利上げによる世界経済の減速が予測される場合、原油の需要減少に繋がり、原油価格が下落する可能性もあるでしょう。

原油価格は、多岐にわたる要因で大きく変動するため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。今後の動向に注目したいところです。

ウルトラ金融大全が動画で見れる!
お金の事が分かる!増やせる!無料動画が公開中!

この記事を書いた人

辻本剛士

ライター

辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプランニング技能士、宅地建物取引士、証券外務員二種
独立型FPとして相談業務、執筆業務を中心に活動中。

その他の記事一覧はこちら

ウル金ムービーはこちら

ウル金ムービーはこちら