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渋谷で投資スキーム(おそらく詐欺)営業を受けた話

渋谷で投資スキーム(おそらく詐欺)営業を受けた話

つい先日、友人とのランチのために、久々に渋谷に足を運びました。

ランチを終え、少しだけ時間があったので、久々にコスメでも見に行こうとしていた時、投資会社の営業マンに声を掛けられたのです。話をよく聞いてみると、詐欺まがいの契約を結ばされ、大損しそうな雰囲気がぷんぷんしていました。

これまでにニュースで話題になっていたやり方と酷似していたからです。でも、新しいやり口だなぁと感じたのは、そのスキームを説明する営業マンにありました。

詐欺の手口が更に巧妙化していることを実感した体験だったので、今回はその体験談をお伝えできたらと思います。

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相手はやり手の営業マン

「すみません、僕、こういうものなんですけど」

真向いから歩いてくるスーツの男性が、名刺を手渡して腰低く話しかけてきました。コスメを買いに出かけようにも、渋谷のあまりの変わりようについていけず、どこに行ったらいいものか検索しているときのことでした。

目の前の男性は、パリッとしたスーツに身を包んだ、明らかに「仕事できますよ」風の風貌です。大体こういうパターンで声をかけてくる輩は「うさんくさい」のが常識。

ところがどっこい、彼は爽やかで明るく、うさん臭さが見えにくいので驚きました。私が名刺を見ると、聞いたこともない会社です。筆者が警戒していると、少し困った顔をしながら彼は言います。

「急にお声がけしてすみません。僕、今投資セミナーの講師デビューのために修行中でして、渋谷でお声がけさせてもらってるんです」

「昨日あんまりうまくいかなくて、上司にどやされちゃいまして…。ホントに少しだけでいいので、お時間いただけませんでしょうか?もちろん、お茶代は僕が持たせていただきます。なんならケーキも頼んじゃってください!」

最初の印象は、「めちゃくちゃ手慣れてる…」です。

とても上司にどやされているようには思えません。会社員時代ずっと営業だった筆者は、優秀な営業マンをたくさん見てきました。

その経験からすると、目の前にいる男性は完全に上司側にいるタイプですし、それもかなりやり手な感じの印象を受けます。優秀な営業マンがそれを隠して下手に出ている感じです。

「どうですかね…お忙しいですか…?ホントに5分でも10分でも大丈夫なんです…!」

私よりもかなり背が高いのに、上目遣いされている気さえします。どうやら、おばはんには「子犬系年下男の泣き落とし作戦」でいく様子。

年下女子なら「イケてる年上男のお色気作戦」、年下男性には「お前もオレみたいになれるぜ作戦」、年上男性には「ぜひ勉強させてください作戦」で、自分を使い分けるタイプだなぁ…と考えていました。

相手にすると結構厄介なタイプだと判断し、断ってしまおうかとも考えたのですが、時計を見ると1時間ほどなら時間があります。
(コラムのネタになりそう…)
よこしまな考えですが、ただのタメになる話でも詐欺でも、どちらにせよコラムのネタになると判断して話を聞いてみることにしたのです。

敏腕営業マンの怪しげトーク

オシャレなジャズの流れる純喫茶風のカフェに入り、カフェラテを頼みます。

目の前の営業マンは「ケーキ、いらないです?」などといいながら、相変わらずにこやかにほほ笑んでいました。彼を見ると、以前の会社の上司を思い出します。

獲物を狙う目というか、独特の「できる人」の目つきです。私は十分に用心しようと、姿勢を正しました。

「1時間くらいしか時間がない」と伝えると、営業マンは早速本題に入ります。

まず、営業マンが在籍している会社について簡単に説明を受けました。主にFXを中心とした投資会社だそうです。

軽く会社の説明をされ、筆者の金融リテラシーや投資経験の質問を受けました。ここは正直に、元保険営業であることを伝えます。

相手の顔色が若干変わったなと感じました。でも決して笑顔は崩さず、営業マンは続けます。

「あ、そうだったんですね!今も続けられてるんですか?」

「いや、もうやめちゃったんですけど」

「そうなんですね~。保険とか僕全然分からないんですけど、商品がいっぱいあって大変じゃないですか?」

「まぁそれはそうですね」

「差し支えなければなんですけど、どれくらい勤められてたかお聞きしても?」

「ん~と…8年くらいですかね」

「おおー!随分長いこと勤められてたんですね」

「そうでもないですけどね」

「いや~それなら結構こういう話にお詳しいんではないですか?」

「畑が違うので、すごく詳しいって程ではないと思います」

「いやいや~。でも利回りなんかはご存知ですもんね」

「それはそうですね」

「いや~さすが、話が早い!」

彼は本題に入ったようでした。

「やっぱりFXってリスクも大きいんですけど、その分あたるとデカいんですよ」

「はぁ…」

「ちなみに、一口にFXっていっても商品によって利回りも全然違うんですね。ちなみにうちの会社の運用実績って、そこそこいいんです」

こういう自社の商品を紹介するときは、多くの場合、自社資料を見せます。ところが彼は「ぜひうちの社名と利回りで検索してみてください」というのです。

今時だな~なんて思いつつも、「会社名 利回り」で調べます。彼の会社のHPがヒットし、利回りを見てみると30%前後の数字が並んでいました。

投資の天才ウォーレン・バフェットでさえ、平均年利が20%程だったので、かなり盛っている印象ではあります。

でも、絶対に全くどう転んでもできない!という数字でもなく、上手いところ突いてるな~という感じです。

「去年あたりから投資詐欺で摘発されたりした会社は60%とか、70%の利回りを謳ってました。でもそんなことってあり得ないんですよ。僕も前職証券会社だったんで分かるんですけどね。」

「なるほど」

昨年ごろ一斉に摘発&訴訟されまくった投資会社は、確かにあり得ないほど高い利回りを謳っていました。

ちょっと詳しい人なら知っていることなので、より情報に真実味が増します。しかも元証券マンとのこと。本業ですから、投資については私なんかよりはるかに詳しいはず。

初めから元証券マンと言わないところも、上手いものです。こうやって信頼を獲得していくのか、と感心しました。

とはいえ、昨年色々とトラブっていた投資会社は、運用実績は全部嘘、実際は運用などしておらず、投資家から集めたお金は酒と女と車と時計に消え、経営者が逃亡という形で幕を下ろしています。

現在も訴訟の真っ最中という会社も多数あるくらいなので、30%の利回りが本当かなんて分かりません。

「運用実績は何で確認できますか?」

さすがの敏腕営業マン。全く表情を変えずに言い放ちます。

「もちろん、弊社のHPでも運用実績は都度開示していますよ!」

「でもそれが本当かどうかわからないなって」

「いや~さすが!凄く真剣に考えてくださってますね!」

「疑り深い」を「真剣に考える」と言い換えるなんて、なかなか良い言い回しです。

彼は続けます。

「もちろん弊社のHPでも確認できますけど、ぜひご自身でも色々と調べてみてください!ネットに色んな情報が落ちてると思うので」

調べてみると、確かに「実際に○○社で投資始めてみた」だの、「○○社で投資?怪しくないの?」というタイトルのブログやらSNSの投稿やらがヒットします。

サッと読んでみても、最終的には「大丈夫じゃないかと思います!」「このまま続けてみようと思います!」でまとめられていて、あくまで個人の感想の域を出ないように書かれていました。

でも、投稿日は全て半年以内。集中的に書かれた感が否めません。

直感的に「ステマだな」と思い、営業マンに質問します。

「会社の設立年月っていつですか?」

「え~と…2023年4月だったと思います」

割と出来立てほやほやです。

マイナスな意見が出てこないのは、設立されたばかりだからなのではないかと予測しました。半年SEO対策を頑張れば、自社に有利な記事が上位にきます。

しかも顧客側に検索させるので、ますます順位も上がりやすくなるのでしょう。

設立年なんて聞かれたことがなかったからか、営業マンの顔がやや曇りました。その表情が答えのような気がしたのです。

かなり優秀な営業マンを使って自社商品を広め、絶対にないとは言い切れない運用実績を謳い、それを補完するようにステマ記事を多数用意する。そしてそれを顧客自ら確認させ、安心だと思わせる。

営業マンの腕とステマ情報を盾に、契約を促す。こんな感じの仕組みで回してるんだろうと思いました。

他にもいろいろと説明をしたそうな雰囲気ではありましたが、十中八九詐欺だと感じたこと、ネタは十分そろったこともあり、残り15分というところでお暇しようとしたのです。

スカウト

「すみません、そろそろ時間が…」

カフェラテを飲み干そうとしたとき、営業マンの口から意外な言葉が出ました。

「あの、もしよかったらなんですけど、僕たちと一緒に働きませんか?」

「…はい?」

「実は僕たち、先ほどもお伝えした通り設立したばっかりで、まだまだ仲間が足りないんです。だから今、投資家の皆さんと並行して、仲間も探しているところで…」

「はぁ…」

「そういう意味で、齋藤さんにぜひ仲間になっていただきたいなと!具体的には、僕みたいな感じの仕事をお任せしたいんです。もちろん、報酬も出ます!」

「は、はぁ…」

「投資家さんが投資してくださった金額の20%が齋藤さんの報酬です。また、スカウト料もあって、齋藤さんがスカウトした方が僕たちの仲間になってくれたら、1人につき+10万です。契約いただく数が増えれば、更に報酬率が増えます」

一呼吸おいて、彼が言います。

「これは誰にでも伝えていることではありません。ホントです。ぜひ前向きに検討してください」

まとめ

思わぬ方向に話が進みやや困惑したものの、お断りの意思を伝え、筆者はその場を去りました。

営業マンはしつこく迫ることもなく、最後の最後まで爽やかなままでした。今回、あの営業マンと話してみて、筆者は「世の中怖いなぁ」と感じました。

ポンジスキームを疑われる投資会社、ステマ記事の多用、ねずみ講と、詐欺疑惑のオンパレードなのに、優秀な営業マンがそれをかなり巧みに隠してしまうからです。

Xで調べたところ、同じく渋谷や新宿で声を掛けられた方々がいました。

でも皆さん投資するか迷うことはあっても、「詐欺だ!」と声をあげている方は見つけられませんでした。

「営業マンイケメンだったw」「話が分かりやすいし、ぐいぐい来なくていい」とか、むしろ営業マンの影響で印象がいいのです。筆者が出会った営業マン以外にも、多数の敏腕営業マンがいるのかもしれません。

筆者はたまたま趣味のXウォッチのおかげでポンジスキーム被害を知っていたし、ネット記事を沢山書く仕事をしているからステマ記事にも慣れているし、元営業だったから相手が何を考えているのかが何となく分かっただけ。

もし筆者がXウォッチャーでもなく、ステマ記事が何たるかも知らず、元営業じゃなかったら、あの営業マンの口車に乗せられていたかもしれません。

投資詐欺に遭っているなんて全く疑わず、良い投資ができたとさえ思ったのではないかと思います。筆者はこれまでXで多数の投資詐欺被害者を見てきました。でも対面で詐欺疑惑のある投資の話を聞いたのは初めてです。

それも、かなり優秀であろう営業マンから。投資詐欺の手口は、どんどん巧妙化しているのでしょう。

広告やステマ記事などネット内にお金をかけるのではなく、優秀な「人材」にお金をかけるようにしたのではないかと思います。

対面でじっくり話して信頼を得てから、ゆっくり長く搾り取っていくという恐ろしい方法です。

「現代の若者は大切な話をするとき電話を使うように変化した。履歴を残したくないからである」

ITが発達した現代において、人と人とのコミュニケーションは原点に回帰しているようです。それは、きっと詐欺の手口も同じなのでしょう。

久々にうすら寒い気分になったので、その日は鍋を食べました。餃子鍋は世界を救いますね。

今回の体験は、ウルトラ金融大全に掲載することで供養したいと思います。どうか1人でも多くの方が、投資被害を避けられますように。

南~無~。

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この記事を書いた人

齋藤佑美

ライター

齋藤佑美(さいとうゆみ)

複数の大手メディアでコラムを執筆する2児の母。
FP上位資格のAFP、生命保険協会認定FP資格であるTLC取得。
女性に寄り添ったコラムが好評を得、週刊女性にて記事の監修を行う。
お金の知識や現場の体験を踏まえた記事に定評がある。


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